大海亀モワルとセブンシリードワーフの「星を眺めよう」(いちご新聞が見たサンリオ映画④)
今回は、いちご新聞1981年八月号に掲載された、星に関するコラムを紹介します。質問者はセブンシリードワーフの七名で、回答者は『シリウスの伝説』に登場する大海亀のモワル。名優・宇野重吉氏の声で脳内再生して読んでくださいね。
おしえて、モワルさん!
ドワーフたち:星・ホシ・ほし……きれいだけど、ふしぎに思うこともたーくさん。
ドワーフたち:うん、だれか教えてくれないかナ?
ドワーフたち:そうだ!
ドワーフたち:な・なに?
ドワーフたち:ものしりモワルさんに聞いちゃおう!
ドワーフ:ということで、シリウスの伝説に登場した海ガメのモワルさんをひっぱってきちゃった。ちょっとみんなに紹介しまーす。水の国にながーい間住んでいて、なんでも知っている。水の国一番のもの知りだヨ。
お星さまってなぜまたたくの?
ドワーフ:じゃ、ボクからしつも〜ん。ねえ、モワルさん、お星さまって、なぜまたたくの? お星さまのウインクかなあ。
モワル:星のウィンク……そうじゃな、そんなロマンチックなかんがえもうかびそうじゃが、星のまたたきは、星自身とは関係ないんじゃよ。地球のまわりには空気があるじゃろ。その空気がうごくためにチラチラみえるというわけじゃ。空気のないところへ行って星を見れば……たぶん星はまたたかないじゃろうよ。
なぜ星は落ちてこないの?
ドワーフ:ねえねえ、モワルさん、ぼく前からふしぎにおもってたんだけど、流れ星って落ちてくるのにサ、ほかの星はどーして落ちてこないの?
モワル:それはのう、流れ星とほかの星とは、そもそも別のものなんじゃ。ふつうおまえさんたちが見とる星は恒星といって、その位置はほとんどうごかない。流れ星というのは、ほんとうは星ではないんじゃよ。あれは星のカケラでな、宇宙にたくさんちらばっておる。それが何かのひょうしに地球の空気の中にとびこんでくるんじゃ。それがものすごいスピードだもんじゃから、まさつで燃えてしまうんじゃよ。それが星のように光って落ちていくように見えるというわけじゃ。
星座の形はなぜ変わらないの?
ドワーフ:次はぼくだヨ。ねえ、モワルさん、ぼくずーっとふしぎにおもってたんだけど、星座のかたちってぜったいかわらないの? 星座ってうごかないのかなあ?
モワル:星のならびかたか……これは昔からかわらないからこそ、星座といえるわけじゃよ。たしかに人間の一生のようなみじかいあいだをとれば、星はうごかんと考えてもおかしくはない。じゃがな、ながーいながーいあいだ、それこそ何万年、何十万年というあいだには、星のならびかたもかわってしまうんじゃ。星はすこしづつ自分のすきな方にうごいてしまうんじゃよ。
ほうき星ってなんなの?
ドワーフ:ぼ・ぼくはね、ほうき星について知りたいんだ。ほうき星ってなんなの? ねえねえ、モワルさん。
モワル:ほうき星はな、もとはといえば宇宙 のチリが冷えてかためられたものなんじゃ。つまり、氷のかたまりみたいなもんじゃな。そのほとんどが、太陽のまわりをきまった道すじをえがいてめぐっておる……それで太陽に近づくと、氷がとけだしてガスとなり、シッポがはえたように見えるというわけじゃ。有名なハレーすい星は1985年から1986年にあらわれる。じゃが、南の方を通ることがほとんどで、残念ながら北半球にある日本からは見えにくいじゃろう。
星座って誰が決めたの?
ドワーフ:モワルさん、モワルさん。それじゃあサ、星座って誰が決めたの?
モワル:そうじゃな、はっきりとはわかっとらんのじゃが……。むかーし、今から5000年くらい前にメソポタミアというところにおった羊飼いたちが考えたようじゃな。空いっぱいの星を見あげながら、あの星は羊に似ている、あれは魚……というふうに想像したのがはじまりじゃ。それから3000年、4000年とたつうちに、そのみかたがギリシャに伝わって、ギリシャ人たちは星にまつわる神話を考えだしおった。今のような星座にはっきりときめたのは、ギリシャのトレミーという若者じゃった。星座というのは、時間や季節を知ったり、こよみをつくったりするのにも大切な役わりをはたしておったんじゃよ。
宇宙人ってホントにいるの?
ドワーフ:ねえねえ、モワルさん、宇宙人ってホントにいるの? ぼくとってもキョーミがあるんだけどナ。
モワル:うーむ、むずかしい質問じゃのう。太陽系から考えてみるとするか。水星金星はどうじゃろう。これはあんまり太陽に近すぎて、熱くてかなわん。反対に、地球よりも外側にある 星は、寒くて寒くて……。太陽から遠いので、北極の何十倍も何千倍も寒いんじゃ。これじゃあ生き物がいるとは考えられんな。それじゃあ、太陽系の外はどうじゃ。ひろーいひろーい 宇宙の中には、太陽と同じような星があるはずじゃ。それならば、地球に似た星がほかにあってもおかしくないじゃろう。そこにはなにか生き物がいるかもしれんのう………。
コラム・星の大きさ
夜空の星は同じ大きさにみえるけれど、それはう一んと遠くにあるからそうみえるだけ。じっさいは、こんなに大きな星も…ググッすごい!(註:アンタレスは太陽の250倍、ミラは450倍、ペテルギウスは600〜1000倍)P.S.ミラやペテルギウスは、変光星といって、大きさや明るさが変化する星なんで〜す。
コラム・日食はなぜ起こる?
黒い太陽、それは地球をまわっている月のせい なんだ。地球と太陽のあいだに月がはいって太陽をかくしてしまうというわけ。日本では2035年に日蝕が見られるよ。
コラム・惑星の名のルーツ
水星は水のようによくうごくから。金星は金属のようにピカピカ光るから。火星は火のように赤いから。土星は大地のようにどっしりとおちついてみえるから。のこりは木星。これは中国の五行説というものからきている。宇宙は木・火・土・金・水の5個の基本元素からできていて、その組み合わせによって自然や社会にいろいろな現象がおこると考えられていた。それを5個の惑星の名まえにしたのである。
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