見出し画像

伊藤涼太郎:2022 J2 第3節 アルビレックス新潟×レノファ山口

ホーム開幕戦は追い付いてのドローだったがスーパープレイが飛び出たので何度でもプレイバック。

至恩のコントロールシュートも非常にテクニカルだが、このプレイの見どころはなんと言っても伊藤涼太郎のスルーパス。至恩が守備のブラインドになった瞬間に球足の速いボールを僅かな隙間に出す精度でこれは唸る。本人のコメントは以下の記事を参照。

「相手のボールを奪ってカウンター気味になって、前にスペースがあったので運ぼうと思いました。相手の枚数は多かったけれど、右サイドバックの選手が高い位置を取っていたので戻りが遅れていたのが見えたんです。そこですぐ出すと、至恩が一人かわすことになるので、自分が運んだことによって(本間とGKとの)1対1の状況に持っていくことができました

https://soccermagazine.jp/j2/17523424

ということで、今シーズン新潟のキーマンとなる予感ありありな伊藤涼太郎についてプレースタイルや特徴を確認していく。

とりあえずこの試合の伊藤涼太郎ハイライトをどうぞ。

ビルドアップ要員として欠かせないアタッカー

開幕から3試合、松橋アルビの戦術に欠かせない存在となっている伊藤涼太郎。その特徴はビルドアップ、チャンスメイク、シュートという攻撃的な要素に分別できる。

チャンスメイクとシュートについては先の2つの動画の通りだが、この動画以外にも開幕3試合で唸るプレイは多数。まずはビルドアップ時における伊藤涼太郎の特徴をば。

基本ポジションは4123の2の部分、いわゆるインサイドハーフと呼ばれるポジションになりスタートは右のインサイドハーフに入る。ちなみに左のインサイドハーフは高木。

伊藤は右インサイドハーフがスタートポジション。

ここからビルドアップ時は対角線に落ちて高(ヤン)と横並びになる。こうすることで両サイドにトライアングルを作り局所的に3対1の状況を作り出して数的優位でパス回し放題ロンド地獄のメリーゴーラウンドというのは戦術ボード上の話。実際にはヤンが捌ききれなそうな時に落ちてきて、それ以外は前線付近でスペース探し。

伊藤が落ちて高(ヤン)と横並びになることでトライアングルを形成し局所的な数的優位を作る。

特筆すべきは伊藤の特性である即ターン。これは昨シーズン高木が同じプレイでJ2を席巻したが、高木と同じレベルで即ターンする。即ターンすれば前を向けるので、ドリブルとパスが得意な伊藤と対峙する守備は受け手として後手に回るしかない。

と、実際のピッチ上ではそんな簡単に好き放題させてくれないけど相手の守備が433プレスなりブロックだったら理論としてはこんな感じになる。

だったら最初から2ボランチにしておけば良いのでは?とも思うが、伊藤は守備で輝く選手とは言えないので攻撃要員として扱う必要があり、結果としてインサイドハーフが基本ポジションとなる。

余談となるが、相手が442ブロックの場合は、この伊藤落とし型ビルドアップが絶大な効果を発揮する。

相手ブロック前線の2の脇に伊藤を置くことで伊藤が悠々とボールを保持できるし、伊藤を気にするとヤンに縦パスが入って藤原がハーフスペース無双。

今シーズンの新潟ビルドアップ対策は433守備で決まりです。442でやりたい放題やられるよりは433で詰め寄るという対策。

相手が442守備なら伊藤のインサイドハーフ落ちで相手守備の1列目をほぼ無力化できる。

ここまで3試合を見る限り、伊藤は対角線で落ちてくることが多く、高木とポジションチェンジする形で動く。この所作による意図は正直よくわからないが相手のマークをずらす効果があるような気はする。至恩と近い場所でプレイさせたいだけなら最初から左で良いはず。

伊藤の能力が最大限に発揮されるレイオフ

伊藤はとにかく前向きでボールを持つと選択肢が多くなるプレイヤーなので、いかにして伊藤に前向きでボールを持たせるか?というのは新潟戦術の肝になってくる。そこで多用されるのがレイオフというコンビネーション。

レイオフとは楔のパスを打ち込んでダイレクトで落とすプレイのことだが、このシンプルな所作により伊藤が前を向いてボールを受けることができる。この試合の時間帯で言えば後半55:40や71:35のプレイ。

前を向いてボールを受けさえすれば伊藤の閃きアイデアでファンタスティックにゴールまでのルートが描かれる。素早くダイレクトパスでもヨシ!ドリブルで突撃してもヨシ!パスを出してスペースにランでもヨシ!ゴールが目の前にあればシュートでもヨシ!

去年は高木が伊藤とほぼ同じタスクを担っていたが、どのチームも高木狙いで高木が輝く前に潰されるという光景を幾度となく見せつけられた。シーズンフル出場で満身創痍の高木。

がしかし、今シーズンは伊藤が加わったことで相手守備が伊藤か高木か的を絞りにくくなっているので高木の負担軽減という意味でも伊藤の存在感はメチャクチャでかい。

あとは皆さん大興奮のゴール前でのシュート。言わなくても見ればわかるさ。

伊藤涼太郎、アルビレックス新潟の背番号13に大注目です。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。