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良い攻撃は良い守備から:2024 J1 第13節 アルビレックス新潟×浦和レッズ
守備崩壊。連続して守備崩壊している俺たちの新潟が辛い。涙目で語るマイケルを見るのも辛い。
遅過ぎた反転攻勢。
— サッカー新聞エルゴラッソ (@EG_spy) May 12, 2024
序盤から自分たちの主導の戦いを
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そんな新潟の現状、この日の4失点を記録しておきたい。
はじめに、新潟はちゃんと守備ができるチームである。素晴らしい守備でうまくいった試合としては2023年シーズンのマリノス戦、特に13節のホームの442ゾーンプレスなんかは本当に素晴らしかった。勝てる時の新潟は間違いなく守備が機能している。
33節のアウェイ戦は選手のスペックに頼った守備だったとはいえ本当に良く守れた試合だった。圧倒的な火力を有していたマリノスのサイドを抑えた。
こんな感じで良い時の新潟というのは守備に集中していてピッチの上の11人が各々のタスクを遂行しているというものになる。これは新潟に限ったことじゃないと思うけどこういう守備ができるように戻ってきてもらいたい。良い攻撃は良い守備からというのはサッカーの金言である。
それでは失点シーンを確認していこう。
まずは1失点目。立ち上がり早々、見慣れた光景のようにサクッと先制される。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) May 11, 2024
🏆 明治安田J1リーグ 第13節
🆚 新潟vs浦和
🔢 0-1
⌚️ 4分
⚽️ チアゴ サンタナ(浦和)#Jリーグ pic.twitter.com/Pxsdo1JeSs
浦和が後ろでボールを持ってビルドアップ開始という場面からスタート。アンカーのグスタフソンが秋山ムーヴで左に落ちてアンカーの位置には大久保が入る。
新潟は長倉をトップに置いた4231のようなブロックを組んでプレスは消極的。左に落ちているグスタフソンからアンカーに入っている大久保へボールが入ると島田がボランチの位置から単騎で大久保にアタックする。島田は大久保を後ろに下げさせて長倉はホイブラーテンのパスコースを切りグスタフソンへのパスを誘導する。グスタフソンへ出るであろうパスは松田が回収する目論見で距離を詰めていくが大久保は島田長倉松田の3人に囲まれながらも左サイドで一列上がって待機している凌磨へロブを通す。しかしながら残念そこは藤原奏哉ということで潰せるタイミングで凌磨にアタックするがトラップで躱される。ボールは飛び出た藤原が不在となっている右サイドのスペースを悠々と転がって高く設定された新潟の最終ライン裏を抜け出すチアゴ サンタナの足下にピタリと収まる。
時間を逆から巻き戻してみると、遠藤がチアゴのパスコースを消せなかったか、あるいはマイケルがオフサイドに掛けることができなかったかというポイントがある。
遠藤がラインを上げたのがセオリーどおりなのかどうかは正直良くわからない。ここはプロの解説を聞いてみたい。一方のマイケルはオフサイドに掛けようとして瞬間前に出たがチアゴの抜け出しの方が上手くてオフサイドならずという結果だったのだが史哉も残っていたので抜け出しが上手すぎたチアゴという評価になる。
次に藤原が躱された場面。
藤原がタイマンで負けたという一言で済ませることのできる話ではあるが、この場面に行くまでに藤原は大外に張っている凌磨とハーフスペースに入っている中島翔哉の2人を1人で監視して対応しなくてはいけないという配置になっている。それでも藤原はパスの出先を瞬時に判断して間に合うようにアタックしているのだからサラッと凄いことをやっていたりする。
ポイントとしてはこの配置になることを許容していたのかどうかということになり、4231のブロックではなく442のブロックで組んでいれば島田が飛び出す必要も藤原が2人を監視する必要もなかったんじゃないだろうかということになる。442ブロックの2でアンカーを消して2列目の4で大外とハーフスペースの空間を狭くするということもできたような気がする。新潟がいつもぶつけられている守備である。
