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纏う春、踏み出すその一歩

春は不思議な季節だ。
心がそわそわと浮き立ち、足先が軽い。なにかを始めたくもあり、ただ陽だまりの中でうとうと微睡んでいたくもある。

過去と未来。今までとこれから。出会ってきたものたちと感じてきたすべての想いの中で。今、ぎゅっと抱きしめたくなる大切な何かが見つかる。きっとそんな季節なんだろう。

大切なこと。胸に棲むこの想いを、ときめきを伝えたい。言葉にしなければきっと消えてしまうから。宝物をそっと見せるように、誰かに届けたいと思う。

ほの淡い桃色の花びらがひらり、舞う。小さな川に架かる橋の上、水面にすうっと滑り落ちて、揺らめく幽かな波紋。それはまた来年、と手を振るようで。

移ろう季節。重いコートを脱いで、柔らかなワンピースに着替えようか。身も心も軽くなったら、お気に入りの春色のスニーカーを履いて、この季節に一歩を踏み出そう。

どこへでもゆける気がした。



この日記は .colony まいにち日記部の「 #はじめの一歩 」を共通テーマに書いたものです。

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