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建設現場のIT化「スマートコンストラクション」でスマートでクリーンな未来の現場を作り出せ!!〜DX事例39_株式会社小松製作所〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は機械製造業からです。「コマツ」または「KOMATSU」などの呼称でも知られている、建設機械・鉱山機械のメーカー「株式会社小松製作所」のスマートコンストラクションのDXです。


建機を売るだけではない、建設をトータルサポートする「スマートコンストラクション」とは何か?

コマツといえば、建設現場に使うショベルカー、ブルドーザーなどが有名で、地下建機としてトンネルを掘削するシールドマシンなども製造販売している日本の有名メーカーです。

「コンストラクション=建設」という意味であり、今回の記事では建設をIT化する「スマートコンストラクション」についてコマツが実施している取り組みを紹介します。

①わずか20分で3Dモデル化。ドローンでの高精度測量
建設工程において、設計をする前にまず測量をしますがこの工程をドローンが代替します。道路の工事現場などで三脚のカメラのようなもので測量をしている人を見かけることもあります。従来の測定機器を元に人力で測量をすると数日はかかりますが、コマツはこれを20分程度で完了させます。
コマツは「エブリディドローン」という名称のドローンを開発しています。撮影用の「ドローン」と、GPSでの位置補正+マップ作成のedgeコンピュータである「EdgeBox」から構成されていて、撮影からマップ作成までを現場にいながらノンストップで作成します。

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株式会社小松製作所HP 「SMART CONSTRUCTION エブリデイドローン」より抜粋

作成されるマップは3Dで高低差なども把握できるマップのため、測量工程だけではなく、建設期間中に日時で撮影をすることで建設の進捗管理にも活用できます


②ICT建機の販売だけでなく、既存の建機を後付でIoT化するキットも用意
以前の鹿島建設の記事でも似たような事例を紹介していますが、コマツも自動運転技術を導入しています。無人での自動操作もできそうなのですが、それよりもコマツはセミオート(半自動)の操作に特化しています。

ICT建機の中には、様々な情報が表示されるコントロールボックスがあります。

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株式会社小松製作所カタログ「PC300i」より抜粋

座席の右にディスプレイ(コントロールボックス)が見えると思いますが、GPSの位置情報や建設の施工データを事前インプットしておくことで、建機の現在位置をもとに、どこを施工すればいいのかマップ表示することが可能となっています。
コマツのICT建機にはカメラ撮影ならびに通信機能も備えていますので、施行により変形した地形情報の撮影や進捗状況をリアルタイムに把握することもできます。

またこれらのICT建機だけではなく、従来の建機もICT化するキットを開発販売しています。コマツ以外の建機にも装着可能となっており、当時の価格も70万円ほどと他社よりも10分の1程度の低価格で販売しています。


③ダンプカーの積載量や運行状況を把握
建設現場が複数ある場合やショベルカーで掘り出した土を運ぶ場合において、ダンプカーを使った複数拠点の資材運搬は頻繁に行われます。昨今は過積載による事故防止や、ダンプカーによる渋滞を起こさないなどの周囲への配慮が求められており、コマツはダンプカーの運行に関するアプリを用意しています。

「Tracking Management System」というダンプカー運行専用のアプリは、ダンプカーの現在位置の把握や、走行ルートの表示、ダンプカーの到着が近づくと到着アラートを事前通知するなどの機能があります。ダンプカーに土を載せるショベルカーにもICT機器が登録されているので、「ショベルカーから今どれだけの土が積み込まれたか」「ダンプカーには累積としてどれだけの土が積まれており、過積載になっていないか」などの項目が機械的にチェックできるようになりました。

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株式会社小松製作所HP 「Tracking Management System」より抜粋


DXと経営戦略の関連性について

コマツは2015年から「SMART CONSTRUCION」に取り組んでおり、ICT建機を積極的に製造販売しています。この取り組みを2020年4月からは「デジタルトランスフォーメーション(DX)・スマートコンストラクション」と名称を改め、建設の工程をトータルでサポートする取り組みを実施しています。

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株式会社小松製作所HP 「DX スマートコンストラクション」より抜粋

先程は、ドローンやICT建機などの個々の取り組みを紹介していますが、これらの取り組みを「縦のデジタル化」と表現しています。そして、縦のデジタル化から、建設生産プロセスの最初から最後までをつなぐ「横のデジタル化」を推進しようとしています。

コマツ社内には建機を売る営業部隊だけでなく、お客様の課題を解決するコンサル部隊も用意されています。コンサル部隊は、上記に登場したドローン撮影からの3Dマップ作成から、建設データ図面の作成、建設図面に合わせたICT建機のセットアップなど、建設工程の全てをフルサポートすることも可能です。

これらの取り組みにより、コマツは「建機を売る」ものづくりメーカーから「建設現場のあらゆるお客様の課題を解決する」サービス事業者に変革しようとしています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
コマツのスマートコンストラクションページには「導入事例の紹介ページ」があるのですが、現時点でその導入事例は550を超えています。ものすごい事例の数です。コマツがいかに熱心にスマートコンストラクションを推し進めようとしているのが分かります。

コマツは全国の営業所スタッフが自らお客様の現場へ取材に行ったり、スマートコンストラクション導入の様子を伝えるような積極的な活動をしているとのことです。この地道な活動が、550もの導入事例に繋がっているのでしょう。

DXは導入すればスマートなオペレーションやサービスを生み出すことができますが、導入するまでの間はスマートではなく、地道な作業が必要になります。もちろん費用や期間もかかりますし、DX導入に携わる人達の熱心な協力も不可欠です。
DXを実施することで叶えたいビジョンやサービスを社員にきちんと説明し、理解してもらうこともDX実現の重要な要素なんだとタナショーは感じます。DXを作り出すのはやはり人なんですね。
次回の記事も楽しみにしていただければと思います♪


参考にさせていただいた情報
株式会社小松製作所HP
https://home.komatsu/jp/
株式会社小松製作所「SMART CONSTRUCION」
https://smartconstruction.komatsu/index.html
株式会社小松製作所「コマツのデジタルトランスフォーメーション戦略」
https://home.komatsu/jp/ir/library/results/03_KomatsuDX.pdf
株式会社小松製作所「DX スマートコンストラクション」
https://smartconstruction.komatsu/dxsc.html
VISUAL SHIFT「“DX=デジタル化”ではない。建機メーカーのコマツが考える建設現場のDXとは」
https://visual-shift.jp/21087/
IT Leaders「建機革命から20年、“未来の現場”に向けたコマツのDX/オープンイノベーション」
https://it.impress.co.jp/articles/-/21368

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