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2つ目の能力への考察、そのギャップがあなたのうま味となる


“うま味” が今や ”Umami” と、共通英語になった現代。他にも、Tsunami とか、Emoji とか、日本語が共通語として使われている例はあるけれど、この「うま味」は「禅」(Zen) とか、「侘び寂び」(Wabi-Sabi) くらい、日本文化を象徴する言葉だと思う。

“うま味”は、100年くらい前に昆布から抽出に成功したアミノ酸の一種で、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味という具合に、味を構成する5つの基本味のひとつ。料理の美味しさを生む大切な役割を果たしている。

わたしの暮らすアントワープは食文化が進んでいるのであまり不満は無いが、ヨーロッパは全体的に味が質素なシンプル料理が多い。ポテトに塩、とかパンの上にチーズが乗っかっているだけでも一応料理だ。
そう考えると日本の、たとえばラーメンのスープとかはレベルを超越した、もはや幾重にも重なる味のレイヤーの芸術である。

アニさんの投稿を読んでいて、印象に残るものが。(アニさんのことをこころの中で勝手にアニキと読んでいるのはわたしだけではないはず。)
効率よく稀有な人材になるためには。
「2つ目の能力を手に入れること」
アニさんはここでキングコング漫才師/絵本作家の西野さんの話に触れている。

ヨーロッパで生活していて思うことは、わたしの同僚達が、時間の使い方がとても上手だということ。
わたしと同じくパタンナーのアネッタは、2年前の一年間、週末の時間をうまく使い、彼女が愛してやまないヨガのティーチャートレーニングに通い、ヨガ講師の資格を習得。今でこそコロナ禍でスタジオは閉まっているけれど、彼女は終業後、週一でヨガティーチャーとなる。
ジャージーのデザイナー兼生産のイザベルは、空いた時間で100%オーガニックのコスメティックをハンドメイドする。わたしは彼女の調合したフェイスクリームとアイクリームを愛用している。安心と信頼と愛情たっぷりの化粧品はわたしの生活に欠かせない。
端正な顔立ちのプレスのジェフリーは、週末になるとドラァグクィーンに変身する。メイクアップやウィッグの研究にいつも余念がなく、社内でいちばんの美人と言っても過言ではない。
社内唯一のもうひとりの日本人、パタンナーのミスター(あだ名)は、最近マイホームを購入し、毎週末、自宅の床を剥がし、木を削り、コンクリートを調合したりするDIY棟梁になる。
彼らの共通点は、時間を“足りないもの”と認識していないこと。
わたしが日本で働いていた当時の口癖は、
「好きなことをする時間がない。」
でもそれって、意識的に作ろうとしていなかっただけだよね?

ダンス(主に鑑賞、バレエとかコンテンポラリーダンスとか)が長年の大好物なわたしは、コロナ以前にポールダンスをはじめた。今はダンススタジオも閉まっていて、ましてやポールが家にインストールされている訳はないので、練習もなにも出来るわけではない。でも、漠然とパタンナーになっていなかったら、ダンサーになりたかった!と思った。プロになるには到底、年齢的に、現実的に、体力的にとかいろいろ無理だけど、好きだから注げる愛情が仕事の他にもあることが嬉しいと感じた。

ヨーロピアンは、自分のうま味を引き出す方法をよく知っている。
ラーメンがあれだけ美味しく作れる日本人なら、自分自身のうま味の引き出し方だってもっと上手にできるはず。
時間はみんなに平等だ。
どう使うかによって自分の秘めたうま味を最大限に活かすことが出来るのだ。

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