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[DX事例63]ランニングエコシステムにより一生涯、心も身体も満たされるランニング体験を提供したい!_株式会社アシックス

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回はスポーツ分野からです。主にランニングシューズや、マラソンシューズフットサル・バレーボールなど、スポーツマンのためのシューズの製造販売を中心におこなう株式会社アシックスのランニングDXです。


お客様に「走る」喜びと楽しさを届けたい! アシックスのDX事例

アシックスは1949年、前身となる「鬼塚株式会社」設立当初よりスポーツシューズの製造販売に取り組んでおり、スポーツ工学に基づく最適なシューズ開発を続けている会社となります。
走るためのシューズを開発してきたアシックスですが、今度はDXを活用して新しいランニング体験を提供していますので、そちらの事例をご紹介します。


①モーションセンサー計測でひとりひとりに新たなランニング体験を提供「Runmetrix」
カシオ計算機との協業サービスとなります。2021年1月より、アシックスはランナー向けパーソナルコンチングサービス「Runmetrix」を提供開始しています。

「Runmetrix」はカシオ計算機と共同開発したモーションセンサーには、GPS機能と9軸センサーが搭載されており、上下動や骨盤の回転、体幹の動きなどのランニング中の体の動きを詳細に計測することができます。

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Runmetrix HPより抜粋

Runmetrixにはモーションセンサーを通して得られる計測情報をアプリで確認できます。アプリの機能も豊富にあります。
走り方の特徴や身体の使い方を評価し点数化する「フォームスコア」や、ランニングのアクティビティのタイムなどの確認、フォームの分析や改善提案などがあります。

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Runmetrix 「プロダクト」より抜粋

Runmetrixではランニング結果の記録だけでなく、測定した結果やフォームに応じて最適な練習プランを提案してくれるのも特徴の一つです。
練習プランにはランニングだけでなく、ストレッチや筋力トレーニングも含まれた「からだづくりプログラム」を作成でき、ひとりひとりにあったパーソナルトレーニングを提供することが可能となっています。


②東京マラソン2021でベストタイムを出すための特別なパーソナルランニングプログラム「アシックス プレミアム ランニングプログラム」
試験的な取組みのため現在は終了していますがアシックスは4月11日〜6月30日の間、国内のランナー向けにアシックスのデジタルサービスやトレーニングサービスを提供する「アシックス プレミアム ランニングプログラム」を実施しました。

このプログラムは165,000円と高額なサービスとなります。しかし、先程紹介したモーションセンサーを使った計測に始まり、専門施設でのランニング能力の計測とアドバイス、ランニングコンシェルジュとの相談、東京マラソン2021への出場資格もついており、30名の定員数を大幅に上回る約250名からの応募がありました。

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株式会社アシックス「統合報告書2020」より抜粋


アシックスプレミアムランニングプログラムの内容
・モーションセンサーによる日々のランニング・トレーニング分析
・ASICS RUNNING LABでのランニング計測、専門スタッフによる個別アドバイス
・トレーニング方法レクチャやアスリート交流などのオンラインイベント
・ランニングコンシェルジュによるランニングに関するLINE相談対応
・毎月バーチャルレースを開催し、トレーニングの進捗確認
・成果を試す場としての「東京マラソン2021」への出場資格

このプログラムはアシックスが持つ商品やサービス、専門施設などの技術を結集させたものとなっており、お客様であるランナーのランニング体験を高め、成長と継続を促すことを目的としているそうです。



DXと経営戦略との関連性について

アシックスは統合報告書2020において、戦略目標として「デジタルを軸にした経営への転換」を掲げています。
お客様に対して製品の提供だけでなく、「デジタル」を軸にさまざまな付加価値のあるサービスを提供することを目的としたもので、その核として「ランニングエコシステム」の構築があります。

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株式会社アシックス「ASICS通信 67th Term」より抜粋


アシックスは2019年11月にファストノースコーポレーションからランニングレース登録サイト「RACE ROSTER」を買収しています。
アシックスのランニングエコシステムとは、「RACE ROSTER」の買収をきっかけに、レースの「登録」から「準備」「結果記録」「次のレースへの登録」というランニングに関する一覧のサイクルをトータルサポートすることにあります。
このサイクルの中で、今回ご紹介したRunmetrixやアシックスのシューズ、ランニングサポートサービスを提供することで、お客様のモチベーションを高めるようなランニング体験を提供したいとのことです。

アシックスはデジタルを活用していくことで、お客様に一生涯、心も身体も満たされるランニング体験を提供していくための活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はお客様の運動データを活用した事例でした。
DXで一人ひとりに合わせた最適な提案やサービス提供を考えるとき、一番重要なものはその会社が今までに貯めてきたデータをどう活用するかにあります。

データとは、例えば自社での販売情報や顧客の問い合わせの履歴情報のことであり、小売業であれば商品の売れ筋やEC商品サイトのクリック率や滞在時間、商品購入のリピート率。運輸業であればドライバーの配送ルート情報やトラック庫内の商品積載率、届け先の不在が少ない時間帯などの情報もあるでしょう。こういったデータをたくさん集めていけば、より良いサービスを作れそうな気もしますね

ただ、こういった「使えそうなデータ」は考えればいくらでも思いつくもので、あれもこれもとデータ収集してしまうことはおすすめしません。全く活用されないデータを沢山蓄積してしまうことになりますし、そのデータを維持するコストがしっかりかかってきます。

顧客にとって最適なサービスを提供するために、必要な情報は何なのか? どんなデータがあればひとりひとりに合った提案ができるのか、みなさんも考えてみていただければと思います!
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社アシックス HP
https://corp.asics.com/jp
株式会社アシックス「統合報告書2020」
https://assets.asics.com/page_types/4761/files/アシックス統合報告書2020_original.pdf?1624406272&_ga=2.93358238.228724960.1636291099-505719973.1636291099
株式会社アシックス「ASICS通信 67th Term
https://assets.asics.com/page_types/4494/files/アシックス通信_original.pdf?1600131681
Runmetrix HP
https://runmetrix.casio.com/jp/index.html
走ろう!com「アシックスが パーソナライズされたサービスを受けられる「アシックス プレミアム ランニングプログラム」を展開」
https://hashirou.com/article/page/asics-premium-running-program-release
MONOist 「DXでアシックスとカシオ計算機が作るスポーツの「コトづくり」とは」
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2101/28/news061_2.html

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