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ナルト×考察:自来也の最期〜老年期の発達課題とは?〜【Ep9】
こんにちは、ひとかどさんです。
先週は、“人間開発の8ステージ“を紹介し、ステージ6(親密vs孤独)から人によって歩みに差が出始め、ステージ8(自我統合vs絶望)でうまく折り合いをつけることができたかどうかを特定することは難しいと紹介しました。
そこで、ステージ6以降、特にステージ8を具体的にイメージしてもらうために、今日は、『NARUTO』から「自来也」に登場してもらいましょう。
自来也といえば、「木の葉の三忍」のうちの一人であり、三代目火影に育てられ、四代目火影や長門達を弟子に持ち、ナルトの師匠にもなり、最終的にはペイン六道との戦いで、その正体を掴むために戦死した偉大な人物です。
わたしは自来也を「ステージ8でうまく折り合いをつけることができた人」だと捉えているのですが、その理由を説明したいと思います。
ステージ6:親密vs孤独
まず、前段として、ステージ6です。
親密か孤独かで思い悩むステージ6では、自来也は、基本的に非同調的傾向である「孤独」を受け入れる形で先のステージに進んだと考えられます(自分は「孤独」でいいというのは、一見すると失敗のようですが、折り合いをつけることができているという点では、ステージごとの発達課題をクリアしています)。
その生き様は彼の人生観として、いくつかのセリフに現れていますよね。
※非同調的傾向だと「悪い」というわけではなく、アンバランスが問題なのです(あまりにも非同調的傾向に偏りすぎることが、「悪性の発達」に繋がるとエリクソンは説明しています)。
男はフラれて強くなる
よーするに、そんなことは笑い話にするくらいの度量がなけりゃ男は務まらん
ネタにするくらいじゃないとの(自来也)
幸せなんてのは男が求めるもんじゃないのォ(自来也)
ステージ7:生産vs停滞
次に、ステージ7です。
「伝説の三忍」と謳われた自来也も、ステージ7をクリアすることには苦労しているようでした。
何より、生産(何かを成し遂げたり、次世代に引き継ぐこと)と停滞(何も成し遂げられないこと)の狭間で苦しみ続けていたことが伺えます。ナルトという次世代を育てながらも、何かを成し遂げられたかどうかに停滞感を覚え、最期まで思い悩んでいました。
それは、ペイン六道との闘い、その最期の瞬間の彼の心の声からも明らかです。
したがって、ステージ7でも非同調的傾向に若干偏る形でステージの課題を通過したように思います(一方で、ナルトを育てたことからもわかるように「生産」が全くなかったわけではない)。
…思い返せばワシの物語は失敗ばかりだった…
綱手にフラれ続け
友(注:大蛇丸のこと)を止めることも出来ず
弟子(注:ミナト=四代目火影)と師(注:ヒルゼン=三代目火影)を守ることも出来なかった
火影たちが成した偉業に比べれば、ワシのしてきたことは取るに足らぬことばかり(自来也)
ステージ8:自我の統合vs絶望
そんな自来也ですが、今際の時にステージ8に到達し、そのステージの課題を同調的傾向にてクリアしたのかもしれません。
ステージ8は、「自我の統合」か「絶望」かで葛藤するステージです。
闘いの中、決死の思いで、敵・ペインの正体を掴むことに成功したものの、ノドを潰され、近くにいる仲間(フカサク様)に声を出して伝えることができず、しかも心臓に槍を刺され意識が遠くなる中、自来也は思います。
「失敗なのか?」と。
何かを成し遂げることができず、停滞して終わる自分の人生を諦めるように。
これは、まさにステージ8の非同調的傾向である「絶望」と言えるでしょう。
しかし…
瞼に浮かんだのは、かつての弟子・ミナト(四代目火影)の言葉。
そして、「まっすぐ自分の言葉は曲げない」という忍道を持つ今の弟子・ナルトでした。
「弟子の忍道は師匠ゆずりと相場は決まっている」と言う自来也。
かつて自分が発した言葉、「忍の才能で一番大切なのは、持ってる術の数なんかじゃねェ…大切なのは、あきらめねェど根性だ」を思い出します。
そして…!
気力だけで息を吹き返して、見事、ペインの正体を伝えるダイイング・メッセージを残すことに成功するのでした…!
本当の忍の才能を持つ立派な忍者で、あなたほどの忍はいませんからね(波風ミナト)
まっすぐ自分の言葉は曲げない
そして、どんな時もあきらめない
それがお前の忍道ならーー
ナルトよ、ワシはそのお前の師だ
弱音を吐くわけにはいかんのォ…
なぜなら…弟子の忍道は師匠ゆずりと相場は決まっとる!
なあ、そうだろ、ナルトよ…のォ!!(自来也)
あきらめねェ…
それこそが、ワシのとるべき本当の“選択”だった!(自来也)
最後の最期に、「諦めない」という”本当の”選択をとることができた自来也。
そこには、失敗に弱音を吐くのではなく、
これまで成し遂げられなかったことを後悔するのではなく、
何より、自分のこれまでの人生を蔑み、後悔するのではなく、
これまでの自分の生き方や言葉に責任を持ち、最後まで自分を律する、
そんな立派な姿でした。
わたしはこれを「自我の統合(ステージ8の同調的傾向)」だと解釈しています。
水の底に沈みながら、自来也豪傑物語に幕を閉じるその時、「ほどほどにあっぱれ」と心の中で呟く自来也の顔には笑みが浮かんでいました。
18話前で、綱手に話していたことを考えるととても感慨深い最期でした。
ワシらの役目は、次の世代のために手本となり手助けをすること
そのためなら笑って命を懸ける
それが年寄りの格好良さというものだろーのォ(自来也)
終わりに
いかがでしたでしょうか。
とりわけ、ステージ8における調停は、本当に難しいものだと思います。
しかし、“人間開発のステージ“を意識し、今の自分がどの段階にいるかを考えて、自分に気づき、人間的成長を続けることが大事だと、MAPは説明しているのです。
【参考資料】
『NARUTO』巻ノ四十「究極芸術!!」
『NARUTO』巻ノ四十一「自来也の選択!!」
『NARUTO』巻ノ四十二「万華鏡の秘密…!!」
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