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母親として、経営者として。未来に残したい「自律共創型社会」への歩み【2022年の振り返りと来年の抱負】

THE COACHの松浦瞳です。

2022年はTHE COACHの創設者こばかなからバトンを引き継ぎ共同代表に就任、それ以外にも「個人の力を、組織の力に。」という言葉を掲げた人材育成・組織開発サービス「THE COACH for Business」のリリースなど、THE COACHにとって大きな変化を迎えた1年でした。

■代表交代のお知らせと、THE COACHのこれから

■「THE COACH for Business」の詳細

そこで、今年の10月に新しく就任した経営陣、私、松浦瞳、岡田裕介、吉村創一朗の3人でバトンを渡していきながら、2022年の振り返りと来年の抱負をそれぞれのnoteで更新していきます。初回は私から。改めて代表就任に対する想いを書いてみたいと思います。

子どもが生きる時代に残したいもの

「自分自身は何を願っているのか」

2022年は、この問いに向き合いつづけた1年でした。

わたしには今、2歳の息子がいます。

彼が生きる時代がどんな社会であってほしいか。
そのために私は母親として、経営者として何ができるのか。

そんな問いを握りつづけるなかで行き着いた私の願い。それは、「THE COACH for Business」とも通じる「自律共創」という社会のあり方です。

「自律共創」とは、その人がその人らしいあり方でありながら、互いの違いを認め合い、他者と共に生きていく、そんなチーム、組織、社会のあり方であると私はとらえています。

「自律共創型社会」を願う背景には、私自身、THE COACHに入る前の10年のキャリアの中で、そうできなかった過去があるからです。社会に大きなインパクトをもたらすために、どれだけ“優秀”でいられるかを突き詰める日々。自分のことも仕事仲間のことも、まるで感情を持たない “機能” のように、価値を発揮できるか否かという評価指標だけで扱ってしまい、疲弊気味でした。

たくさんの仲間たちと一緒に働いていたはずなのに、「私ってずっとひとりぼっちなのかなあ」と不安になるほど「人としての結びつき」は薄かったように感じています。

そんな体験を子どもには味わってほしくない。

母親として、THE COACHの経営者として、自分自身が「自律共創」という生き方を体現していく。そのことこそが、私の人生の意味なのかもしれないと、この1年で気がついていきました。

弱さや葛藤もリソースに。「自律共創型組織」に必要なこと

「自律共創型組織」は「ロケット」のエンジンと似ていると思います。ロケットの底にはいくつかの穴があり、各穴から出力されるエネルギーによって、遥か遠い月にたどり着くことができます。

もし仮に、1つの穴の力が強すぎたら、ロケットは傾いて墜落してしまいます。だからといって、出力が弱いほうに合わせてしまうと、パワーが足りず月まで到達できません。

「自律共創型組織」の実現には、誰かに力が偏りすぎず、かつ全員がパワフルであることの両方が求められます。

THE COACHは、そんな「自律共創型組織」を目指す途中であり、まだスタートを切ったばかりです。ただ、この1年でこれだけは確かだなと感じたのは、「自律共創型組織」をつくるためには「それぞれが弱さや葛藤、恐れを自己開示しあえる関係性」が必要ということです。

チームの誰かが不安を抱えて100%の力を発揮できないとき、そのことを誰にも言えずに抱え込んでしまっては、適切なサポートが叶いません。例えば私だったら「子どもと仕事、どちらも大切で、その2つの間で揺れている」という葛藤を仲間に共有しておく。すると、困ったときはチームの誰かが自然と手助けしてくれます。

チームで弱い部分を補い合うからこそ真っ直ぐに飛ぶことができ、チームの力が合わさるからこそ月まで到達できる。この“チームだからこそ”という感覚が、私にとっての「自律共創型組織」のあり方だと思っています。

「パワー型」「傾聴型」「完ぺき型」。失敗した3つのリーダーのあり方

弱さや葛藤、恐れの開示が重要だと気づくまで、私はいろんな失敗を経験してきました。試して失敗に終わったのが「パワー型リーダー」「傾聴型リーダー」そして「どちらもこなす完ぺき型リーダー」の3つです。

まずは「パワー型リーダー」。2020年、子育てもはじまり間もない時期だったこともあり、プロジェクトを完成させるという目標に向けて、いかに早く、効率よく進められるかを重視していました。

「パワー型リーダー」が失敗だったなと思ったのは、私が不在時に、メンバーから素晴らしいアウトプットが生まれてきたからです。「そうか、私が力まなくたってこんなにいいものが生まれてくるんだな」と反省と喜びが入り混じるような思いでした。事がらをいかに前に進めようと力めば力むほど、メンバーから素晴らしいものがうまれる機会を奪ってしまう。自分のリーダーとしてのあり方が機会損失を生んでいたことを痛感しました。

その反省をいかそうと次にやってしまったのが、メンバーみんなの声をちゃんと聞こうとするあまり自己犠牲的になってしまう「傾聴型リーダー」です。自分がどうありたいかよりも、みんなの「やりたい」に耳を傾ける。その結果、優しいリーダーではいられても、「組織のビジョンが分かりづらい」とメンバーから不安の声が挙がってくるようになり、みんなを迷わせていたことに気づいていきました。

「リーダーはビジョンも明確に示さないといけない」。その反省から、ビジョンも描きながらみんなの意見にも耳を傾ける、いわゆる教科書に載っているような「完ぺき型リーダー」を目指していきました。

正式な代表交代の時期が近づいていて、本当は不安な気持ちでいっぱいなのに、“できるリーダー”であろうと必死でした。そんな時、とあるメンバーが「最近のひとみん、何か変だよ。硬くなってる気がする。何かあるならもっと頼っていいんだよ」と声をかけてくれました。

