小笠原でヒトデ釣り【生ラブ#26】
秋も深まってきた。これからの季節は潮が大きく引くのは夜になるし、肌寒い。春夏のように海で磯遊び!とはいかないだろう。そこで釣りなんかどうだろうか?魚以外にも意外なものが釣れるかもしれない。
かくいう私は初めての海釣りでヒトデを釣った。
調査のため小笠原諸島の父島へ行った時のこと。夜は特にやることがないので、釣りでもしよう!と港へくりだした。先輩に釣り竿を借り、見よう見まねで糸をたらす。
ボニンブルーと賞される青く美しい海(小笠原諸島は英語でBonin Islandsという)。穏やかな港では夜でもその透明度は変わらない。魚が泳いでいるのが見える!でも釣れない。そこにいるのに。。。
なんの手応えもない釣り糸を、それでも引き上げてみる。するとそこにはヒトデがくっついているではないか!!!ヒトデ研究者としては、これは運命なんじゃないかと当時大興奮したものだ。
私のヒトデ愛ゆえにヒトデが釣れた♡わけではなかった。実は海釣りではよくあることらしいのだ。「釣り ヒトデ」で画像検索して欲しい。釣られたヒトデたちがわんさか出てくる。ヒトデはもうイヤもういらない!なんて声も。。。
ヒトデは泳がない。海の底を這っている生き物だ。なのでカレイなど海底に棲んでいる魚を狙うときや、投げ釣り(遠投)のときに釣れやすいようだ。私の場合は初心者すぎて釣糸をどれくらい伸ばしたらいいのか分からなかった。それで海底に釣り針がついてしまっていたのだろう。これぞ怪我の功名!
ヒトデは食べられない。食べられないことはないけれど、体内に毒素を持っているので不味い。そのため釣れてもハズレだと嫌われ者のようだ。大喜びしているのは私だけ?確かにカニでも釣れればおいしく食べられる。
ではなぜカニは釣れずにヒトデは釣れるのか?まず、ヒトデは超肉食だ。大好物の貝や固着生物、死んだ魚や時にはヒトデまで。なんでも食べてしまう。そして食らいついたら離さない。獲物に覆い被さり、真ん中にある口から胃を反転させて溶かして食べるのだ。この時にはもう獲物を腕でガッチリ抱え込む状態になる。釣り糸を引っ張ったぐらいでは外れない。
私が釣ったヒメカンムリヒトデというヒトデは腕がたくさん(5本以上)ある。そりゃぁもうガッチリとエサをくわえこんでいた。運命のヒトデ♡彼女は父島の港にヒメカンムリヒトデが生息していることを証明する貴重な標本となった。そしてその後無事にオジサン(魚)を釣って、満足したのだった。
機会があれば今度はイカ釣りをしてみたい!誰か一緒にいかがですか?
(地球らいぶ11月号掲載記事)
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