本間至恩の攻略方法:2022 J2 第22節 アルビレックス新潟×ブラウブリッツ秋田
秋田のスタイルであるノーザンストーミングのペースに飲み込まれて自分達のスタイルを失った時間が後半にあったものの、終わってみればシマブクのプロ初ゴールを含めて完勝だった俺たちの新潟。
前半のボールを奪われても早期回収するネガティブ・トランジション圧巻だったし、秋田のような対極にあるスタイルにも勝てるようになったのはチームとしての進化を感じずにいられない。
そして、個人的には本間至恩が日々進化し続けていることが嬉しくてしょうがない。去シーズンできなかったことが今シーズンできるようになり、先週できなかったことが今週できるようになっている。
この先、どんな進化をするか楽しみだし、それをリアルタイムで目撃できる新潟サポーターが幸せじゃない訳ないしJリーグ公式も至恩推しな動画を作ってくれている。去年も至恩動画作ってくれていたような気がするんだけど、どんだけ至恩のこと好きなんだよJリーグ。
そんなどうにも止まらない至恩を止めるにはどうしたら良いかということを、秋田が用いた戦術を元に紐解いていく。
左サイドからの右足カットイン対策
これは至恩の代名詞なので今更説明する必要は無いのだが、対戦相手はとにかくカットイン対策を徹底する必要がある。
対戦相手がやってくる対策はいくつかあるが、試合開始早々の前半0分40秒のシーンは印象的だったし秋田の守備の狙いが明確になったシーンとも言える。その後も同じやり方で至恩に前進させない形を継続して作っていた。
至恩がボールを持ったら右足カットインを誘う形で縦を塞ぎ、カットインした先にはもう1人の守備が横の進路を塞ぐ、加えて3人目の守備がパスコースを消してボールを奪うという対応。至恩はバックパスでボールを戻すしかなくなる(とは言え、後ろに戻したところで新潟のターンが続く訳だが)。
なんのことはない、442ゾーンディフェンスの基本でしかないのだが、至恩相手の場合には至恩個人にフォーカスして強度マシマシで対応しなくてはならない。
至恩にボールを持たれたら意図した方向にボールを誘導しようという秋田の守備となるが、横のコース封鎖が間に合ってないとボールの持ち方を変えて余裕で前方にパスを供給する至恩。このことから縦と横の両方を切る対応をいかなる時でもサボれないのが守備側の辛いところとなる。サボった瞬間にやられる。
そもそも至恩にボールを持たせない
至恩がボールを持ったらこんな対策を、という以前に至恩にボールを持たせなければ脅威ではないというのは当然の話。
そのような形に持っていこう!と対戦相手は様々仕掛けを作ってくるが、最も簡便かつ効果的なのは複数人で至恩がパスを受けられな状況にしてしまうこと。
この試合における秋田は2人で至恩へのパスコースを塞いで、まずは至恩にボールを触らせないという守備を徹底する。
これはこれで、この形になると谷口が偽9番で落ちてボールを受けて新潟優位になるだけだったりするので、至恩を封じられても次のパターンに即切り替えできるのが新潟の強さだし、むしろそれを狙って至恩が囮になっている部分もある。
至恩を封じるだけではなく、至恩に紐付く戦術を封じないといけないのが至恩対策になるので、対戦相手は本当に大変だと思う。
これとは別の形で、至恩が封鎖されていると判断したらすかさずゴメスが上がって至恩と入れ替わって至恩がタッチライン際まで張り出して大外でボールを受けるということをやったりする新潟である。
この試合では至恩とゴメスの高い位置でのレーン交換は頻繁にみられていたし、おそらくは試合が始まってから自らの判断で遂行した戦術のようにも思う。
至恩を封じているつもりが目視できていない場所でいつの間にかゴメスに入れ替わっているという新潟イリュージョン。守備側からしたらマジでイリュージョンだと思うけど、このような連携にも対応しなくてはいけない。どうやって対応したらいいのかは知らない。最終ラインがコーチングして対応くらいしかやりようがないのではないだろうか。
封じられた左足クロス
この試合で最も特長的だった至恩対策が左足クロス封じの個人戦術である。左足クロスは至恩が今シーズン装備した非常に強力な武器となっており、カットインを組織で潰し、縦突破からの左足クロスはタイマンで防ぐという秋田の対応方法だった。
これは純粋に秋田の右サイドを任されている木暮と才藤が非常に頑張ったとしか言いようのない形だが、何度もビデオを見返したであろう至恩のカットインと縦突破クロスに反応するために、この試合のために良くトレーニングしてきたというのがDAZNの画面越しからも伝わるし、実際食い止めることに成功していた。
実際には小暮がカットインも縦突破も個人でできる限り対応して、そこで防げれば満点だし、縦突破されたら才藤がアタックに行くという連携を見せていた。この日は小暮が本当に至恩対策要員として良く機能しており、一人で至恩にイッパイイッパイながらも対応していたのは賞賛に値する。
至恩はミリトンのような世界屈指の対人守備に勝つようなフットボーラーになってもらわなくてはいけないので、どんなに対策されようとも国内レベルの対人守備には全勝する能力を身につけてもらわなくてはいけない。
しかしながら、至恩は自分の持ち味であるドリブルに固執することなく、突破できないなら後ろに戻してやり直し、突破すると見せかけて自分を囮にして味方にフィニッシュを決めてもらうということも当たり前にできるフットボーラーなので、そのスタイルをさらに磨いて至高のフットボーラーとなってほしい。
シマブクはおめでとう!
「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。