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【突撃!ナレトーーク】第4回 鈴木健太さん(後半)

ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。

ナレーターのさかし(坂下純美)とあこ(甘利亜矢子)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!

前回に引き続き、演劇界が生んだ期待のナレーター・鈴木健太さんです!

鈴木健太さん
1986年生まれ。日本大学大学院芸術学研究科舞台芸術専攻修了。
大学院在学中はスタニスラフスキー・システムやメソッド演技など、海外の演技トレーニング法を研究。その後もマイズナー・テクニックやアレクサンダー・テクニークを中心に研鑽を積む。
東京発の国際演劇祭『フェスティバル/トーキョー』にて、イタリア人演出家ロメオ・カステルッチの公演に出演。小劇場を中心に俳優として活動。
2018年からナレーターとしての活動を開始。自宅での収録環境を整え、国内海外問わず広くナレーションを送り出している。
〇HP…https://www.kentavoce.art/
〇Twitter…@Kenta_SUZUKI

前回までのあらすじ

横山美和さんと片岡晟さんが立ち上げたナレーターのマーケットプレイスvonique.tokyoに誘われた鈴木健太さん。
片岡さんはなぜ鈴木さんに「一緒にやらないか?」と声をかけたのか。
これには「かつての同期」だけではない、決め手となるアレがあった…!

ナレーターの盲点…宣材写真は重要!

さかし:片岡さん的に、vonique.tokyoに鈴木さんを誘おうと思ったきっかけは何ですか?

片岡:なにより写真が良かった。

さかし:写真!?え、あれかな?Twitterの(※今記事の最初に載せている写真と同一)。確かにあの写真はいい!

鈴木:あれは考えた。

片岡: voniqueに載せてる人たちは結構写真基準で選んでいます。
ある程度のサンプルの品質があれば、あとは写真かなと。サンプルはいくらでも品質上げようと思えばできるじゃないですか。ただみんなやっぱり写真にはなかなか手をかけないですよね。一番最初にその人に触れる情報が写真であるにも関わらず、写真のクオリティに目を向ける人がなかなかいないので、だからこそ写真をちゃんとすれば高級感も出るし、その高級感がそのナレーターのギャラ感に影響すると思います。

さかし:確かに鈴木さんの写真は高級感がある。

あこ:私も、鈴木さんは「宣材写真がとてもおしゃれな方」というイメージがあります!

鈴木:スクールバーズに通った影響かもしれません。役者として、例えばオーディションを受けるとか経歴を送るというときにも写真を使いますけど、正直舞台役者、特に小劇場の役者の写真はつまらないって僕は思っていて。言っちゃうけど。

さかし:面白味に欠けると。

鈴木:僕が舞台をやり始めたときは、普通に白バックで全身とアップというようなものがスタンダードで、僕もそういう宣材写真使ってました。
でもバーズで、「写真は大事だよ、名刺も大事だ、プロフィールも大事だ、いわゆる見せ方は大事だ」っていうのを学びました。
実際バーズに関わっているトップナレーターの方たちの写真はすごい。

講師の方が「カフェで打合せをしているような写真をプロフィールにするのはおもしろいと思うな」というようなことをレッスン中にポロっとしゃべったことがあったんですよ。僕に向けてとかじゃなくて、いわゆる雑談のなかで。
それがずっと引っかかっていたのか、今の写真を撮り直そうと思ったときにそのことを思い出しました。
自分は紅茶が好きなんです。実際に使ったあの場所は本当のカフェなんですよ、僕が行きつけの。スタジオ貸しもしてくれるカフェで、相談させてもらって場所借りて、カメラマンさんは昔から撮ってくださっているカメラマンさんにお願いをして撮っていただいたんです。
だから、あの写真が評価されたんだったらスゲー嬉しい。

この写真、紅茶好きだけでなく俳優テイストも織り込まれていて素敵ですね!

2度目のチャレンジ…Voicy公式ニュースパーソナリティに就任!

さかし:そういえば鈴木さん、VoicyのEveningNews公式ニュースパーソナリティ就任おめでとうございます。

鈴木:ありがとうございます。久しぶりにニュースを読みました。というのも、まずVoicy自体は実は僕、2回目の挑戦だったんです。2021年に一回応募していて、そのときはスポニチニュースで応募したんですけどそれはまったく引っかからず。 

片岡:僕の後になるかもしれなかったんですね(※片岡さんは2020年にVoicyの「スポニチニュース」パーソナリティを担当していました)。

鈴木:そう、それを正直狙ってはいた。でも一次で落ちました。でも今回もう一回チャレンジしてみようと思って。
その募集のなかに今回担当しているイブニングニュースが入ってて「これだったら自分のこの声に合いそうだ」と思ったんですよね。夜の時間帯のちょっと落ち着いた感じのニュースだから。実際にイブニングニュース聞いてみても、元々の担当の方たちもそういった雰囲気だし、もしかしたらこれならいけるかなぁと思いました。
経歴も何度も書き直したり、原稿も作り直したりして、締切ギリギリに応募して、そうしたらピックアップしていただきました。
一次はVoicyのアプリで自己PRと一本原稿を読んで、あとは応募フォームで志望理由を書く。で、二次試験がカジュアルな面談という形なんですけど。それでその面談のときに「去年も応募されてましたよね」「あれから経歴も増えてらっしゃってすごいですね」といった感じから入って、「覚えてくださってて嬉しい」と舞い上がっちゃって…正直落ちたと思った(笑)

