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たまごものがたり🥚最終話 〜たまごの生みの親〜

ある日
ボクは包まれていた。


それはまるで
温かなベールのようだった。
「あぁ、なんて幸せなんだろう。」
そう思った。
安心と幸福がボクを包み込んでいた。

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いつから包まれていたのか
どのくらい包まれていたのか
なぜ包まれていたのか・・・
何も分からなかった。

ただそれは
温かく幸せな気持ちに
させてくれるものだった。

ここは暗かった
真っ暗で何も見えない
感覚だけがあって
それが研ぎ澄まされていくような
そんな場所だった。

銀河


ボクは気がついた。
ボクは、一人じゃない。
ボク以外の誰かがいる。
何人ものボク?がここにいる!

ボク達は
みんなベールに包まれていて
安心感と幸福感を抱きながら
ずっとここにいたのだ。


ボクは、夢を見はじめた。

一匹のたまごがひたむきに歩いている夢。
彼を観察してみると、
彼は純真無垢な子どものようだった。
だからボクは、
彼に課題を与えた。
「君は何者なのか?」という問いで。
彼は歩くのを止め、考え、
そして答えを見つけ出した。
彼は鳥になった。

ボクはそれを見て、嬉しくなった。

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どのくらいたったろう・・・
温かく幸せで
調和のとれたこの場所を
離れる時が来た。
何人ものボクのうち
先にここを離れていったのは3人
そろそろボクの番が来る。

「ここを離れたくない。」
そう思った。
ボクはぎゅっと目をつむって
もう一度夢を見ようとした。

ぎゅ


しばらく経って
ぼんやりとした意識の中で
ボクは静かに目を開けた。

ここは光があり、
目の前には道があり、
懐かしい気持ちだけが微かに残っていた。

あとのことは
何も思い出せないし
何も分からないけれど
この道を歩こう、そう思った。

ボクはただただ
ひたむきにこの道を歩くことにした。
どこへ向かうのか
何のために向かうのか
どのような道を辿って向かうのか
分からないけれど・・・・・

たまごものがたり表紙


・・・・・そう
ボクは たまご だったのです。
そして たまご は鳥になった。

みんな、自分は何者なのか
それを見つけるために
旅にでているのかもしれない。

それを見つけた後に
温かく幸せで調和のとれた場所にいたことも
いつか思い出すことができるでしょうか・・・


終わらない再始生話(さいしゅうわ)ー
つづくー


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最後まで読んでくださりありがとうございました。ここでもう一度、第一話を読んでみてください。『たまごものがたり』はループしている、これは最終話であり再始生話でもありました。

続きもまたお楽しみに!^^

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