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文系卒 宇宙スタートアップ事業開発担当が学んだこと

こんにちは。
新卒で株式会社ワープスペースに入社し、事業開発を担当している@HitoshiKuniiです。

会社の事業内容については、弊CEOが書いた「3分でわかるワープスペース」を参照ください。

この記事は、開発経験もビジネス経験もない新卒が、事業開発として宇宙スタートアップに飛び込んだ一年目の棚卸し(メッセージ)です。

学習・成長曲線が緩かった自覚はありますが、アーリースタートアップに事業開発として入社し、一年経ってみてようやく見えたこと、言葉にできたことがあるので、宇宙とかかわりたいけど迷っている人、スタートアップで働くイメージが持てない人に向けて少しでも有益な情報を届けられたらいいなと思います。

読後、「自分も宇宙(スタートアップ)で頑張れるかも…!」と思ってもらえたら何よりです。

■仕事の進め方編

1.理想の状態を言語化する

まずそもそもですが、僕でフルタイム7人目のスタートアップ企業です。資金や人、仕組みなど多くのものが整っていません。言い換えれば課題だらけです。

そこで大切になるのが、理想の状態を言語化し現状との差分を明らかにすること。足りないものは作るしかないですし、それが難しければ今あるアセットで補うか、中長期的に解決していくしかありません。

でも大前提として、
なぜやるのか?どんな状態が理想なのか?どうなれば自分を含めチームや社会はハッピーなのか?

こういった理想像が明確になっていないと、課題の解像度が粗いままで効果的な打ち手を考えられません。だからこそ理想の状態を言語化することが大切になります。ここがクリアになっていれば、逆算してやるべきことや出来ることを洗い出せるからです。

個人的反省:経験がない⇨理想の状態を知らない⇨なにが不足しているかすら自覚できない。この段階では、人の話を聞いたり本を読んであるべき姿をイメージできる+課題だと認知できるようにインプットする。
これほんとに反省点です。

2.本当の課題を見つけ出す

理想の状態がイメージ出来たら、現状との差分を明確にし課題を見つけ出すことが次のステップになります。このとき、課題の解像度をなるべく鮮明にしておくと効果的な打ち手も自然と考えやすくなります。

例えば自社の場合、

人材不足⇒業界構造的に人材が流動的じゃない⇒異業種からチャレンジする人も少ない⇒特殊な業界だと思われている⇒業界と接する機会や情報が不足している⇒自分ゴト化できない。

ここまでクリアになると次の打ち手も考えやすくなります。ところが、人が足りないからといってやみくもに広告を出しても、届けるべき人に届きません。何が課題の根っこにあるのかを常に考える必要があります。

📝個人的反省:課題をいったん抽象化して、何が本質的な問題なのかを考える。その課題はすぐに解決できるのか、あるいは中長期的に解決するべきなのかも見極め、出来れば仮設もセットで立てておく。

3.解決策を考える

理想の状態から課題までがクリアになったら、次は解決するための施策を考えます。このとき重要になるのが、スケール設定です。即座に解消できるのか、それともある程度時間をかけて取り組むべきなのか、この見極めができないと打ち手に幅が出ません。

さっき例に挙げた人材不足の場合、業界自体がまだ未熟で認知されていない状況で、広くマスに向けた施策を打っても届けたい層には刺さりません。
そのため、なるべく短期的に成果を出したいときはある程度「わかる人にはわかるコンテンツ」を打ち出す必要があります。

とは言え、業界や自社の認知を高めていかないとボトルネックはいつまで経っても解消されないので、宇宙を身近に感じてもらうための施策や、業界のことを広く学べるイベントをうつなど、中長期的な効果を狙ったアクションを同時に考えることも重要です。