浦和ビルドアップ時の4231ブロックが意図したものなのか結果としてそうなったのかを知ることはできないが、長倉が目立った形でトップに1人で立っていたことを考えれば意図した4231ブロックだったのだろう。このことを踏まえればその前のシーンの松田がなんでサイド捨てていたのか?という部分については結果としてそうなりましたということにしかならないはず。
次に、なんであんなに簡単に大久保にボール入れさせるんだよ!ということを言いたくなる人もいるかもしれないが新潟も普通に秋山や宮本にスコスコとボールが入るのでそういうもんだ、むしろ前さえ向かせなければ大丈夫だから入れさせておけくらいな話ではないだろうか。実際に大久保にボールが入る時には島田が猛烈プレッシャーを掛けて絶対に前を向かせないマンをしている。なんだかんだ結局前向かれてパスを通されてしまうんだけどね。大久保のパスが通らなかった時を想定してセカンドボールを即時奪還できるように前に走り出しているグスタフソンが偉い。
この失点シーンとしては4231ブロックを敷いたというのが結構致命的だったんじゃないだろうか。それでも防げるポイントはいくつかあったものの全てのジャンケンに負けたという結果なんだと思う。これが開始3分で起こってしまったのは悲劇でしかない。
その後の守備陣形としては何故かダイヤの442というか小野が中央でハセモ長倉が最前線にいる4312のような陣形となる。人に付いた結果そうなっただけかもしれないがアンカーを絶対に消すという意図なのかもしれない。これが機能しているとは言い難く、結果として松田が内側に寄ってくるので大外で凌磨がワクワクしながら待っている場面が散見される。
続いて後半65分の2失点目。浦和のビルドアップの流れで西川が絶品ロブを左サイドに通して擬似カウンター。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) May 11, 2024
🏆 明治安田J1リーグ 第13節
🆚 新潟vs浦和
🔢 0-2
⌚️ 65分
⚽️ サミュエル グスタフソン(浦和)#Jリーグ pic.twitter.com/XQjWKlNvAQ
後半に入ってからの新潟の守備はプレスともブロックとも呼べないもので、小野や長倉がボールの転がる先目掛けて走るがその先を埋める形の寄せが足りない守備となる。これでは小野も長倉も無駄走りになってしまう。
プレスが空回っている新潟に対して西川は左サイドが空いてるぜ!とショルツにジェスチャーで伝えるもショルツは西川にボールを戻す。西川はそのまま自分が見つけたスペースの凌磨へロブを通す。この西川のロブを蹴らせまいとアタックするのは松田。右サイドハーフの松田。中央一番深い位置にいる西川にアタックする右サイドハーフの松田である。長倉と松田が中央にいるということは右サイドに誰もいなくなるというのが必然であり、そういう状況を歴戦の西川が見逃すはずもない。どうしてそうなったという守備陣形を敷いてしまった俺たちの新潟。
西川までボールが戻った際にスルスルと落ちてくる大久保とそれを追いかけてボールが出てきたら絶対に潰すか久保の島田という場面もあるのだが、西川のキックは大久保に出ることなく左サイドへ飛んでいく。大久保へのアタックを慌ててキャンセルして凌磨を追いかける島田なのだが間に合うわけもなく中島を経由した3人目の動きで大久保がリターンを受けて2列目を難なく突破して薄皮かつギャップが生まれまくっている新潟の最終ラインを走り抜けた。
失点のポイントとしては連動しない突撃プレスで長倉と松田が中央に入った時点で終了である。おまけに島田まで外されたので壁となれるのは最終ラインの4人しかいなくなるので擬似カウンターでスピードに乗っている浦和の攻撃を止める術はない。
計画も連動もないプレスが招いた惨劇である。
