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傲慢な過去の恋愛

 過去の私に問いただしたい。お前は傲慢になっていないか。

 当時付き合っていた恋人との関係を周りの友人は老夫婦みたいと表現した。確かに喧嘩もしないし、干渉もしない。感情をぶつけ合うこともなく、平和な関係だった。

 アルバイト終わりの深夜に車の中で言葉を交わす。買い物に行く訳でもなく、祭りに出かける訳でもなく、旅行に行く訳でもない。ただ会話をできることで満足していた。だけど次第に長年付き添ったような関係が退屈になってきた。

 そんな時期にアルバイト先の同僚が私に好意を持っていることを知る。でも今付き合っている恋人を振ってまで乗り換える勇気はない。だけど今恋人との関係に飽き飽きしている自分もいた。さらに私の傲慢さに栄養補給するかのように、サークルの先輩が私に興味を持っている噂が流れてきた。

 単純な私が傲慢の怪獣に変身するのは時間が掛からなかった。モテ期到来。そう勘違いした私は恋人に別れを告げる。特に関係が悪い訳でもない。なんならこのまま結婚するとまで思っていた。なのに私は一方的にサヨナラした。

 結論から言おう。そこから現在に至るまで私には恋人がいない。今の私にはわかる。恋人がいる人はなぜか魅力的に映るのだ。そして私が好きになる人には大抵、恋人がいた。

 そう。私は恋人と別れてから、あんなに私に好意を寄せていた人が急に見向きもしなくなった。もしかすると私のおでこに「傲慢」と書かれていたのかもしれない。

 あの時の私に言いたい。今、目の前にいる恋人と大切にしよう。結果、別れることになってもそれは自分勝手な理由ではいけないと。

 

 

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