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トイレットペーパー

和を以て貴しとなす
「和を以て貴しとなす」という言葉は、604年に作られた法文である十七条憲法に書かれた言葉です。聖徳太子がこの言葉を残したとされていますが、故事ことわざ辞典によると「何事をやるにもみんなが仲良くやり、いさかいを起こさないのが良い」といった意味のようです。
もちろん、ただ仲良くするのではなく、「自分の意見に執着したり、その意見を他人に押し付けたりせずに、意見をぶつけ合いながら、他人の意見を受け入れることによって結論を導いていくことで、いさかいを起こさないのが良い」という意味でしょう。

日本は初期の憲法制定の頃から、自分だけでなく他人の意見を受け入れる大切さを説いていたことがわかります。そのような思想は、今でも日本人の生活の随所に見られます。今回はその一例をご紹介します。

三角に折られたトイレットペーパー
日本のデパートやレストランといった場所の公衆トイレを思い出して見て下さい。場所が場所だけに定期的にお掃除がなされていて、トイレとは思えないくらい清潔な空間が用意されています。トイレの性能も格段に良く、冬は便座が暖かかったり、ウォシュレットが搭載されていたりします。
そこでとても印象的なのはトイレットペーパーです。日本のトイレットペーパーフォルダーにはフタがついており、そのフタから取りやすい形(三角形)でトイレットペーパーが設置されています。

これはいくつかの理由がありますが、「いつからこのように折りだしたのか」は定かではありません。一説には、ファイヤーホールドと呼ばれ、元々アメリカの消防士がすぐに出動できるように、前に利用した人がこの折り方をするように、ということで始まったとありますが、今ではこれは正確ではない可能性が高いようです。
始まりは不明ですが、日本のトイレではこの三角折はよく見られます。
一体この折り方で何が表現されるのでしょうか。

①トイレ清掃後にこの折り方で統一することで清掃完了の意味を表現することができる。
②次にトイレを利用する人がペーパーを取りやすい。
③見える部分がKIREIに整えられているので空間にあった演出ができKIREIに見える。

ペーパー使用後はどうしても切り目が汚くなったり、だらーんと垂れてしまうとだらしなく見えます。そういったことを考えると三角の折り方をすることで③のような効果が現れます。
また三角の折り方がされていることで、①のような効果が現れ、気持ちよく利用することもできます。しかし、最も実用的なことを考えると②ではないでしょうか。
実際にこの折り方のペーパーは非常に取りやすく、切れ目をわざわざ探す必要がありません。次の利用者の方のことを考えた行動だと考えられます。

「KIREI」は周りの人にとってもポジティブ
「KIREIにする」「KIREIに魅せる」という行動は、決して自分にとってだけのプラスではありません。このトイレットペーパーという些細な件もそうですが、KIREIな空間を作り上げる行動は、他の人にとってもポジティブな効果をもたらします。それは見た目だけの問題ではありません。
今回ご紹介したような事例のように、内実的なポジティブ効果を生み出すことができます。結局のところ、「KIREI」というのは見た目の清潔さに加えて、マインドに訴えかけている側面が強いということです。

あらゆるところを「KIREI」にすることで、自分だけでなく他者を思いやるというポジティブな効果がさらに生まれ、循環することが「KIREI」の最大の価値と言えるのではないでしょうか。

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