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シベリアから帰還した祖父が作った会社名の由来

弊社伸和印刷株式会社は私で3代目。祖父が戦後シベリアに抑留され、そこから帰って作った会社です。

左上昭和30年頃、右下昭和52年社員旅行の写真

会社名の由来は
「平和が伸びるように」
という想いから。
「伸びる」の意味合いとしては、expand、広がっていくということと捉えています。

シベリアのパン工場長の”ジャガイモ”さん

祖父がシベリアにいた時の手記に、昭和20年11月〜23年5月までの抑留時の体験がリアルに書かれていました。

長男が産まれた直後に招集された衝撃、家に帰れると思ったら雪の景色が目に入った時の絶望感、一番屈辱を感じた体験、ずっと続く空腹、寒さや風呂に入れない生活。

祖父の手記が載っている記録誌

そんな中配属されたパン工場の責任者のソ連人、通称”ジャガイモ”さん(ソ連人の本人もよくわからず自分のことをジャガイモと言って笑わせていたそうで)が本当にいい方で。

ソ連の人用のパンをこっそり他の日本人用に分けてもばれないように調整してくれたり、家族がいるから早く帰れるように推薦してくれたり。
その人のおかげで早く帰れたし、いなかったら無事に帰れたかもわからないです。

”ジャガイモ”さんもソ連の方針には内心反発していて、祖父の精神的な負担を減らすことがせめてもの抵抗だったのではないかと祖父は捉えていたようです。

組織としてはまだ課題があっても、中に所属している個人には想いのある人がいて、そこから希望が生まれることがある、そう感じます。

伸和に込める想い

そのような経験もあってか、最初に書いた由来のように会社名は伸和印刷となりました。
私の父(2代目社長)の名前が和伸です。それほどこの伸・和という字に対する想いがあったのでしょう。

そして父は三男で当初は全く計画されていなかったのに関わらず、会社名を逆にした名前の父が2代目になっていること、その後をさらに私が今引き継いでいること、とても運命的です。

今の時代になり私が引き継ぎ、会社名について改めて考えました。

平和を
一人ひとりが「自分」という枠組みを超え、自然環境も含めた世界全体とのつながりを感じられる状態、
「伸和」というのは、
そうした状態が自分の内側に満ち足りて、自分から他者に広がっていく状態
と捉え直しました。

別の表現にしたものが弊社のビジョン、

平和を誰もが自分らしく生きられる状態と考え、その平和が伸びている状態

です。

自分らしく生きるのと平和は何が関係あるのか

自分らしく生きるということと、平和の繋がりがよくわからないと思うので補足します。

自分らしく生きる人は、自分のありのままを受け容れられている人ではないでしょうか。自分が足りている、満たされていることを知っている人。

自分のありのままを受け容れるときには、自分だけでできることは何もないということもわかり、一人では生きていけないことを心から理解できて、他者や地球に対しても感謝の気持ちが出てきます。

また、自分をありのままを受け入れられている人は、すなわち相手のこともそのまま受け入れることができるはずです。
逆にいうと、自分の「べき」にこだわり、こうなっていない自分は受け容れられない面をもっていると、その面を持った他者がいた時に同じように受け容れられないのではないでしょうか。

なので、自分らしく生きられる人しかいない状況で争いは起きないと思っています。

そして、「自分らしく」は広がっていきます。
ありのまま自分らしく生きている人だなと思うと、その人には何でも言えてしまうといった経験はないでしょうか。自分もそう生きていいんだと周りの人が思えますよね。

天台宗の最澄の言葉で「一隅を照らす」というものがあります。
一人が光れば、その周りも光ってくる。一人ひとりは小さい光でもそれが集まれば世界中が明るくなる。

世界で起きていることを自分ごととして受け取り、互いに手を取り合っていく。そんな一人ひとりの内なる変化の積み重ねが、自分自身を受け容れ、他者をも受け容れる人間の在り方に繋がっていくのではないか。そういった人が増えることで、他者との違いを責めることなく、争う必要の無い世界につながると信じています。

”ジャガイモ”さんがいなければ、弊社はなかったかもしれない。
一人の行動が世の中を変えていけると思って日々会社を運営しています。


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