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スタイル・オブ・アルビレックス:2023 J1 第1節 セレッソ大阪×アルビレックス新潟

J1へ帰還した俺たちの新潟、不安や期待やいろんな感情が混じり合った状態で迎えた開幕戦は大きな自身を持つことができる結果に。

みんな知っていたことだとは思うが、見事なまでの新潟スタイル継続だったので新潟スタイルをおさらいしてみることにする。

開幕戦のスタメン。2022シーズンからの変更箇所はカムバック新井直人のみ。スタイル継続しすぎだろ!

スペイン式ビルドアップ

スペイン式というのは自分が勝手に呼んでいるだけだが、バルサやスペイン代表がやっているビルドアップとなる。いわゆるキーパー+センターバック2人+ボランチ1人 or 2人でボールを前進させるビルドアップ。

最新式新潟はボランチの一人が相手2トップの間に立って、その脇のスペースにもう片方のボランチを置いて脇に立っているボランチがフリーマンになるという形が多い。

相手守備が442だと配置がメチャクチャ噛み合って教科書どおりにポジショニングしてボールを動かすだけでプレスを外したりブロックを歪ませたりして前進できる。

そして、前進するだけではなく谷口が偽9番の動きで最終ラインを揺さぶってコミト(小見×三戸)で裏ポンみたいなこともする。控えめに言って楽しすぎる新潟のサッカーである。

とはいえ、正しいポジショニングを全員で共有するのは必須だし止める蹴るの技術が必要になるのでどのチームでもできるというものではない。俺たちの新潟には3年間の積み上げがあるからこその理論と実践である。

この試合、相手のセレッソが442守備だったので噛み合わせ抜群で試合終了時にはボール支配率60%を叩き出しJ1においても圧倒的なスタイルを見せつけてくれた俺たちの新潟。開始10分くらいはダイレクトパスのコントロールが乱れて落ち着かないばかりかセレッソにボールを回収されることが多くてヤベーな!とか思っていたものの、時間の経過と共に本来の姿を表す俺たちの新潟。

圧倒的存在感を見せた伊藤涼太郎と三戸舜介

やることの基本は去年までと変わらないのだが、伊藤涼太郎のボールの引き出し方と運び方が印象的だった。

去年まではヤンと島田でボールを引き出してから伊藤や高木に繋ぐという形が多かったが、この試合では伊藤が積極的に落ちてきて最終ラインからボールを受けるシーンが多く目撃される。

これだけなら別に新型伊藤涼太郎という訳ではないのだが、ボールを受けた後に単騎で前進してしまうのは圧巻の一言。J1の舞台でより存在感マシマシの伊藤涼太郎。オシャレなことやりすぎてボールロストという場面も多々あったがそれを差し引いても圧巻のパフォーマンス。

伊藤涼太郎のボールタッチ。ハイライト部分は決定機に直結するボールタッチ。前半は降りてビルドアップに参加し、後半は積極的に攻撃に絡んでいる。

ここに怪我で離脱中の高木もそのうち加わるので今後に楽しみしかない俺たちの新潟。圧倒的な技術で前進する伊藤と一発のターンで守備を置き去りにする高木という武器の違いも頼もしい。

伊藤は今シーズン10番を提示されたが新潟で輝いた13番に拘り断ったというストーリーもあるので俺たちの新潟の13番から目が離せなくなるだろう。10番不在のアルビレックス新潟2023だがなんの問題も不安も存在しない。

伊藤の他に圧倒的な存在感を放っていたのは三戸。昨シーズン最終節で圧倒的なパフォーマンスを見せたパリ世代はこの日も輝きまくっていた。

新加入してくれた太田修介の主戦場は右のサイドアタッカーということなので今シーズンの三戸は左サイドでの出場が多くなると予想していたが、予想以上にスタイル継続しているコミトスタメンだったのでいつも通りの右サイドハーフとして出場。

相変わらずのボールタッチと推進力。メガトンパンチなシュートはこの試合で見ることができなかったが、それは近いうちに目撃できるはずなので楽しみにしながら待つことにする。

