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折り紙ドレスへの考察、ミスマッチな完全方程式を解く

ドレスの魔術師ジョンガリアーノ。以前の投稿でそのマジックハンドぶりに触れたのだけど、彼のディオール時代のコレクションで忘れちゃいけないもう一個のコレクション。
2007年春夏オートクチュール。

折り紙のテクニックを全面に押し出して、和のテイストを、これでもかというくらいにガリアーノ風に調理したコレクション。
醤油と味噌とわさびと、米麹と酒とみりんの割合が、全部“too much”で一見バランスが悪いようだけど、最終的にとんでもない調和を生み出している。
わたしがいうのもいったい何様なんだけど、日本人が“和”をテーマにコレクションを作ったら、正直ここまでかっこよくはならない。

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https://youtu.be/HwnU43QCUJo


クラフトマンシップ(職人のテクニック)を全面に押し出す“和”なら日本人がやる価値は大いにある。
けど、折り紙とか、着物とか、そういうアイディアを落とし込むのは、むしろその文化をよく知らない彼らだからこそ、モダンに解釈できると思うのだ。バックグラウンドを知らない事によって突き抜けられる度合いが違うから。
彼らには彼らなりのその文化への“リスペクト”の仕方があって、それが“新しさ”を生む。

ヨウジさんや川久保玲が、80年代に起こした『黒の衝撃』は、ミスマッチとか、奇抜でへんてこというアンタッチャブルなゾーンを開拓したからこそ生まれた美しさだ。新しい美の感覚は、違和感から生まれることの方が多い。

1981年、全身黒で穴が空いていたり、アシンメトリーだったりと、当時の主流だったファッションの価値観では考えられない服をパリコレクションで発表し、「黒の衝撃」と評されたコムデギャルソンとヨウジヤマモト。あまりのショッキングさに「原爆ルック」と名付けた欧米メディアもあった。

奇抜でちょっとへんてこで、
でも計算され尽くした数式みたいに、
ミスマッチが見事なバランスをかもしだす。

ドレス欲に飢えたわたしが、
夜な夜なそんな夢の考察。



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