事業再構築補助金第12回の変更点や予想採択率を解説
(1)事業再構築補助金とは?
2024年4月23日、事業再構築補助金の公募再開が公表されました。
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を促すための補助金です。
「今まで違う取組みに大胆にチャレンジし、事業を再構築しよう!」という制度であり、例えば、以下のような活用が想定されています。
(2)行政レビュー
2023年秋に実施された行政レビューで厳しい指摘を受けました。
新型コロナ対策としての役割が終わりつつある現状を踏まえ、制度の役割は終えたのではないか?実施するのであれば、"制度自体の抜本的な事業再構築"が必要と指摘さています。
(3)事業再構築補助金過去の採択率と第12回予想採択率
過去の採択率として、第1回は低調な採択率となりましたが、その後は50%前後で安定的に推移。しかし、第11回申請時に大幅に採択率が下がり、約25%と4社に1社の狭き門となりました。
過去の推移などを考慮すると、第12回は、30%〜35%程度の厳しい採択率と予測します(外れたらすみません💦)。
(4)事業再構築補助金第12回スケジュール
公表された、スケジュールは以下の通りです。
補助金交付候補者採択発表は、"予定"となっており、後ろ倒しになる可能性もあります。
(5)事業再構築補助金第12回制度の全体像
第12回公募の全体像は、以下の通りです。
なお、補助上限額は、従業員規模等により異なります。
各事業類型ごとの、補助上限額と補助率は、以下の通りです。
①成長分野進出枠(通常類型)
②成長分野進出枠(GX進出類型)
③コロナ回復加速化枠(通常類型)
④コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
⑤サプライチェーン強靭化枠
(6)事業再構築補助金第12回の主な変更点
事業再構築補助金第12回の主な変更点は以下の通りです。
①事業類型の見直し
従前の6枠➡新たに3枠へ簡素化されていますが、項目の集約等が生じているもので、実態はさほど変わっていないと言えます。
②事前着手制度の原則廃止
事前着手制度は、原則廃止になりました。
ただし、経過措置として、第10回・第11回公募において、事前着手が可能であった事業類型の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、第12回公募において、コロナ回復加速化枠又はサプライチェーン強靱化枠に申請する場合は、事前着手可能とされています。
具体的には、以下のケースです。
③口頭審査が導入
金額など一定の審査基準を充足した事業者は、1社15分程度の口頭審査が必要です。この審査は、申請事業者の代表や従業員などが対応するルールとなっており、補助金の申請支援者などは同席出来ません。
事業者としての主体性が確認されます。
④コロナ債務を抱える事業者への配慮措置(コロナ借換要件)
「コロナ回復 加速化枠」では、【コロナ借換要件】が設けられています。
通常類型では実質的に必須要件、最低賃金類型では任意要件(ただし、充足しない場合は補助率引き下げ)となります。
なお、コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていることを確認するため、借換先の金融機関等による「コロナ借換要件・加点確認書」の提出が必要です。
⑤コロナ債務を抱える事業者への配慮措置(加点)
コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者に対する加点が実施されます。具体的な内容は、以下をご覧ください。
⑥過剰投資の抑制
事業計画書の審査にAIが導入され、事業の重複率や類似案件(例:特定の飲食店、シミュレーションゴルフ、グランピングなど)の審査が厳格化されます。
これは、コロナ禍で投資が増えた案件の倒産事例が増えるなどの配慮として、過剰投資誘発を防止するための措置です。
また、交付申請や実績報告時にもAIが導入され、審査の標準化や高度化が進みます。
⑦金融機関からの資金調達が必要な場合、金融機関確認書が必須
これまで、補助金額が3,000万円を超える事業者は、「金融機関による確認書」の提出が必須でした。
しかし、12回公募からは、金額に関係なく、金融機関から資金調達する場合には、「金融機関確認書」の提出が必須になります。
なお、自己資金で事業実施可能な場合は、「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出することで足ります。
⑧事業計画書のマスキング処理
事業計画書の原本に加え、事業者名や代表者名などの申請者を特定できる情報をマスキング処理した事業計画書が別途必要となります。
一手間増えますね…。
(7)書面審査のポイント
審査は、公募要領に記載されている「審査項目」に沿って実施されます。
公募要領を見ると、以前よりも、審査ポイントが多いように見受けられます。書面審査の概要として、以下の「事業再構築補助金 第12回公募の概要」をご覧ください。
ポイントとして、過去と比較し、事業継続性の高い事業、社会性の高い事業が有利になると想定します。
(8)事業再構築補助金第13回公募はあるの?
第12回のスケジュールは以下の通りです。
識者の中でも、「第12回が最後」、「第13回以降も実施される可能性がある」との意見があります。
中小企業庁も何ら回答を行っておりませんので、2024年5月現在では、全くの白紙と言えます。
(9)まとめ
事業再構築補助金の第12回公募では、前回同様、競争率の高まりが予想されます。申請に必要な書類の多さや、採択後の報告義務の負担も無視できない課題です。しかし、他の補助金と比較して高額な補助金を受け取れる可能性が高いため、大規模な設備投資を計画している事業者にとっては、挑戦する価値のある制度と言えるでしょう。
ただし、採択率が30%程度に留まることが予想される中、より多くの意欲的な事業者が申請に参入することが予測されます。そのため、今回の公募は、これまで以上に競争が激化すると考えられます。
このような状況下で採択を勝ち取るには、過去の制度趣旨や採択のポイントを深く理解している経験豊富なアドバイザーのサポートを受けることが、成功への鍵となるでしょう。
また、以下の記事もご参照ください。
以上、経営のご参考にされてください。
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