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定期的な徹底した掃除の価値 - カビの多いハノイの家での重要性

カビの悩み

皆さんは、自宅の洋服や本棚、本やお風呂のゴムパッキン部分などにカビが生えてしまった経験が1度はあるのではないでしょうか。事言う私も、日本に居た時、1階に住んだ木造の自宅ではよく服や帽子にカビが生えてしまいました。早く気付けば良いのですが、ずっと押入れに入れていたカバンにはものすごい量のカビが生えてしまい、捨てざるを得ない経験をしたことがありました。現在、ベトナムのハノイにいますが、ハノイは湿度が高く、それでいて気候も夏と冬で寒暖差があり、カビにとっては非常に好ましい環境です。そのため、私もですが、ハノイに住む人はカビに悩まされていることが多いのではないでしょうか。あまりに酷い場合や誰かにお願いしたい場合は、ぜひ私のところに頼んでいただけると嬉しいのですが、その前に、皆さんにもカビのことをよく理解してもらえたらと思って、このブログを書いてみました。
●そもそもカビとは何なのか
●どのようにしたらカビは生えにくくなるのか
●カビはなくなることはあるのか
などを中心にまとめてみましたので、ぜひお読みいただければと思います。

カビは細胞性生物

まず皆さんに覚えていただきたいこと、それはカビは細胞性生物であるということです。目に見える生物であろうと、目には見えにくい微生物であろうと、生物というのは生物学上、「ウイルス」と「細胞生生物」に分類されます。ウイルスと言えば、以下のようなものが挙げられます。
●コロナウイルス
●インフルエンザウイルス
●狂犬病ウイルス

一方で細胞性生物とは、以下のようなものが挙げられます。
●ゾウリムシ
●カビ
●クラミジア

あくまで例ですが、このように分けられます。ちなみに人間は細胞性生物に分類されます。(もちろん細胞性生物内にも細かく分類されますが、ここではそれは割愛します。)

大きく異なるウイルスと細胞性生物は何が違うかと言うと、自己増殖するかどうかです。ウイルスには自己増殖機能がありませんが、細胞性生物は自己増殖機能があります。つまり、カビは自己増殖することができるということです。

カビの種類はたくさんある

カビには非常にたくさんの種類があります。見た目が白いカビや黒いカビ、赤いカビや青いカビと色だけでは区分することができません。現在存在しているカビは80,000種類以上あると言われています。発生する箇所や地域でも大きくことなるため、カビは取り扱いが非常に難しいことがわかります。

壁が黒ずんでカビが生えている場合は、すぐに対策を講じる必要があります。さもなければ、将来的に部屋全体がカビで覆われ、健康に悪影響を及ぼします。

カビの生育環境

カビは生き物です。そのため、生育できる環境とそうでない環境があります。ではどのような環境でカビは生育できるのでしょうか。見ていきましょう。

カビの生育環境①水
微生物が生きていくためには、そもそも水が必要です。人間にも水が必要なのと同じです。水の状態(氷なのか水なのか等)や水の温度によって生育できる微生物は異なりますが、微生物の仲間であるカビも水が必ず必要になります。お風呂やキッチンにカビが生えやすいのは水があるからです。

カビの生育環境②酸素
微生物には、生育に酸素を必要とするものと必要としないものが存在します。そしてカビには酸素が必要です。酸素がないとカビは生きることができません。つまり、除酸素や窒素置換した環境では増殖はできなくなります。しかし注意していただきたいことは、例えば、カビが生えた服を空気が入らない密閉状態にしたとしても、カビが増殖することがないだけであって、カビが死滅することではありません。

カビの生育環境③温度
例えば、人は夏の暑い日、エアコンがないと生きられないと思うほどに、あまりに暑い環境では生存できません。反対に寒すぎても凍傷して命を落とすこともあります。このように生物には生きられる温度があります。カビも同じで、生育に適した温度というものが存在します。カビが生育可能な温度領域は0〜40度であり、最も適した温度は25度〜28度です。つまり、−1度以下の氷の状態では、カビは生育することはできないということです。こちらも注意していただきたいことは、例えばカビの生えた服を水で濡らし凍らせたとしても、増殖が止まるだけであってカビそのものが死滅するわけではないということです。
また反対にカビは熱に弱いという特徴があります。80度において、30分程度の加熱処理を施すとほとんどのカビは死滅します。こちらの場合は完全に死滅するため、熱には弱いという特徴を持っていることがわかります。

