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『Space Jazz Trio vol.1』 Enrico Pieranunzi

2020年5月7日、コロナ自粛期間中のFacebook投稿より(2020年10月加筆修正済み)

このコロナ禍の中、少しでも音楽的代謝を保つために、毎日1分動画やライブ配信をしていますが、まだまだ当分仕事がなさそうなので、今しかできないことをやろうかと思います。

以前から時間があったら練習以外で取り掛かってみたかったことを思い出し、5月から始めていることが一つ。
それは、Enrico Pieranunziの過去作を全部、もう一度ちゃんと聴くこと。
まだ聴くのかと思われそうですが、実はこの10年あまり影響されないようにほどほどにしか聴いておらず(発表されたものは全部購入していますが)、2013年の来日をきっかけに卒業というか一区切りしたんですよ、私の中で。この一区切りの話はまた追々書くかもしれませんが、自分にとって憑き物が落ちたような、ちょっとした卒業の瞬間でした。あまり人にいう事でもないんですが。

ですがしかし、今年の自分のアルバム『Vibrant』を録音してから、また全部じっくり腰を据えて聴きたいなと思っていたんです。
なぜかというと、「Vibrant」の録音は、収録した曲の倍の曲数を録音していたのですが、結局1枚のアルバムにしようと思ったら、結果的に〈こっち〉、エンリコ好きからスタートしたのがわかるような曲ばかり、選んでしまった。そんな自分が嫌いだけど好きです。


ということで、今日は『Space Jazz Trio vol.1』を聴きました。

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このアルバムは、今はただの『Trio Vol.1』というタイトルで、ジャケットも変わってるのかな、今どのような形で手に入るのかはよくわかりません。
Yvpというドイツのレーベルの作品で、このレーベルの作品群はヨーロッパのメンバー、Enzo Pietropaoli(b)、Fabrizio Sferra(ds)によるもの。正直ドラムの印象は薄いです。
86年の作品なので、名盤『Deep Down』と同じ年の録音。
「Lost And Found」、「Midday Moon」、「Hard To Love」など、いわゆるスタンダードの替え歌が入っており、名盤『New Lands』のようなアプローチが聴けるのかなと思いきや、このメンバーだとちょっと違います。
何よりこのレーベルの音は、トリオの音がしっかりセパレートで分離していて硬く、もしこれがもう少し空気を共有している音がしていたら、印象が変わるかもしれません。「No More, No Less」なんて、アンサンブル的に良い緊張感を少しずつ作っていっているのに、録音のセパレート感のために一体感が薄く、ライブでこの演奏を聴いたら良かっただろうなあと思います。全体的にピアノも音が近すぎて、ちょっと高音が耳にうるさいですが、当時のヨーロッパものの録音はこういう系統も少なくなかったので、流行りだったのかもしれませんね。
以前、『No man’s land』と『Seaward』が再発された時にブログに文章を書きましたが、エンリコは多作も多作、非常に多作の人なので、いろんなレーベルでの録音があり、音の傾向が全く一定していません。それも面白いところです。

このアルバム、エンリコの演奏は良いのですが、ソロがもういっちょ!というところで行かないんですよ。もうCDが出ている時代なので、LPみたいに収録時間の関係じゃないと思いますし、大体そういう時、ベースが受け止められてない感じなので、この初期の時点では、こちらのトリオはこういうアンサンブルだったんだなと思いました。(後年そんなことないです)


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