見出し画像

旅も好きだが旅の準備も大好きということに気がつく

自分で場所を借りては作った服をお披露目する日々。

年に多いときは4回ほど作品展をするようになった。

毎回テーマは決めていたのだが、テーマに沿った服をつくるというより、出てきた服たちに合うテーマをつけていた。
漠然としたそんな自分でいいのかな、と、周りの作家やアーティスト達を見て思った。

けれどその事と向き合う時間も余裕もないふりをして日々服を縫う。

そんな私にラジオの出演依頼がやってきた。

内容はスキドコのラジオと言って、自分のスキを分解するという番組。

ちょうど作品展の前で宣伝にもなるし!と軽い気持ちで出演を引き受けた。

収録と生出演、どちらにしますか、と聞かれ、やっぱりライブ感!!と生出演を選択。
とても寛容な方で、子連れでもOKと言ってくださり、当時は単身赴任で夫不在だったため、2人の子どもを連れての出演。


何も考えずに出演したのが間違いでした。


今となっては何を喋ったのか全然覚えていなくて、印象に残っているのは好きなことを聞かれたときに当時小学4年生の娘が「荷物のパッキング!」ときっぱりいったことくらいだ。確かにキャンプや旅行時の娘のパッキングスキルはすごいのだ。

そして娘の発言は私の心に一石を投じた。


出演後に改めてスキを分解してわかったこと。


作品展そのものが好きというより作品展に向かっている時間を含めての服作りが好きなのだ。

出来上がった服はもちろん大好きだし、とにかく何か作れればいいということでもない。
けれど当時の私にはゴールよりレースそのものが好きであり重要であった。
何か伝えたいことやコンセプトがあっての服作りというより、服作りの継続の結果が作品展、といった感じだ。


わたしも旅よりも旅に向かうパッキングが好きなのかもしれない。


そう思うと、また服作りに対しての葛藤が生まれてきた。
なんせ毎回使う生地はバラバラだし、シルエットも様々でテイストもごちゃごちゃ。
自分が作って未大幅を網羅する、といった感覚の服作りだったからだ。
ブランドという概念が全く無くAikawa Hitomiという自分の名で活動していたのも、自分が着たい服、自分から発せられる服、という感覚にとどまっていたからだと振り返ってみて思う。


とはいえ、旅をするとき何処でもいいかいうとそうでもない。
そこへ行きたいのはそこでしか見られない景色を見たいから、経験をしたいから、そこにいる人達に会いたいから。
では私は服を通してどんな景色を見たいのだろう。
どんな経験をし、どんな人達に出会いたいのだろう。




5年ほど経った今、ようやくそれが見えてきてKajikuというブランド名にたどり着いた。



そうなるまでにまた珍道中がたくさんあるのだが、それはまた改めて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?