カビの生育環境④pH
pHというのを皆さんは聞いたことがあるかと思います。水溶液中の水素イオン濃度を表す指数で、よく洗剤等に表記されています。pHは0〜14の範囲で表記され、0に近づけば近づくほど酸性、14に近づけば近づくほどアルカリ性の性質であると認識されます。カビには生育可能なpH領域があり、その値は2〜8.5と非常に広いことが特徴的です。しかし、アルカリ性の洗剤等には弱い特徴を持っていることもわかります。

つまり、ここまでお読みいただくと何となくわかってくるかと思いますが、人が生息する環境条件は、カビの生育環境条件と自然と一致することとなり、カビを避けることは非常に難しいということです。そして、カビの生育阻害と死滅は別であり、死滅させるための処理が熱処理であることからも、一度生えたカビを完全に死滅させることは非常に困難であることがわかります。

カビは部屋の角隅に生えることがよくあります。これには理由があるのです。

ここまでをまとめますと次のようになります。
カビの生育環境のまとめ
①水が必要(通常、湿度60%以上が必要)
②酸素が必要
③温度が0〜40度であること
これらのいずれかを阻害することができれば、カビが自己増殖することはありません。ですが、人が生活する上でこれらの条件を完全に阻害することは困難です。そのため、カビをなくすことよりも、カビは自然と生えるものであり、いかに増殖を防ぐか、またはいかに増殖速度を落とすか、が重要になります。

カビは様々な健康被害をもたらします。常にカビを避けるように努力しましょう。

カビによる健康被害

室内で発生したカビの胞子を人が吸い込むことで、様々な病気を引き起こします。その代表的なものは以下です。
●気管支肺アスペルギルス症
●水虫
●気管支喘息
●アレルギー性結膜炎
●アトピー性皮膚炎
●鼻炎や肺炎

真菌症の原因となるカビは、最悪の場合、死に至る恐ろしい病気です。喘息の人はわかると思いますが、一度発病すると完治することは難しいものです。繁殖したカビは、胞子を空気中に撒き散らし、呼吸するたびにカビは体内に侵入します。これがアレルギーの抗原となります。カビアレルギーは花粉症と似ていて、花粉症だと思っている人の3人に1人はカビアレルギーとも言われています。

カビを生えにくくし、カビの増殖速度を落とす方法

カビ対策はいくつかありますが、以下のような方法があります。
ぜひ取り組んでみてください。
●湿度計を購入し、湿度に対して敏感になる。
●湿度を60%以下にするため、除湿機を運転させる。
●定期的に窓や扉を開け、風を入れて湿度を下げる。
●埃や食べカスがカビの餌になるため、定期的に掃除をする。
●エアコンのドライを定期的に運転する。
&ドライ運転後は、送風運転させ、エアコン本体内部の除湿をする。
●極力モノを持たないようにする。
●使用しない冬服などは密閉袋に入れて保管する。
●汗のついた衣服や帽子は保管する前に洗濯と乾燥をする。

これらのようなカビへの対策は非常に効果的で、カビをなくすことは難しくともカビの増殖を落とすことができます。使っている鍵が錆びないことと同じで、使っているモノにカビは生えません。また湿度をためないようにする必要があります。そう考えると、何でもモノを所有するのではなく、可能な限りモノを持たないこともカビへの対策に繋がります。昨今ミニマリストというような言葉が流行っていますが、ミニマリストがカビ対策にも繋がるわけです。一度思い切って断捨離をして整理整頓することカビに対して非常に有効なアプローチです。

カビの対策に「KIREI」は有効

カビのことを書いてきましたが、カビは埃や食べカスといった汚れを餌にします。そのため、定期的な掃除はカビ対策に繋がります。しかし、よくあるのが「掃除しているのにカビがどんどん広がるのですが…」といったこともあります。これは本人は掃除をしているつもりでもKIREIになっていないということが原因です。別のブログでも書きましたが、「掃除をした」というのをどこまでやったかの尺度は人それぞれで変わります。単に埃を落としただけを「掃除をした」という人もいれば、隅々の汚れまで徹底的に落としたことを「掃除をした」という人もいます。些細な汚れはカビの発生、増幅に繋がるため、定期的な徹底した掃除を行い、KIREIにすることは、非常に大事なのです。ぜひ徹底した掃除にトライしてみてください。ご自身では難しいという人はプロに依頼することをおすすめします。

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