『宝石の国』 あるいは無機体の夢
『宝石の国』とはひとつの壮大な自殺願望だった。いや、自殺願望という言葉は正確ではない。彼らには生と死の区別がないからだ。主要な人物はほとんどが不死かすでに死んでいる。ゆえに彼らは死ではなく「無」を望む。生と死の概念の消滅をよく示している例がフォスフォフィライトで、彼にとっては宝石もすべて「無」になるのだから、粉になろうが関係ないのである。これは全く合理的な判断で、だいいち最終戦闘後の宝石たちはこのことをこれっぽっちも気にしていない。そもそも彼らが「無」を望んでいる時点で、死