三戸は間違いなく今シーズン大ブレイクの予感しかないしオレンジブルーの三戸舜介を観ることができる最後のシーズンになるような気がしている。新潟から世界へ。

気になるセカンドボール回収率

さて、新潟スタイルは問題なく継続できているがセカンドボールをJ2時代より回収できなくなっているのはトップカテゴリーという要因が大きい。

今回の対戦相手であるセレッソは守備の強度が高くポジショニングも適切なので溢れたゴールに素早く反応して回収してしまう。

前半は相手陣内でほとんど回収できていなかったが後半は回収して決定機まで繋げられるように。しかし、自陣ゴール前で相手に回収されて決定機献上&失点というシーンが散見された。

こうなると新潟の強みであるポゼッションが姿を消してしまうので新潟のスタイルが出せなくなってしまう。

前半途中まではボール支配率をセレッソに上回られる時間帯もあったので、J1の舞台でセカンドボール回収率を上げるのは新潟のサッカーを一段上に引き上げるために必須の要素となる。相手陣内に押し込んだ時のセカンドボールを拾えなくなっている状況がJ1の守備強度なのかどうかは現状不明だが、とにかく相手陣内でのセカンドボール回収率は上げていきたい俺たちの新潟。

ゴールシーン振り返り

などなど新潟の未来は明るいと実感した開幕戦だった訳だが、せっかくなので得点シーンと失点シーンも振り返っておく。まずは得点シーン。

相手の猛烈プレスに対してキーパー小島を含めた得意のボール回しをする俺たちの新潟。相手が前掛りになった瞬間を見逃さずにフィード一発を飛ばして競り勝ってルーズボールを確実に確保してからのカウンター。後ろ深い位置からメチャクチャな勢いで走ってくる伊藤涼太郎。谷口がボールを収めた時点で眼前に大きなスペースが広がっている2 vs 2の状況で、シュートを決めたシーンではペナルティエリア付近で5 vs 4の状況。ゴールが決まる予感しかしない状況を得意のビルドアップから作り上げた俺たちの新潟。J1昇格初ゴールは満点すぎるビューティフルゴール。

試合終盤の同点ゴールは伊藤のアウトスイングコーナーキックに打点高く合わせた千葉和彦J1通算350試合おめでとうヘッド。コーナーキックをデザインすることが多い新潟だが、このコーナーキックは普通に力一杯全力で殴っただけみたいな感じ。実際にはニアに囮で走り込んで中央を開けようみたいな動きが見えるが全く動じないセレッソのコーナーキック守備。これがJ1か。そんなJ1コーナーキック守備を物理で破壊した千葉がとにかく偉いの一言に尽きる。千葉は今日も最終ラインから前線へ鋭い縦パスをいくつか通したり本当に凄い。伊藤のキックも流石の一言。

続いて失点シーン。まずは1失点目。

J2時代から続くクロスをファーに飛ばされてサイズで劣る藤原が吹き飛ばされて失点するという新潟サポーターにはお馴染みの形ではあるのだが、なんなんですかこのクルークスとかいうクロス上げるために名前付けましたみたいなベルギー人。こんなに速くて正確なクロス上げられたら誰がやっても結果は変わらないので藤原は別に悪くない。クルークスへのアタックも間に合う距離じゃないし、これは全新潟がJ1を実感したプレイ。ゴラッソ認定するしかない。

そして2失点目。綺麗に崩された。

山中にフリーでボールが収まった時点で事実上のゲームオーバーである。山中ほどのクロスの名手が甘いボールを蹴り込むとは思えないし、事実山中クロスからそのまま決まってもおかしくなかったプレイ。なんというか2失点とも藤原じゃねぇか!みたいな感じだけどこれはとにかく山中のフットボーラー経験値が高かった。切り抜きだと藤原酷いみたいな印象を持ってしまうけど藤原は試合を通してハイパフォーマンスを見せていた。J1でも通用しすぎる俺たちの藤原。新潟はJ1経験値をいっぱい貯めてこういう失点を防げるようになってほしい。

他にも便利屋すぎる新井とデンの存在なんかも今後が楽しみすぎるのだが、とにもかくにも今シーズンも全新潟を火傷させてほしいという気持ちなのです。

とにかく期待できるJ1クラブの俺たちの新潟です。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。