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9年4カ月目に。

2011年2月の四大陸選手権で、初めて彼を知りました。

テレビ放送を見ていたら、前の方の滑走順(ショート1番滑走、フリー9番滑走だったようです)で、ものすごく惹きつける選手。
ジャンプやスピンなどは丁寧に、そしてステップシークエンスになると、突如身体の奥底からパワーがわいてきたような激しさを見せる。会場も盛り上がっている様子。
それが、ミーシャ・ジーさんでした。

その年の秋、ネットを介して初めてコンタクトを取り、メールでインタビューをやりとりしました。
返信が細かく丁寧で、「ああ、ああいう演技をする選手は、こういうことを考えて、こんなスケートが好きなのね、なるほど」と感じるような内容で。
たしか、ニース杯への移動の途中だよ、と書かれていたように記憶しています。

初めて会ったのは、2012年、ニースの世界選手権。インタビューでもたくさん楽しい話を聞かせてくれました。

2013年、カナダ・ロンドンの世界選手権では、取材申請のペーパーがどうしても本人のところに届かなかったようで、でも、「インタビュー、僕はOKだから」と、わざわざ、会場の横に仮設で建てられた巨大テント内のメディアルームに来て、私を探して伝えてくれて、「万が一、何かあるといけないから」と、ミーシャの自筆によるインタビュー承諾ペーパーを持たせてくれた、ということもありました。

2014年のさいたまの世界選手権では、インタビュー予定の10分前に、約束の場所に来てくれていたと知り、かなり驚きました。そんなに驚くべきことでもないと思われそうですが、なかなかあることではないんです、こういうこと。
フリーの翌日だったかのそのインタビューで、彼は翌シーズンからは戦い方を変える、と熱く語ってくれました。それがこちら。

それが少しずつ少しずつ奏功し、2017年ヘルシンキでの世界選手権フリーにつながります。演技中からわきあがってくるゾクゾク感、会場がじわじわとヒートしていく感じ、最後のスタンディングオベーション。もし彼の演技を1つ見るなら、2017年世界選手権フリー『くるみ割り人形』を、おすすめします。

2018年の世界選手権を最後に選手としてのキャリアから、次のステップへと移っていき……

それから2年数ヶ月が経ちました。
この間、たくさんの選手の振付けをして、すでに、「あのプログラムね!」と認識されるものも作っていることに、時々、ものすごく驚かされることがあります。もちろん、現役時代からアンナ・ポゴリラヤやグレイシー・ゴールドなどの振付けもしていましたし、振付師としてのキャリアは2年数ヶ月というわけではないんだけれど、でも、最後の試合は2018年3月だったんだよね、と思うと。

ミーシャの振付け、といってぱっと思いつくものが、すでにいくつかあります。
友野選手の『ニュー・シネマ・パラダイス』(2018-19SP)『ムーラン・ルージュ』(2019-20フリー)。ミーシャは友野選手のコーチ陣にも名を連ねていて、その関係は新しいシーズンに入ると3季目になります。

メドベージェワ選手の『トスカ』(2018-19SP)もありました。このプログラムを滑った2019年世界選手権で彼女は、強い印象を残しました。

髙橋大輔選手の『Phoenix』(2019-20SP)。シェリル・ムラカミさんとも協業したこのプログラムは、髙橋選手のシングルとして最後に振付けた競技プログラムになりました。

今季も、たくさんの選手たちのプログラムを振付けていることと思います。

以前、現役引退後すぐから、トップ選手のプログラムをたくさん作ってきた振付師にインタビューしたとき、「自分がこんなにすぐにそういうレベルのスケーターの振付けをすることになるとは想像はしていなかった。幸運だったと思うよ。とはいえ、その時も今も、スケーターに振付ける初日は、すごく怖いんだ。うまくいかなかったらどうしよう、って。今も、そういう風に不安に思う気持ちと、毎回闘っているんだよ。たとえば……(と、その時振付けていたトップ選手との振付けエピソードにつづく)」と聞き、とても驚いたことがあります。そんな風に見えなかったから。

でも同時に、すごく安心もしました。
私にもわかるような、そういう気持ち……なんていうんだろう、超人的な人なんじゃなくて、普通の人と同じ感覚を持っている人なんだな、と。だからこそ私たちも、彼の作るプログラムに魅せられるのかもしれないなあと感じたからです。

その後、彼の作ったプログラムを見るたびに、自然と、このコメントが思い出されています。彼は、そういう怖さや不安と必ず向き合ってプログラムを作っているのだ、と知ったことで、なんだろう、そのプログラムへの彼の思い入れとか、プログラム自体の深みとかが、増して感じられるようになりました。
その一連の体験は、フィギュアスケート観戦の、新たな視野を与えてくれたように思っています。

というようなお話も、今回ミーシャに聞こうと思っています。
というのは、今回のオンライントークには、絶対的に信頼している通訳さんがいるので、日本語の微妙なニュアンスも、きっちり英語にしてもらえること間違いなしだからです。嬉しい!
ですのでもちろん、日本語だけで聞いていただいても、かなり充実した内容になる予定です。

もちろん、さきほど挙げたようなみんなが知っているプログラムができあがるまでのストーリーやエピソード、スケーターとの秘話も、漏れなく聞いていく所存です。

それから、これは私のお楽しみでもあるのですが、記者会見や囲み取材などで、自分の日本語を訳してくれている通訳さんの英語を聞きながら、「なるほど、英語ではこう言えばいいのね」と思うのがとても楽しいし、勉強にもなっています。今回のオンライントーク、そんな楽しみ方もあったりします。

ということで、なんだか、私の感想および抱負になってきましたが、そうです、オンライントークに来ていただくミーシャには、率直にダイレクトにいろんなことを聞こうと思っています、ということです。
彼を知って9年4カ月になりましたが、こんな機会はなかなかないですし、今後もあるかどうかわからないですし。

ということで、ぜひ皆さん、ミーシャのオンライントーク、ぜひぜひご参加ください。お待ちしています。

聞きたいこと、見せてほしいこと、やってほしいこと、質問など、事前(私のTwitterのDMから)でも、オンライントーク中でも(Zoom上で)、随時受け付けていますので、こちらもぜひ~。

●日時 6月28日(日)12:00-13:15
●Zoomを使ったオンライントークです。
●料金 2500円(税込)
●お申込期限 6月22日(月)23:59
(本当に、締め切りが早いので、お気をつけてください!)

(※)以上すべて日本時間です。
●お申込みは、以下から。

オンラインで待っています!




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