その点、宇宙業界のビジネス職って何するの?という質問はよく受けるので、これからは個人の発信にもっと注力していきたいと思っています。

📝個人的反省:長い目で見ていま何をするべきかを考えるクセがついておらず、超近視眼的にしか考えることができなかった。一見独立して見えていた打ち手がかみ合う瞬間が見えた時に、「こうやって物事を考えていくのか」と目から鱗が落ちた。
各論ではなく、一つのストーリーになるように戦略だてる意識。

4.考えすぎずにまずはトライして改善

これが何よりも欠けてました。自分の頭の中どころか、どこにも正解なんて存在していなくて、トライする中で改善を繰り返すしかないということを体感値として理解できました。

覚えることが多くてキャパを超えること多々だったのは差し置いても(言い訳ですw)、まず言葉に出す、やってみるという基本的なことが全くできてませんでした。

この原因を探った時に、「出来なければならない」という謎の強迫観念にとらわれていたことが大きかったなと気づきました。つまり失敗を避けていました。

でも言葉に出して相談したり、実際にやってみる中で得られるものの方がはるかに大きいし価値があることにも気づけたので、なかなかリソースが割けないスタートアップに入ったとしても、変に気負わず周りを頼るのが正解です、ほんとに。

📝個人的反省:いま考えると、「もっともっとやれたのになぁ」と思うことが多々。この感覚を放置せずに、なるべく具体的に書き出して可視化・整理してつぎに活かす。

■職能編

5.コミュニケーション能力を磨く

これめちゃくちゃ大切です。結局仕事ってコミュニケーションを積み上げて、共有されたゴールに対してそれぞれのミッション(業務)を達成していくものです。

何が理想で、現状との差分(課題)は何か、それに対してどうアプローチするのか、アプローチした結果どうだったのか、次に活かす反省は何か、どれも一人ではできません。そんなの当たり前でしょ、と言う人もいるかと思いますが、この一年間で学んだことの一位です、間違いなく。笑

ここで言うコミュニケーション能力は単に初対面の人と打ち解けるとか、雑談スキルのことではありません(いずれも超がつくほど大切ですが!)。

僕の理解だと以下の4つに分解されます。

①相談力
②人から頼られる力
③伝える力
④相手の話を正しく理解する力

①相談力
何でもかんでも相談したり頼ればいいわけではありません。少なくとも以下の流れで相談できるとコミュニケーションにズレが生じにくくなります(いまだに注意されるので自戒)。

まずは前提を共有する⇒理想の状態と現状の差分(課題)を示す⇒迷ってるポイントを伝える

あとは、目の前の課題や業務は自分で取り組めるのか、より詳しくて得意な人がいるのかも見極めて、適切な人に助けてもらえると無駄な時間を使うことも、苦しむ必要もなくなります。

②人から頼られる力
これは最低一つ強味を持つことから始まります。僕の場合は英語でした(ネイティブレベルではないけど)。そのうえで、自分の得意分野で誰かが困っているときにサポート出来ると、自分が困ったときに助けてもらいやすくなります。

③伝える力
まったく偉そうなこと言えませんが、最低限論理的に話すことが大切です(出来ないこと多々)。自分が考えていることを正しく人に伝えるのはとにかく訓練が要りますが、日ごろから頭の中でシミュレーションできるとその確度はあがります。

④相手の話を正しく理解する力
これめちゃくちゃ大切。最悪自分のこと伝えられなくても、相手の言ってることを正しく理解できればOK(言い過ぎですが笑)。出戻りが少ない場合はすぐ修正がききますが、ミスコミュニケーションが起きないに越したことはありません。相手の指示を自分の言葉で言い直して確認するなど、認識のズレを減らす工夫が大切です(自戒でしかない)。

📝個人的反省:ここに書いた4つは自分を刺すみたいで苦しいですが、無意識にできるまでめちゃくちゃ意識します。

6.一度大きなスケールで見る

働くためのTipsというよりは、宇宙産業に関わる中で学んだことを最後にお伝えします。

「宇宙ビジネスってなに?」とか、家族からは「変だね」と言われますが、いまの暮らしから宇宙産業と紐づくものをすべて取り除いたら、多くの人が享受している大半の利便性はなくなります。

