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サイド起点(ビルドアップ省略):2021 J2 第6節 SC相模原×アルビレックス新潟

引き分けで連勝ストップとなったが、連勝が止まるとしたらこういう展開だろうなという展開そのものだった相模原戦。相模原は俺の予想よりも攻めていて、彼らの強い気持ちを感じた。

さて、相模原は5-3-2という形で「プレス?ナニソレうまいの?」という割り切りが特徴の守備をしてくるというのは試合をやる前からわかっていて、それを最後方から繋ぐビルドアップをストロングとする新潟がどうやって攻略するかという楽しみ方をしようと考えていたのは俺。

いや、新潟の最終ラインがボールを握ると引き潮のようにサーッ!と引いていく相模原の守備の潔さは気持ち良かった。勝つためにあらゆる手段を講じるのがサッカーの面白いところの一つだ。

さてさて、引いた守備をされるとなぜに新潟は苦しくなるのかということを紐解いていこう。

新潟のビルドアップの特徴として、近年世界的に主流の前線からの猛プレスを回避して数的優位を作って攻撃しようというものがある。プレスを躱して人とボールを前方に送れば盤面上は守備の人数よりも攻撃の人数が多くなる。なので、前線からの猛プレスと新潟のビルドアップというのは非常に相性が良い。そして、プレスを躱しきるだけの仕組みと技術が大前提として成り立っている俺たちの新潟(この前提が成り立っていないとポゼッションもどきになってしまう)。

そして、「プレスを躱しきるだけの仕組みと技術」を持っている中心的プレイヤーが両センタバックの千葉とマイケルであり、両ボランチの高と島田だったり、両サイドバックの藤原とゴメスだったり史哉だったりする。

ちなみに、至恩やロメロや高木や星はプレスを躱した後、さらに前進したりフィニッシュを決めたりする役割が与えられている。余談となるが、彼らは守備時においては猛プレスを仕掛けて高い位置でボールを奪い返すという役割も与えられていたりする(この話はまた今度。新潟が後半にパフォーマンスを落としてしまう最大の理由がここにある)。鈴木孝司の兄貴は唯一神。

前置きが長くなったけど、相模原のように新潟がボールを持ったときにプレスをせずに引くという対応をされると、新潟がやりたい「相手のプレスをパスで躱す」ができなくなってしまい、新潟のストロングを出せないという状況になってしまう訳なのです。

いやいや、そんなのは想定内のアルベルトでしょ!と言うのは当然なので、この日の新潟がなにをやろうとしていたのか解説してみる。

サイド大外を起点にしたパス回し

基本はこれ。

大外に張るのは左サイドならゴメスだったり至恩だったり、状況に応じて柔軟に変えていたけど、ボールを縦に運んでペナルティエリア内まで運ぶプロセスは徹底していた。

とりあえずキーパーまでボールが戻ったらセンターバックを経由したり直接底弾道フィードしたりで、ハーフウェイラインあたりのタッチライン大外にボールを置く。まずはここからスタート。

ビルドアップ省略ということで千葉とマイケルの見せ場がないけど底弾道キックを見せたりしてスキルの高さをアピールしていた。

ボールを受けた選手はとりあえずその場にステイして、他の中盤の選手が複数人で同時に低い位置にポジショニングすることで相模原の5-3-2のブロックの2列目を引っ張ってライン間にスペースを作り、そこのスペース目掛けて鈴木孝司や高木が走り込むと最終ラインは堪らず飛び出してくるので結果ギャップが生まれて、生まれたギャップ目掛けてさらに誰かが走り込んでフリーでボールを受けるという形。広がったライン間を誰もケアしなかったら高木が悠々と前を向いてボールを持つという選択肢も出てくる。大外にボールを置いても相手が動かなかったら千葉マイケルまでボールを戻してやり直しとなる。理論上ポゼッション率80%とか超えそうだが、サッカーはミスのスポーツということでボールが相手側に転がることもあるので普通そんなことにはならない。

文字で読んでもサッパリわからないので絵で確認しよう。

これがうまくハマるとリサイクル旋回みたいになるんだけど、そうそう綺麗に決まるものでもないので目撃できたら悶えておきましょう。

基本的には「相手守備を相手陣内で縦に広げて空いたスペースから突撃!」だったのだが、相模原の守備の集中力は非常に高かった。攻撃も結構ノリノリで突っ込んでくる時間帯があったりして、ピッチ上の双方の気持ちを感じることができる試合で熱量。

それでは、また。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。