「みんなのために、“いいリーダー”をやるぞ」と意気込んでいたけれど、実は自分のほうがみんなに対して心を固く閉ざしていた。メンバーの言葉にハッとさせられました。

葛藤や恐れも開示できる、等身大のリーダーでありたい

そんな3つの失敗と学びを繰り返しながら見えてきたのが「リーダーである自分が等身大のまま弱さや葛藤、恐れを開示すること」の重要性です。

「もっと頼っていいんだよ」とメンバーに声をかけてもらってからは、少しずつ自分の悩みや、育児と仕事の間で揺れている姿を生々しくみんなに共有することを意識しました。すると、思っていた以上にみんなが助けてくれるし、私以外のメンバーもそれぞれの葛藤や恐れもシェアしてくれることで、メンバーの力が発揮され、結果としていいアウトプットがたくさん生まれてきたのです。

葛藤や恐れも、人と人をつなぐ力になるし、組織が成長するためのリソースになる。逆を言うと、リーダーが心を閉ざすとみんなも閉ざしていくし、リーダーが自己犠牲的に働くと、みんなも自己犠牲的になっていきます。リーダーのあり方は組織に伝播していくことも、身をもって感じました。

まずは、リーダーである私が「ひとみんダメダメじゃん(笑)」とみんなに突っ込まれるくらいに自己開示をして、等身大であることを自分自身に認めること。すると、みんなも葛藤や恐れを言いやすくなり、冷たく硬くなった組織に、温かさ、柔らかさが戻っていきました。

「自律共創」は2人からはじまる。共同代表制を選んだ理由

「自律共創型組織」を目指す上で、リーダーとしてのあり方の他に、こだわってきたことがもうひとつあります。それは、経営体制を私とおかちゃん(岡田裕介)の共同代表にしたことです。そこには「ワントップではなく、ツートップだからこそ、自律共創型組織をつくれるのではないか」という期待が込められています。

チームの最小単位は2人からはじまります。まずは私とおかちゃんという2人の最小チームが「自律共創型」でいられるか。「リーダー同士の関係性が組織全体の関係性にも影響を与える」というのは組織論でよく言われていることで、リーダー同士が「自律共創型」でいられれば、きっと組織にも伝播していきます。逆を言えば、私たちがそうなれていなければ、組織もそうなれていない証でもあるわけです。

実はこの1年で一番話をして、一番ぶつかったのがおかちゃんでした。「同じ経営者なんだから、同じ目線に立つべきだ」と力んでしまい、おかちゃんの良さを引き出せなかった時期もあり、反省しています。私とおかちゃんはそもそも考え方が違くて当たり前で、その違いを認め合って、どうやったらお互いに信頼して背中を預け合えるのか、時にはぶつかり合いながら、たくさん対話を重ねていきました。

そこで発見したのは、相手が自分らしくいることを応援しようとするほど、自分の中に「恐れ」が芽生えてしまうことです。例えば、「おかちゃんが開発するプログラムやそこに宿る思想の中に、私が大切にしたいビジョンや戦略が反映されていなかったらどうしよう」と怖くなります。それぞれが最善のものを信じて仕事をしている、だけどその「恐れ」があるが故に、「相手を100%信頼して任せる」ということの難しさを感じました。

「その人がその人らしくいられるように」と願うことは、一方で自分の「恐れ」に向き合うことでもあるわけです。そんな時に大切なことは、2人の関係性でも同じで「自分の気持ちを開示すること」でした。

感情を相手にぶつけるでもなく、言わずに我慢するでもなく、「あなたのことはすごく信頼している。ただ、私はこんなことが怖いんだよね、不安なんだよね」と素直に伝え合うことでしか、「自律共創型」の関係性を育む道はないのかもしれません。

おかちゃんとの関係性も組織全体の関係性も、まだまだ道半ばではありますが、これらの気づきが「自律共創型組織」の実現に向けて私が歩んでいる現在地です。

2023年は「個人の力を、組織の力へ。」

THE COACHは、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。多様性を認め合い、お互いが持つ可能性を信じあう。そんな「コーチングマインド」に溢れたTHE COACHのみんなは、「自分はどんなふうに生きていきたいのか」「なぜ自分はTHE COACHにいるのか」を主体的に探究してくれる人たちばかりです。

自分の人生と組織のあり方をつなげて考えてくれる人が多く、「自主的・自律的」という意味では、すでに素晴らしい組織です。

だからこそ、今度はそれぞれの違いを受け止め合うことに加え、その力をもっと社会に広げていくための「共創」が鍵になっていくのではないかと感じています。リーダーとして「共創」を促すというよりは、すでに芽生えはじめているものを育てていく。そんな2023年にできればと思っています。

また、これまで「THE COACH Meet」「THE COACH Academy」といった、個人向けのサービスをやってきたTHE COACHだからこそ、その個人の力を組織、社会に生かしていくことが「THE COACH for Business」というサービスを通じて次にチャレンジしていきたいことです。

個人の力の生かし方がわかるTHE COACHだからこそ、組織の生かし方もわかる。2023年は、THE COACHという組織のあり方としても、THE COACHが社会にもたらす価値としても、「個人の力を、組織の力へ。」を真ん中に据えて歩んでいきたいと思っています。

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初noteでは、2022年の振り返りと来年の抱負をたっぷりとお届けしてみました。次は共同代表のおかちゃんにバトンを渡したいと思います。1月6日(金)の公開予定ですので、そちらもぜひ読んでいただけるとうれしいです。

改めてこの1年、THE COACHに関わってくれた皆さま、代表就任期に温かい声援をかけてくれた皆さま、本当にありがとうございました。2023年も引き続き、よろしくお願いいたします。

よいお年をお迎えください。

松浦瞳

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