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ネコとマリモ【生き物からのラブレター#30】

日本で3種目のマリモの仲間が発見されたそうだ。

少し勘違いされそうだが、新種ではなく日本では初めて見つかったということ。元々は中国の河川などで知られていたものと遺伝子が一致したそうだ。

そもそもマリモって種類があったの?というか阿寒湖以外にもいるの?というのが私の最初の感想。

マリモといえば北海道の阿寒湖がとにかく有名だ。湖底に緑色の毛玉がゴロゴロ転がっている様子は不思議でちょっとおもしろい。誰もが一度は見てみたいと思うものではないだろうか。

「阿寒湖でしか見られない光景」だとして大切にされている一方、お土産でチビマリモが小瓶に入ってわんさか売られているギャップもまた良い。おばあちゃんが丸めてるなんて噂もシュールさを際立たせてくれて面白い。まりもっこりなんていうふざけたキャラもいたなぁ(笑)。

私は中学生の時に家族旅行でこの阿寒湖へ行った。ちょうど思春期真っ盛りだったので旅行自体あまり乗り気ではなく、正直内容もほとんど覚えていない。ただ阿寒湖のマリモだけはやはり楽しみだったのだ。

もちろんお土産にマリモを買って帰ってきた。あまりに小さな小瓶だったので、家にある大きめのジャム瓶に入れ替えてやり、陽のよく当たる出窓で育てることにした。

手のかからない良い子だった。たまーに水を換えてやるだけ。まるっこいフォルムが本当にかわいい。心なしか成長している気もする。陽に当たると表面についた気泡がキラキラして、黄緑色が透けて見えてとてもキレイだった。

しかし、しばらくするとうちで飼っているネコがマリモの水を飲むようになった。

最初はたまたまそこに水があったから飲んだだけなのかな?と思った。でも、ご飯の横にネコ用のお水もいつもきちんと用意してある。それにマリモ水を飲んでいるのを見たのは一度や二度ではない。

極め付けは、わざわざ手を使ってマリモ水を飲むようになったことだ。マリモを入れている瓶の口はネコの頭より小さかったので、水が減ってくると顔をつっこんでも水を飲めなくなる。そうなると瓶の中に手を入れて、手についた水をペロペロ舐めて飲むのだ。これは明らかにマリモ水を好んで飲んでいる。

酸素が出てるから美味しいのかな?マリモがいたほうが美味しいのかな?真相はわからないが、とにかく自分のネコ用の水にはいっさい手をつけなくなった。そして相変わらずお上品に?手を使って飲んでいる。

ネコが飲むと水の減りが早いので頻繁に継ぎ足してはいたのだけれど、ネコのほうも手を使って水を飲むのが定着してしまったようだ。これが悲劇の始まりだった・・・。

水を飲むたびにネコが水をかき混ぜるので、マリモがほぐれてきてしまったのだ。一匹、二匹と藻屑になってゆき、ついにマリモはいなくなってしまった。ネコのほうはマリモがいなくなってもしばらくはマリモが入っていた瓶から水を飲んでいたけれど、そのうちやめた。

実はマリモをいじるのが楽しかっただけだったりして。ネコは毛糸の玉を追いかけているイメージだし。でもマリモはいなくなってしまい、ネコは美味しい水を飲めなくなった。残念。

ちなみに今回発見されたモトスマリモは、民家の水槽の中で大量発生しているところを見つかったそうだ。おそらく山梨県の本栖湖産の二枚貝に付着していたものが水槽の中で繁殖したと考えられるらしいが、元々本栖湖にいたのか外来種なのかはまだ不明だそうだ。

お土産のマリモはどこかで増えちゃったりしないのかな?と考えたこともあるけど、ネコにほぐされて死んでしまうくらいだからなぁ。強いのやら弱いのやら。

まだまだ興味の尽きないマリモ。また育てたいな。ネコなしで。


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