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イルカを見て、クジラを食う【生き物からのラブレター#33】

イルカは遊び好き。これは本当だ。

私が初めて野生のイルカを見たのは、熊本県天草の海だった。

色々な海を見たい。色々な生き物を見たい。そう思っていた大学生のとき、熊本大学での公開臨海実習に参加した。

臨海実習といっても大学や先生などによってどんな実習になるかは特色が出る。熊本大学では生き物の行動生態学を専門にしている先生が多く、実習内容も生き物の行動を観察するものが多かった。

そういうわけで、イルカウォッチングというのが実習のプログラムにすでに入っていたのである。

イルカが嫌いな人なんているのだろうか?ふだんはちょっとヘンテコな無脊椎動物ほねなしばかり追いかけている私でも、野生のイルカが見れるとなると興奮せずにはいられない。

水族館でしか見たことのないイルカは、野生ではどんな風に過ごしているのだろう?

ワクワクしながら実習船に乗り込み、海へと繰り出した。

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どうやらこの辺りはイルカがよく現れるポイントがあるらしく、イルカウォッチングが観光として成り立っているらしかった。

私たちの船がそのポイントに近づくと、何隻かの観光船も見えてきた。

しかし何か様子がおかしい。今にも転覆しそうなほど傾いているのである。

何事か???とよく見てみると、船の近くにはイルカが何匹か顔を出しているではないか!

そのイルカたちをどうにかよく見ようと、観光客たちが船の片側へ押し寄せている。本人たちはイルカに夢中で気づかないのかもしれないが、外から見ている私たちは船が倒れないか冷や汗ものだ。

イルカたちは船の周りを優雅に泳ぎ、たまに顔を出してはちょっと笑っているような。
観察されているのはどちらなのだろう?という感じだった。

もちろん私たちの周りにもイルカは来てくれた。

実際に行くまでは、たまたまそこに通りかかったイルカをそっと静かに見守るイメージをしていた。行っても見れるか見れないか。奇跡的な出会いを待つと言う感じ。

しかしイルカはむしろ自分から寄ってくる。お〜また来たぞ!と言う感じで好奇心満々、愛嬌たっぷりで寄ってくる。

なるほど。人間が親近感を持ち、愛されるわけだ。

水族館だから愛嬌振り撒いてくれるわけではなかったのだ。

とにかく、この広い海を自由に生きているイルカが本当にいる!という感動と、観光船の心配で胸がいっぱいだった。

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熊本にはイルカウォッチングの他にも私には馴染みのない文化がいろいろとあった。その一つが捕鯨だ。

私は給食にクジラ肉が出た世代ではないので、クジラを食べたことがなかった。だからやっぱり食べてみたい!

イルカを愛でた後にクジラを食べる。

なんだか矛盾しているような、残酷なような。

でも生き物は食べて食べられ、みなどこかで繋がって助け合って生きているのだ。
愛でる喜びも、食べる喜びも私にとってはどちらも等しくありがたい自然の恵み。

クジラジャーキーを買った。普通に美味しかった。

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