最後に3失点目。相手陣内で決め切ろうと押し込んでいた状況からのカウンター被弾。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) May 11, 2024
🏆 明治安田J1リーグ 第13節
🆚 新潟vs浦和
🔢 0-3
⌚️ 69分
⚽️ 前田 直輝(浦和)#Jリーグ pic.twitter.com/qVMhXkG6Vp
ゴール前を442で固める浦和に対してマイケルが長倉に鋭い縦パスを差し込むもアタックに耐えきれずボールをコントロールしきれない長倉。セカンドボールをチアゴに拾われると得意のガツンとアタックスライディングで即時奪還をキメにかかる遠藤だが鮮やかに躱されてしまう。チアゴの前方には実質小島しかいない状況でマイケルが外側から走って追いかけるという絶望的な状況にどうすることもできない俺たちの新潟。小島神といえどもどうすることもできず絵に描いたようなカウンター被弾で試合が実質的に終わる。
4点目は何もいうことがない。VARが介入せずとも明らかなトリッピング。
1失点目や2失点目は守備陣形に起因するものだし、勝てる時の新潟はとにかく守備戦術が明確でピッチ上の11人がそれを遂行できているものである。
去年のマリノス戦など、あれだけの素晴らしい守備ができる俺たちの新潟なので、「良い攻撃は良い守備から」というサッカーの金言を思い出してほしい。
とにかく自信を取り戻してほしい。
試合雑感
松田がスタメンで復帰した。ここ2試合で自分がいなかった時の内容を見ると色々思うことがあるのかもしれない。結果がほしいことだろう。
厳しい台所事情で結果的に遠藤がセンターバックのポジションをゲットしている。大きなミスというかやらかしは減らないものの試合をこなすたびに良くなっているので出場した試合を大事にして経験値を貯めてもらいたい。
今日の新潟の陣形としては442っぽい4231になるんだろうか。長倉と小野がどのくらいの頻度で落ちてくるのかをとりあえずチェックしてみたい。
そんな感じで前半。
浦和は全てのスペックが新潟の上というチーム。序盤はチアゴ・サンタナのスカウティング間違えたのか?というくらいに攻守ともにやられてしまった。暴れすぎだろ。
試合の流れとしては新潟ビルドアップを潰す浦和のマンツーマンプレス、その結果として右サイドに追い込まれる新潟という形になる。俺たちの新潟はプレスがハマらずにフリーで浮いた選手を作られるということで失点シーンは見事な裏抜けで被弾。
散々な前半序盤だったとはいえ、30分以降は浦和を押し込んでいて秋山がボールを持った状態で他の誰かと斜め関係を作れるとボールが回るようになる。2トップは小野が頻繁に落ちてきて闘魂注入するし、長倉は頭で合わせるのが上手すぎる。走りながらピッタリ合わせるのはメチャ凄いし新潟じゃなかったらもっと輝くような気がする。だけど新潟からいなくならないで!
今日の新潟の攻撃はビルドアップからのクロス爆撃が多いですがハセモのクロスの質が結構素晴らしい。速くて低いキックで長倉との相性が良くて強いヘッドをぶちかましてくれる。
ハセモ×長倉が輝いているものの松田が相手の守備を上回れずに仕掛け切れなかったりSGGK西川神が偉大すぎたりなので前半序盤は本当に酷いことになったのだがそれ以外は負けてないしなんなら決定機は新潟の方が多かったような気がする。火傷してから強くなるここ最近の新潟なので今日こそは一気に逆転勝利まで持っていってもらいたい。
もらいたかった…
浦和のサッカーが攻守一体でとにかく素晴らしい。戦術と選手のスペックが見事に噛み合った良いチームである。
新潟の失点シーンは浦和の狙い通りというか浦和の戦術そのもののカウンターなのだが、それにしてもカウンターへの対応がなさすぎて辛い。ここら辺はスカウティングの質とかなんだろうか。ここまでいいように連続でやられるというのは何かあるんじゃないかと思ってしまう。
ポジティブな要素に目を向ければ新潟のゴールシーンも新潟の狙い通りのクロスだった。ここに可能性を賭けているだろうしゴール前で一番期待できる攻撃なのだが長倉が必須となる。長倉はいなくならないで!
