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ゴールの予感:2021 J2 第10節 愛媛FC×アルビレックス新潟

この試合、開始5分で「これは新潟のゴールが決まるのも時間の問題だな」なんて考えていたら開始10分ちょっとでゴールが決まった。今回はこのあたりの匂いの嗅ぎ取り方について書いてみる。

実はこの後に「新潟が前半で3点くらい取っちゃうだろうな」とも考えていたんだけど愛媛が整えて実際にはそうはならず、前半30分以降、特に後半から森谷が入ってからは良い流れを愛媛が作るようになった。

試合の流れによっては「得点を重ねるチャンスを逃した新潟」「少ないチャンスをものにした愛媛」という結果にもなりえただけに、愛媛は最初の15分がとにかく勿体無い。

練度の足りない愛媛のフォーメーション

この日の愛媛のフォーメーションは4-1-4-1というもので、4-1-4-1が特に際立っていたのは守備の陣形となる。

個人的に4-1-4-1は一昔前の戦術で攻撃のための戦術(前線5枚+アンカー1枚)というイメージが強く、守備としての4-1-4-1は中盤の1の脇、いわゆるアンカー脇を突かれるとメチャクチャ弱いし縦をコンパクトに圧縮しないと簡単にアンカー脇を突かれて以上!みたいな、既に攻略し尽くされているし練度が低いと攻撃のメリットを守備のデメリットが上回るというフォーメーションという認識。

が、愛媛は守備時に縦をコンパクトにまとめるという高い練度を必要とする4-1-4-1を繰り出してきて、この時点で「なんか今時珍しいことやってくるな」ということが頭をよぎると同時に、「これで新潟のビルドアップをどうやって攻略する気なんだろうか?」と眺めていたら4-1-4-1の4と4でブロック敷いて新潟がパスを受けるためにポジショニングする前方に人数を割いて中央に絶対パス通させないぞ!という意図なんですね、みたいなことは伝わってきた。

で、後で調べたら5レーン対策としての4-1-4-1ということだったようです。(有料記事)

という世界の先の方を把握して試合を再確認してみたんだけど、失点するまでの愛媛は過ぎたトレンドとしての4-1-4-1しかやってない。7分くらいから4-5-1を意図的に敷いたのか結果として4-5-1になったのかは判らないんだけど、とにかく中央にパスを通させたくないという意図だけは伝わってきた。

話が逸れた。なんでゴールの予感がしたかという話だった。そういや、上の記事を参考文献とするために1,500円払うことになったがEURO選手名鑑が貰えるらしいのでヨシ!俺の知らない4-1-4-1がいっぱい書かれていたのでヨシ!

話を戻そう。愛媛は従来の4-1-4-1のセオリー通りに縦コンパクトを強く意識してアンカー脇を潰してパスコースを塞ぐものの、縦をコンパクトにするということはブロックの前後にスペースが空くということでもある。

新潟はこのスペースを見逃さずにボールを前後に動かしながら愛媛の4-1-4-1を前後に動かして最終ラインの裏のスペースへロブパス供給ということを繰り返す。

この「相手がそうくるならこっちはアレやろう」を(たぶん)監督の指示なしにピッチの中の11人で即共有して実行できるのが新潟のストロングである。心が通じ過ぎてるし全員ソウルメイトなのかもしれない。このあたりは次のチャンスがあったらアルベルト監督への質問として出してみたい。

そんなこんなで気が付けば愛媛が意識していた中央もスパスパとパスを通されるし気持ち前掛かりでボールを奪いに行けば裏ロブである。開始5分でやりたい放題する新潟を見て、「これは新潟のゴールが決まるのも時間の問題だな」と思った5分後。

なお、谷口のロブ裏抜けワンタッチとかをイメージしていたんだけど全然違うゴールが炸裂したというのは内緒だ。

「やりたいことはわかるけど、それをやるには練度が必要だよね」「見た感じそこまで練度高くないよね」「新潟はセオリー通りに問題を解いているよね」という組み合わせから、「これは新潟のゴールが決まるのも時間の問題だな」と感じて実際そうなったという話。

ゴールが決まる直前の2分間くらいはズルズルと愛媛のブロックが下がってゴール前ベタ張りになって「詰みだな」と思ったところからの新潟ゲットゴール。

このゴールまでの一連の流れは、ジリジリと相手の陣地を侵略して城を攻め落とすという、タワーディフェンスに代表される陣取りゲームとして理想的な展開だった。だからこそゴールの期待値も爆上がりで結果も当たった。こんな感じでtotoも当たれ。

が、失点以降はボールを触ることでリズムを掴んだ愛媛が徐々に持ち直して試合を作る時間が増える。

特に後半から森谷が入ってからは前半にコンプリートできなかったラストパスが通ったり中盤でボールを捌いて新潟の守備を無力化したりして新潟を脅かすシーンが度々訪れたし、守備時には首振りや指差し確認で状況把握と共有を積極的に行なって愛媛の意思統一の中心となっていた。

いや、これ本当に森谷が前半スタートから出ていたらと思わずにいられない。とりあえず川村拓夢はアルベルト監督に柔道技を仕掛けられに行ってほしい。

で、得点後も新潟は愛媛の4-1-4-1(4-5-1)攻略を愚直にやり続けて愛媛のブロックを崩すまでは出来ていたんだけど結果として得点には結びつかず。

試合を観ながらゴールの後のワンプレイで一気に押し倒して大量得点もあったんじゃないかと考えていたんだけど、直後の得点に結びつかなかったことが結果として試合全体を劇的で面白いものにした。

予想が当たると非常に面白いですが、予想と違うことが起きるからサッカーは面白かったりするのです。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。