三輪車

何時も行くデパートでのお話です。私が真っ先に向かうのがジュエリー売り場、そこには優しいお姉さんがいて子供相手にいろいろと教えてもらいました。これは何、ダイヤモンド、これはルビー、とキラキラと光る指輪大人になったら全部買ってやると野心に燃えながらおもちゃ売り場にむかいます。母がちょっと服地を見るといったので、一人でうろうろしていると、おじさんに呼び止められました。お嬢ちゃん見ていってください。何か展示会を開催していました。人がほとんどいなくて少し不気味な感じ、目にとまったのは、真っ黒なものが入ったお弁当箱、茶色いブラウス、赤茶けた三輪車、何だろうこれは。壁には灰色で日常を過ごしている人間の絵でした。みんな何処かに向かって歩いています。動物たちもいました。急に怖くなり最後は速足になってしまいました。出ると母が私を探していてほっとしました。覚えているのは原爆と平和のふたもじです。