第1席 ねっこの話

種を植えます。

その種から、最初に生えてくる部分を、何と言いますか?

こう質問すると、「芽」と答える人が多いんです。

でも実は違います。

正解は、「根」なんですね。

植物は、芽を生やして地上に出ることよりも、しっかりと土に根差すことの方を、まずは優先します。

なぜなら、植物にとって、根っこはとても大切なものだからです。

例えば、盆栽、ってありますよね?

その盆栽で、樹齢何百年!って紹介されている木が、あんなに小っちゃな鉢植えに収まってるの、なんだか変だと思いませんか?

あれは、植物には“根っこが成長した分しか、幹も枝も成長しない”という特性があるから起こることなんです。

裏を返せば盆栽は、鉢植えで囲ってあえて根の成長を止めることで、小さな木の剪定などを、手軽に楽しめるようにしているんですね。

だからあの盆栽の木も、鉢植えをもっと大きくして、根っこが伸びるようにしてやれば、その分だけ大きく成長します。

もっともっと大きな鉢植えに変えれば、もっともっと木も大きくなります。

そして大地に植え替えてやれば、どこまでもどこまでも伸びていきます。

同じ樹齢何百年の木でも、鉢植えに植わってこじんまりとしている木もあれば、大地に根差して巨大になり、御神木として崇められる木もあるのです。

目に見える部分の大きな違いは、実は目には見えない、根っこの部分にあったのです。

これ、人間も同じだと思うんです。

誰しも他人を見る時は、目に見える部分やステータスばかり気にします。

そしてあの人は良いなぁと、勝手に憧れたりします。

ですが、その目に見えた部分の立派さには、それだけの“裏付け”があるのです。

例えば、人の見ていない所での努力、過去の経験などの根っこが、あなたを支えてくれることでしょう。

また、人間にとっての大地とは、目には見えない心の働きや、科学では証明しきれない不可思議な力、神様の領域だと思うのです。

そうしたところに目に向け、つながりを持ち、しっかりと根を張ることによって、自分自身が揺るぎないものへと変わっていきます。

ですから、今人生がなぜか上手くいかない、悪いことばかり起こる。

そんな風に感じられる時は、その原因は根っこにあるかもしれません。

だって、この世界は「目には見えない部分に張った根っこの分だけしか、目に見える部分に成果として表れてこない」世界なんですから。

もしちゃんと根っこが張れていないのに、地上部分の木ばかり大きくなれば、自分の重さに耐えきれなくなり、ちょっとした風でも、木は根こそぎ倒れてしまいます。

だから今、人生に満足を感じられていないとすれば、それは幸せの重みに耐えかねて自分の身を滅ぼしてしまわないようにという、天の神様の慈悲、親心なのかもしれません。

現代は科学の発達により、何でもかんでも目に見えるものばかり、数字で表すことのできることばかりに人は囚われがちです。

ですが、そんな今だからこそ、目に見えない部分を大切にしてみてはいかがでしょうか?

水や肥料も、幹や枝葉にあげたって意味がないですよね。

やっぱり根っこに向かってあげます。

その目には見えない部分への投資が、まわりまわってあなたの生活を豊かにしてくれる、大きなきっかけになるのです。

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