例えばGPSや時計、インターネット(一部)、天気予報がない暮らしを想像してみてください。目的地に時間通りにつくことも、明日なにを着るか、洗濯物をどのタイミングで洗う(干す)かなど、日常の細かな選択すら不確実になります。

そしていま、SDGsやESG投資など、世界中が環境に配慮した社会の構築に力を入れ始めていますが、ここでも宇宙が活躍します。根本のところから。

この一年間、たくさんの人が先の見えない不安な時期を過ごしたと思います。でも近いうちにワクチンが当たり前になり、やがては歴史の一ページになっていく。

でも地球規模の問題は待ってくれないし、そもそもメカニズム(原因)がわかっていないものもあり、放っておけば未来の世代に負の遺産を残すことになります。この文脈で宇宙産業は、未来の問題を解決し、未来世代に豊かな暮らし(RichではなくWell)をつなぐために必要なフロンティアです。

想像してみてください。
インターネットがない暮らしを。
車がない暮らしを。
電話がない暮らしを。
いまの便利な暮らしがなぜできているのかを。

すべて誰かの発明や仕事から始まり、それを誰でも使えるものにした人々がいます。環境問題に取り組む人にとって、宇宙産業は遠い世界かもしれませんが、すごく親和性が高い産業です。

第一線の現場でたたかうのか、仕組みや構造のところから関わりたいかなど、レイヤーによって変わりますが、ボトムアップ式に啓発活動を行いながら、トップダウン式に仕組みを整えていくことも欠かせません。

技術の社会実装を通じた貢献を仕事のテーマにする、と大学時代に決めて宇宙に飛び込んだ僕ですが、パンデミックで多くの人の悲鳴を聞く度、「自分は本当にこの環境で闘いたいのか」と自問し続けてきました。

そうやってずっと迷いを抱えたまま一年が経って、今おかれている環境で頑張ろうと軸足が定まりました。

「学校に行くお金がないから助けて。」
「食べ物買って。」

アフリカにいた頃、ストリートチルドレンを前にして何もできなかったことが大きな原動力になっているけれど、今の仕事が直接的に彼・彼女らの暮らしの向上に貢献はできないし、遠回りかもしれないことに罪悪感もおぼえます。
それでも、どこかでつながると信じて頑張ります。

同じように、いわゆるソーシャルビジネスに関心がある人にとって、宇宙が選択肢の一つとなるように、これからは発信も注力していきたいと思います。

■その他の学び

章立てるほどでもないけどこれ大事だな、と思うものをお伝えして最後にします。

■学習速度が上がるときの特徴や傾向を知る
自分の場合、対象を抽象化・構造化できると理解が早いことに気が付きました。言い換えると、独立してみえていた物事のつながりが理解できた時です。

完全にサンプル数1の話ですが、自分の学習曲線がギュイーンとなる特徴がつかめると活躍の幅が広がると思うので、意識してみるといいのかなと思います。

■人を頼る/話す
ひとつ前の学習曲線の話と繋がりますが、自分のことを知るために人と話すことは有効です。人と話すことで自分のことがメタ認知でき、相対評価につながるので、コロナでその機会が激減したことは痛手でした。

コミュニケーション機会が少なくなっていることに気付いてからの対策としては、SNSで募り、オンラインで色んな人と話す時間を積極的に作りました。

長くなりましたが、新卒でアーリースタートアップに入ってみて学んだことを整理してきました。まったくわからない業界で同期もいないなか、コロナが拡大して精神的につらい時期もありましたが、ようやく軸足が定まりました。

今後宇宙産業で働くことが当たり前の選択肢になるように、微力ながらもnoteを書いたりTwitterの発信もしていくのでのぞいてみてください👀

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