審判の美学。サッカーの審判員をやってよかったこと②

私はサッカーの審判員を本格的にやっていたことがあります。その中で、驚いたことの一つが審判員は身だしなみや姿勢、礼儀などにとてもこだわるということです。つまり、審判員はカッコつける生き物だということ。そしてカッコつけることはカッコイイということです。

サッカーのプレイヤーが相手との勝負をする人であるならば、審判員とは演技者です。その試合を円滑に進めるというゲームを演じるパフォーマー。魅せる人。だからどちらかというと、フィギュアスケートの選手とか体操選手とかに近いと思っています。

まず教わったのは、靴を磨くこと。審判員の装いは基本真っ黒です。黒のシャツに黒の短パン、黒のソックス、そして黒の靴。この靴は常にピカピカに磨いておくこと。審判員が演技者だと考えると、目立たなくとも美しい装いでいることは当たり前なのです。

そして、旗の上げる手の角度や美しい走り方の指導までされます。姿勢は常に頭から糸で吊り下げられていると思え!と言われました。また、フィールドの中を適当に走っているわけではありません。うまくその試合をまわすための最適な位置どりを常に考えて動いているのです。

美しい姿勢・美しい動作・美しい動線は見ている人に分かりやすく、正確な判断に繋がります。つまりすべては良いパフォーマンスのためなのです。

審判員たちは一試合一試合、最高のパフォーマンスを引き出すためのトレーニングを日々しています。ゲームの流れを壊さず、でも取るべきファールは取り、仲間と連携をとりながらうまく試合を完遂したときの達成感は並々ならぬものがあります。

私は小学校からずっとスポーツをやってきましたが、実は勝負事があまり好きではありませんでした。負けて悔しくて泣ける子を見て、自分は冷たい人間なのだろうかと悩んだことさえありました。

そんな人こそ審判員に挑戦してほしい。サッカーは好きだけど、プレイヤーとしては限界を感じている。そんな人もぜひ審判員の道を考えてほしいなと思います。

サッカー選手とは違う面白さややりがいと、格好良さがあります!

最後に、サッカーの審判員をしていて一番好きだったことは、試合前と試合後に選手と審判員全員と握手をすることでした。共に一緒に最高のゲームを作り上げましょう!と信頼の証の握手。ありがとうを込めた感謝の握手。

日本ではハグどころか握手をする機会は少ないですが、実際に触れ合うということはやはりより気持ちがこもるものです。

礼儀を大切に、美しく最高のパフォーマンスを魅せるために研鑽する審判の人たちが本当に大好きです。

ぜひ、今年のワールドカップは審判員にも注目してみてください!そして審判員を目指す人たちが1人でも増えますように。


カッコつけるカッコイイ大人たち↓


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