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) May 11, 2024
🏆 明治安田J1リーグ 第13節
🆚 新潟vs浦和
🔢 1-3
⌚️ 75分
⚽️ 太田 修介(新潟)#Jリーグ pic.twitter.com/z8qWL5bkFd
#舞行龍ジェームズ 選手のクロスに #長倉幹樹 選手がヘディングで合わせる。
— アルビレックス新潟 (@albirex_pr) May 11, 2024
90分間攻守に献身的に走り、ゴールを狙い続けた。
試合の振り返りは #DAZN で。https://t.co/TXEcE7LIeu#albirex pic.twitter.com/98fNpYXarQ
そして新潟サポが今一番愛しているであろう奥村は今日も特徴が良く出ていた。
前節はパスの特徴はイマイチ出ていなかったが今日はいくつかワクワクするやつを出してくれた。涼太郎っぽいキックを蹴れる奥村。至恩のように持ち、涼太郎のように蹴る。
一方で遠藤はメンタル大丈夫なんだろうか。ポカるまでは良いプレイをしていてもひとつのポカりで全て壊してしまうポジションではあるのだが短期間の間に必要のない致命的なことをやらかしてしまう。SNSとか見ないようにしたほうがいいしクラブも手当てしてほしい。
新潟のサッカー、出口の灯りは見えているもののなかなか辿りつけない。新潟が強い時は守備がちゃんとしているものだし俺たちの新潟ならきちんと出来ることでもある。とりあえず先制点を取られず先制点を取る展開にしたい。
ここ数試合に関しての問題は守備であることは間違いないし理想的な守備としては2023年のホームマリノス戦のようなやつになる。繋ぐチームにはプレス仕掛けて高い位置で奪い、ボールを持たないチーム相手には自分達が握って主導権ゲットというのが理想的な試合運びだろう。
理想的な守備としては上記のものになるが、基本に忠実に442ゾーンプレスして守備範囲の広いヤンが中央で回収というシンプルな話。
442ゾーン守備はサッカーの基本中の基本だからプロなら普通に理解して実行できるような気はする。ここのところの新潟はとにかく守備の意識が統一されていないのでプレス空回りとなって今日の試合のような結果となってしまう。
この状況を立て直すにはとりあえず442ゾーンをきっちり遂行できる11人を現状のメンバーから選んで戦うとかになるんだろうか。それでも宮本がいないので回収役不在で全てを秋山にぶん投げることになってしまうしピンポイントタスクだけやっとけ!とボランチに遠藤を置くみたいなビックリ配置をしたとして攻撃どうすんだとかセンターバック足りてないとか。
勝てない新潟、守備崩壊の新潟。怪我人やら移籍やらで十分なメンバー構築ができないというのが一番の要因なのだが全員が戦力というのは本当に難しいのでそのことは一回忘れていいと思う。攻撃に関してはクロス爆撃が長倉必須とはいえ有効だということは結果が示したことでもあるので。
それにしても前プレが空気で2失点目は本当に酷かった。西川がボール持った時点でヤベーなぁとか思っていたら案の定スカスカの新潟右サイドを突破されてそのままゴールを奪われる。どうしてそうなった。
守備を… と言うのは簡単なのだが仕込んでピッチで機能させるのはやっぱり簡単ではないのだろう。それを遂行出来る選手も現在は稼働できない状況で本当に色々辛いのだがスタッツを確認する限りシュートに関しては浦和を圧倒している。とにかく相手に効率良くゴール奪われすぎているだけでシュート19本も撃ってるんだから攻撃はできているんじゃないだろうか。
とにかくメンバーが足りません!
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— hitoshi (@hitoniph) February 23, 2024
「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。