ITエンジニアが全員失業する?MicroSoftのAuto-Devがすごすぎる件
自己紹介にも書いてありますが、僕のメインの仕事は、IT企業の経営です。たまには、IT企業の社長っぽい話題を。
noteに自己紹介を書いた頃から5年が経ち、企業買収なんかもしてきたので、子会社も増え、現在はグループ全体で300人弱になっています。
子会社もあるので、IT以外の業務もありますが、相変わらずメインは本体のIT。当然、社員には、エンジニアが多いです。
みなさんご存知の通り、エンジニアは売り手市場が続き、慢性的なエンジニア不足。そんな中、最近では、AIがエンジニアのサポートをすることで、エンジニアの生産性が一気に上がっています。
現状は、AIはあくまでサポートする位置づけですが、先日、完全自律型AIエンジニアのdevinが発表され話題になっています。このAIは、人間のエンジニアのように、自分で考えてコードを書き、テストをして、不具合があれば、直してという作業を繰り返して、最終的に成果物を完成させることができます。まだ、商用化も一般リリースもされていませんが、これがデモ通りであれば、人間のエンジニアの代わりとして、比較的簡易なレベルの開発業務は、AIに代替され、人間のエンジニアはより高度な開発業務に集中できるようになるでしょう。
そんな中、発表されたMicrosoftのAuto-Devは更に衝撃的です。
まだ、商用化されておらず、arXivという論文データベースに公開されただけですが、Microsoft内では、すでに稼働しているようなので、一般公開もまもなくでしょう。
従来のAIではコード生成、テスト生成というように、単一のタスクをAIが自動化していましたが、devin同様開発プロセス全体が自動化されます。devinと大きく異なるところは、それを複数のAIエンジニアがチームになって、開発を行うということです。
このシステムでは、システムでは、それぞれの専門分野に特化した複数のAIエンジニアが話し合い、ソフトウェア開発のさまざまな領域でそれぞれの専門知識を活かして働きます。プロジェクトを始めるには、単に要求を伝えるだけで良く、その後はまるで熟練したエンジニアのグループがブレインストーミングを行うような、議論や審議、解決策を練る様子を画面上で見ることができるようです。画面だけ見ていると、まるで人間のエンジニアチームが働いていると勘違いするかもしれません。
すでにMicrosoft社内では稼働しているようだということを前述しましたが、実際に稼働した際のHumanEvalでの評価ではPass@1のコード生成とテスト生成の評価でそれぞれ、のスコアを記録するというすごい結果だったようです。これは、自動運転で生成された成果物が一発で合格レベルに達したということを示しています。
自動運転と言いましたが、Auto-Devには、talkとaskという機能が用意されていて、AIたちが迷ったり、判断に確信が持てなかったときに、人間の管理者に状況を伝え、判断を仰ぐ=相談するという機能があります。確かに、人間のエンジニアもそうですが、1人で相談もせずに突っ走られるより、疑問や迷いがあるときは、判断を仰いでほしいですよね。
ここで、ポイントとなるのは、この人間の管理者の能力です。AIたちが質問している内容を正確に理解し、適切な判断をして、指示を出さないといけません。コードを書いたり、テストを項目を考えて、実際にテストして、不具合が出たら、修正するという現在のエンジニアが担当している多くの作業は、どんどんAIに任せていくことになると思いますが、今度は、この管理者としての能力を持った人材が多く求められることになるでしょう。
そういう意味では、レイヤーの低いのエンジニアの仕事はほぼ確実に奪われると言ってよいかもしれません。低レベルな状態で入社し、仕事をしていく中で、レベルを上げていくという従来のやり方は、非効率なので、なくなってしまうかもしれません。
そういう意味では、残酷な話ですが、エンジニアになれば食いっぱぐれがないと言われて、低いレイヤーエンジニアになった方たちは、AIをうまく管理できるエンジニアになるか、さらに高度な能力を身に着けて、AI自体を開発するエンジニアになるかしか、エンジニアとして生き残る道はないかもしれません。
経営サイドとしては、Auto-Devのようなサービスが実用化される日が待ち遠しいですが。