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フルートをはじめて1年

ご存知の方も多いですが、この一年、フルートを練習しています。

これは理由がありまして、主に、

・ピアノトリオに木管を入れたサウンドをやってみたいと思った。サックスとクラリネットは長い期間演奏しており、多少勝手がわかるけれど、フルートだけやったことがない。楽器に対する理解が足りない。

・昨年9月に初共演したフルーティスト酒井麻生代さんの音がとても太く美しくて、楽器の良さを実感した。

・昨年11月にピアニスト堀秀彰さんと2台ピアノのライブをした時、リハ後に鞄からフルートを取り出し、吹いてらして、とても楽しそうだった。

という三点がありました。


そこで、「フルートが欲しい」と管楽器奏者の夫に相談し、いつまで続くかわからないので中古の楽器を探してもらって見当をつけて、購入。

それが届いて練習を開始した日が、2021年11月14日でした。

届いた日、少しくらい音が出るだろうと思ったら、全く音が出ない。
えーっこんなに出ないの!と思いましたよ。木管楽器の勘は多少あると思っていましたので。

あまりにも面白いぐらい音が出ないので、「毎日練習したら、一年間でどこまで上達できるだろうか」と思い、実験してみることにしました。

私も長くレッスン業をしていますが、大人からピアノを弾きたいと思って習いにいくの、怖いじゃないですか。「上達しないんじゃないかな、もう遅いんじゃないかな」って不安になると思いますので、「レッスンを受けたいと教室に足を運んだだけで偉いよ、一つ大きなハードル超えてるよ」と伝えています。実際そうだし。

私は42歳なのですが、42歳の手習(ただし別楽器のプロミュージシャンという上げ底はありますが)でどこまでいけるのか、試してみたかったのもあります。

まずは、毎月YouTubeでソロの演奏を自宅から配信しているのですが、そのアンコールセッション、またの名を余興ですね、その時間に今までクラリネットを吹いていましたが、12月の配信で披露することを目標に、練習開始。

フルートといえば、ジャズにおいてはサックス奏者が持ち替え楽器として演奏していることが多く、サックスと同じ運指らしいということぐらいは知っていました。

が、違うよ!
そりゃ、クラリネットよりはサックスの方が運指が近いかもしれないけれど、微妙に違うのが、かえって覚えにくい。
そして、上のオクターブを吹くのに、オクターブキーを押さえるのではなくて、全く同じ運指で倍音で上の音を鳴らしているだけという、まさかの金管楽器的鳴らし方をしているとは、初めて知りました。
よくフルートと一緒に演奏してたのに、全く知りませんでした…

ほら、こういうことがあるんですよ。相手のこと、何も知らない。

そして、下の方の音は全く出ないわ、上の音域は全く出ないわ、オクターブごとに全然使う息が変わってくるのではないかと、ここはサックスは比較的ルーズでもある程度出ることは出るし、クラリネットでも上の音域は苦労したけれど、フルートはもっとコントロールが必要なところなのかも、これは一筋縄ではいかないなと。

ということで、「これはフルート専業のプロに習った方がいい。特に最初の段階で変な風に覚えたら修正が難しいし、ジャズができることも大事だけど、それ以前に楽器として美しい音を出せるようになりたい」と思い、12月1日にフルーティスト坂上領さんに連絡。
たぶん3年ぐらい会ってなかったと思うのですが、めっちゃ久々で突然の連絡が、「こんにちは。フルート教えて下さい」で、びっくりしたと思います。

ということで、12月に初回レッスンに行ったのですが、これがもう面白くて目から鱗で、うわー楽しい!と思いました。
坂上さんは超のつくマルチプレイヤーですが、共演者としては、なんというかフィーリングの根幹にクラシックとジャズと両方伝統的なものへのリスペクトがあり、音色もスタイルもとても柔軟なイメージを持っていました。
思ったとおり、本当に素晴らしい先生でもありました。やはり音楽の幅の広い方、基本に対して真摯な方のレッスンは、素晴らしいです。


ということで、練習も楽しくなって、順調に毎日練習しました。

フルートが良いのは、軽くて持ち運びしやすいこと、組み立てと片付けが楽なこと、消耗品がないことですね。
サックスだと楽器が重いし、音も大きいから普通の家では練習できない。
クラリネットは、組み立てと片付けとリード選びに時間がかかって、なおかつリードが駄目だと最初から凹む。
両方やった後だからこそ、フルートは楽だ…と、どこに行く時も持ち歩いていました。レッスンの合間にも吹いていたし、演奏現場でもリハの時に吹いていた。

吹いていない日も勿論あります、丸一日仕事だったりすると。
でも、たぶん合計1週間分ぐらいじゃないかな、10日も休んでないはず。
少しでもいいから、毎日吹くようにしていました。

楽器の練習って、やっぱり継続することが何よりも大事で、習慣にしてしまわないといけないところがあるのは、よくわかっています。
他楽器を他プレイヤーに習うと、わりと褒められることが多いのですが(自賛)、それは理由ははっきりわかっていて、「普段からピアニストとして、良いプレイヤーの音を近くで聴いている絶対量が多い」ということ、「楽器のプロ=練習することのプロ」という2点が、大きくアドバンテージがあるのです。

そんなわけで、1日に短い時間でも必ず吹くようにするということは、楽器上達の必須条件で、とにかく1年頑張ってやってみようと思いました。

そして本日、フルート開始から365日目となりました。
たまたま本日はジャムセッションのホストだったので、一曲吹きました。

前日の、フルート開始から364日目には、京都のカジュアルレストラン陽での東かおるちゃん(vocal)とのライブのアンコールで、歌と2本で掛け合いするということをやらかしました。さすがにライブ本編でお聞かせするクオリティではないのでアンコールに演奏しましたが、楽しかったです。



1年経って、今思うことといえば、「毎日、あと倍の時間練習していたら、もっと上手くなっていただろうなあ」ということ。まあ、本業の練習もあるので仕方ないですけどね。

フルートを始めて良かったことは、フルートを聴く耳が変わったことです。
クラリネットを始めた時もそうでしたが、新しく楽器を始めると、よりその楽器のことが好きになるし、その楽器奏者へのリスペクトも高まるし、その楽器独特の考え方やジャンルの広がりも知ることができるし、音楽全体が非常に豊かに面白くなる。音楽の捉え方が多面的になり、面の数が増える一方で、とても楽しい。

とりあえず、新しい楽器をはじめると、良いことしかないです。


そんなわけで、1年経過したので、少し前に撮ったものを記録として置いておき、来年また見ようと思っています。来年もっと上手くなるぞ。



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