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どうせ死ぬんだから

物騒なタイトルですが、安心してください。断じて怖くはありませんよ。

先日プラネタリウムに行ってきたんです。
ゆったりとしたピアノの演奏を、全天候型冷暖房完備の星空の下で聞けるんです。かなり最高でした。
半分寝てるんですけどね、その夢うつつな感じがめちゃくちゃいい訳なんです。

それで、昔のことを思い出したりするんです。
星空で、心も遠く広く大きくなってますから。

星の光は何年もかけて地球に届くんだとか、星の一生からしたら人間の一生なんて一瞬なんだよとか、そんな言葉を思い出しました。
ふと、生きてるのしんどいなぁと思っていたころのことが、浮かんできました。

当時は中学生だったのですが、眠れぬ夜に中島みゆきの『時代』を窓際で口ずさみながら、ひたすら日々をやり過ごすという暗い少女でした。
鬱屈とした毎日に嫌気がさして、いつ終わってくれてもいい、なんなら明日、いや今日で終わりでも構わないといつも思っていました。

そんな時、たまたま通りかかった本屋で、たまたま手に取った自己啓発本に、
『心配すんな、80年もしたらどうせ死ぬんだから』
なんてことが書いてあったのです。

なぜだかすごく安心したのを覚えています。
あ、そうか、心配しなくても死ねるんだ。
頑張って生きなくても死ねるんだ。

生きなくてはならない、死んではいけない、頑張らねばならない。
本気で死を選ぶ勇気はなかったけど、最後の選択肢が奪われたような、
逃げ道を奪われたような気になって、生き地獄一択の人生が辛かったのだと思います。

その時の私には、どうせ死ぬんだから、という言葉は救いでした。

もし、最後はハッピーエンドの物語だと分かっていたら、途中の苦難もイベントとして楽しめるはずです。
死ぬのがハッピーだというんじゃなくて、その時の一番の苦しみから解放される未来は確約されている。それだけでも気持ちが楽になれたんです。
そうかいつかは死ぬのだ、頑張っても頑張らなくてもいつかは死ねるんだ。
焦らなくても80年後には死ねているんだ。
そう思うと心が緩み、目先の生きる辛さに囚われるんじゃなくて、少しゆったりした時間軸で生きることについて考えてみることができました。

死ねるんだと安心したら、生きることについて初めて考えられた。
不思議な感覚でした。
この体験は、私に穏やかな衝撃を与えました。
そして、その時から、苦しい時の助けになる呪文を手に入れたのです。

『どうせ、~なんだから』

この呪文、めっちゃ使えますよ。
『どうせ』の部分に色々当てはめてみるんです。
その時に強く思っていることを、どうせ叶ってしまうという設定にするんです。
どうせ死ぬんだからみたいに、ネガティブな思いでも構いません。
すると、力んでしまっていた思考がゆるみ、気持ちに変化が現れます。
そうなったら、今までとは違う視点で物事を見られるようになります。

バレーボールの決勝戦、どうしても勝ちたい!

どうせ、優勝するんだから、と考えてみる。

のびのび自由にプレーできそうですね。
本来の力が発揮できそうです。


バレーボールの決勝戦、相手が格上過ぎる!

どうせ、負けるんだから、と考えてみる。

失うものがないなら、思い切ったプレーができそうですね。
勝たねばならないプレッシャーがないほうが、勝利を手にすることはあるあるです。


彼と付き合いたくて、必死になって、彼の言葉に一喜一憂してしまう。

どうせ、私たちは付き合うのだから、と考えてみる。

どうせ付き合うのだから、今のハラハラする日々があったほうが、めでたくお付き合いがスタートした時に盛り上がる!
どうせ付き合うのだから、別の女の子と話していても、嫉妬や疑いの感情に飲み込まれない。


空想ごっこだと思ってやってみて下さい。
そしたら、あら不思議、ちょっと気持ちが軽くなってやしませんか?

凝り固まった頭の体操だと思って、ぜひやってみてくださいね。
案外、楽しいですよ!


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