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エンターテイメント!:2021 J2 第12節 大宮アルディージャ×アルビレックス新潟

とんでもない試合を観たゴールデンウィーク。観たままの世界を感じたままに書いてみる。

十分な戦力を持っているのにJ2下位に沈む大宮のサッカーを見て「うん... そうだよね... 」という感想しかなかった前半。今日は緩く見ておくかと思っていた前半。

この後とんでもないエンターテイメントを目撃することになるとは予想できなかったし、サッカーの醍醐味は感情が爆発するところにあると再確認した1時間弱。

大宮サポからしたら酷い試合でしかないけれど、こういう試合を観ることができるからサッカーは面白い。

1対1の同点で始まった後半キックオフ。思いっきり蹴飛ばす大宮と難なく弾き返す新潟。個人スペックでゴリゴリペナルティーエリア内に侵入してくる大宮からボールを奪ったら素早く至恩に渡してペナルティーエリア前まで運ぶも西村と馬渡にサンドウィッチにされて具が飛び出す至恩と溢れた具を元に戻そうとする高木。結局西村に押し出される具。

選手の質は高い大宮、とりあえず蹴飛ばせばネルミン・ハスキッチ186cmがなんとかしてくれるだろうと期待を込めるも新潟が誇るスーパーコンピューター早川史哉170cmが超高速演算処理で落下地点とジャンプのタイミングをピコーン!と弾き出して芸術点高く弾き返す。その後もセカンドボールを回収したりボールを散らしたり。惚れる。

その後はずっとボールを保持して離さない新潟。アルベルト監督の「ボールを愛せ、愛しているなら手放すな」を愚直に遂行する新潟。もう君を離さない。

大宮が蹴るボールは宙を高く舞い、どんな場所にもスタンバイに移動するネルミン・ハスキッチ。が、新潟にボールを奪われて一気に前線に攻め込まれてションボリするネルミン・ハスキッチ。

新潟のショートパスでゴール前を攻め込まれる大宮はとにかく蹴りだそう!という意識が強くて蹴り出した先には再び俺に任せろネルミン・ハスキッチ186cmがスタンバイするも早川史哉170cmでエアバトルアゲイン。マジ惚れる。小錦を投げ飛ばす千代の富士か!

50分くらいから大宮のパスが回るようになって新潟がボールを奪えなくなる時間帯。リズムに乗ってゴール前まで運べば個人のスペックでゴリゴリシュートまで持ち込む大宮。小野雅史ええなぁ。

その後も自陣深い位置からロングボールを発射する大宮。待ち構えるのは(略)。目測を誤って空振り。その背後で状況を見つめる(略)

56分、高木がフリーでボールを受けるとターンして前を向いて右足オシャレアウトサイドで至恩に優しくボールを渡すとゴール前中央でキュイーンとアクセラレーション。後ろから走り込んできた藤原へマイナスのパスを出して決定機を演出するも大宮の壁。ふとアクセラレーションって言ってみたくなった。

その後、ショートパスショートパスで繋いで残念そこはロングでしたー!という大宮のロングフィードが広大な新潟の最終ライン裏に放り込まれるもオフサイド。それにしても中野は明らかに特殊能力を持っているので留学して能力爆発させてほしい。まだ25歳なので十分いけるはず。夢を諦めないで。

58分、気持ちよくパスを回す新潟のボールを大宮のマジカルスター小島がインターセプトしてネルミン・ハスキッチ186cmへスルーパス。残念そこは早川史哉だ!と思ったが裏を取られて逆転される。高さで勝てないのになんで地上戦で勝つんじゃぁぁぁ!アアアァッ!マジカルッ!ハスキッチはラブズッキュンのハートパフォーマンスかよ!

ヤベーヨヤベーヨという雰囲気の新潟とは対照的に「俺たちは強い」という雰囲気の大宮。俺たち今まで本気出してなかっただけと言わんばかりにイキイキとピッチの中で躍動する大宮。もうひたすら裏狙おうぜ!という雰囲気が漂う。早川史哉の高速演算処理も間に合わない。

状況を変えたいアルベルト監督はキングケンにを下げて星投入。ポジションはそのまま同じ場所。

イキイキしている大宮はボールに対して複数人でガツガツ君。当たりが出たらその場でもう一人突っ込んでくる。ボールさえ奪えば中野が時を止めてくれるんじゃないかという雰囲気。

なんとか押し込みたい新潟は藤原のアーリークロスで海キャノン谷口を狙うが馬渡が足でもなく頭でもなく胸と腹で生まれたての我が子を抱き抱えるように優しいトラップでボールを保護する。審査員全員が芸術点に満点付けた。その後もピッチ中央でダイビングヘッドクリアという芸術点の高いプレイを披露する馬渡。海老反りが男前すぎる。

飲水タイムでメチャクチャ気合注入しているアルベルト監督。何を言っていたのか非常に気になる。メチャクチャ険しい顔してる。

70分、島田に変えて「涙でダイヤモンドを磨く男」こと三戸投入。まさかのワンボランチで攻撃の枚数を増やす。去年このやり方で何度もうまく行かなかっただけに不安しかないアタッキング采配。一方の大宮は芸術点の高かった馬渡を下げてスタミナとスプリントが持ち味の翁長投入。

残り20分でリードしている状況、この試合あまり仕掛けてこなかった前線からのプレスを仕掛けてくる大宮。溢れ出て抑えられない気持ちが強く出た直後、勇気を振り絞って「僕と付き合ってください!」と発した大宮の告白を無下に断る俺たちの絶対的アイドル。

前節のジェフ戦に続いて個人のスペックで戦術とか組織を完全無力化する俺たちの至宝。こんなん相手する側からしたらもうやってらんないっていう言葉しかない。いやいや本当に凄いものを見せて貰えて幸せなことこの上ない。高木のヒールパスも圧倒的芸術点。

ここまできたらノリノリの新潟は三戸が何度も決定機を外して頭を抱えるものの、最後はトドメの一発を星が叩き込んでゲームセット。スタジアムは興奮のるつぼでディスプレイの前の俺も笑うしかない。

結果としてアルベルト監督の交代策が予言者のように当たった訳だけど、いやはや戦術とかアレコレ考えるのやめようかなと思うくらいにエモーショナルな試合で新潟サポーターにとって素晴らしいゴールデンウィーク。

戦術的な視点でサッカーを観るのは非常に楽しいですが、サッカー観戦の一番の醍醐味は感情が爆発する瞬間ではないでしょうか。感情の揺さぶりこそがエンターテイメント。

そんなことを考えずにいられない試合でした!


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。