さかし:一次が通った時点で嬉しくなっちゃったんですね。

鈴木:そうそう。こういうオーディション自体も久しぶりだったこともあって、おしゃべりするということが本当に久しぶりだったから「面談でお話できて嬉しい」という気持ちが先行してしまって。終わったあとに、舞い上がった、冷静にしゃべれなかったって落ち込んだ。
でも合格いただけて。なんとか一回目も放送できて(第一回が放送された頃にインタビューをしました)。

片岡:あれは何時に収録するの?

鈴木:18時半から放送開始ギリギリまでに録って、20時にUP。

片岡:結構ギリギリの時間なんだ。

鈴木:やってみたらすごく焦って。やばい、もう20時きちゃう!と焦りながら。
あと、ニュースを読んだ後のフリートークを考えなきゃいけないから。
これ、面談のときも言った。「フリートークは苦手です!」って。

片岡:よく言ったね(笑)

鈴木:僕、こういうときは正直に言うようにしてるんですよ。あえて。ただ「正直に言っていいですか?」って前置きをして。

さかし:そこが良かったのかもしれないですね。

鈴木:「正直に言っていいですか?」3秒ぐらいあけて、「苦手です!」っていうような言い方をしました(笑)それはたぶん大学入試の面接で学んだ。(以前鈴木さんが通っていた)日本大学芸術学部は面接なんですけど、入試の二次試験で担当教授と面接するんです。そのときは超ネガティブなことを明るくしゃべったりして。普通に自分のだめなところとかをこんな感じでしゃべるんですよ。

さかし:自分のことをわかっているのが大事なんですよね。

ラジオでのフリートーク!どう組み立てる?

鈴木:今やってることは、過去に勉強してきたことが今かなり役に立っていると思います。
大学時代にアナウンス専攻だったので、そのときにニュースの読み方は勉強していました。フリートークは文化放送の声優養成所で。そこはラジオ局なので、ラジオのフリートークを学ぶ時間があったんですよ。
文化放送というのは、アニメ、声優系のラジオが強くて、A&Gゾーンって名前をつけてラジオをやりだした、放送業界でも歴史に残るようなことをしてる放送局。僕が通っていたときの、いわゆる担任の先生的な人が声優さんのラジオでディレクターをなさっていたトップのディレクターさんなんですが、「フリートーク苦手なら自分で全部原稿を書け」と指導を受けました。
「それはどの新人の声優にもそういうふうに伝えている。それで感覚をつかんで、後々原稿外すようにしている。できねぇんだったらまずは書け」って言われて、僕は今でもそれをやってます。

片岡:俺も最初はそうだった。俺のときは他のパーソナリティがみんなスポーツ大好きで、それでスポニチのパーソナリティになったような人たちだった。でも俺は正直みんなと比べてスポーツの知識がなかった。フリートークではその日のスポーツニュースに関することをしゃべらなきゃいけないかなぁと勝手にプレッシャーを感じて、なんとかちょっと引っかけたようなことを原稿で起こしていた。
でもこれは続かないなって思ってからは、自分の趣味とか、好きな本とかを紹介するようになりました。ある程度のテーマとか書きとめておいてそれをフリートークでしゃべるようにしていった。そこから徐々に原稿を外していったみたいな感じかな。すごいな、と感じたスポーツニュースは素直にフリートークでも触れました。
その頃コロナが流行り始めたときだったので、運営さん側もいろいろ企画を用意してくれていて「ステイホーム週間、家で何をするのが好きですか?」といったトークテーマを提供してくれて。それで話しやすかったというのはあるかも。

鈴木:収録時間が1時間ちょいしかないなかで、その回に読むニュースに引っかけてフリートークを、短いですけどしゃべらなきゃいけない!急いで原稿作らなければ!というプレッシャーとの勝負が一年間続くことが決まったわけです(笑)

さかし:がんばれ!大きくスキルアップするチャンスですね。

「小劇場」役者である自分にとってナレーションは手段

さかし:今後の目標をおうかがいできますか?

鈴木:まずは絶対的な仕事量を増やしたい。いろんなナレーターさんが「幅が広がってますね」と言ってくださるんですけど「いやいや、あなたのほうが僕より仕事していらっしゃいますけどね?」と思いながら「ありがとうございます」って言ってるんで。

さかし:心から「いやいや、どうもありがとうございます」って言えるようにしたいんですね。

鈴木:あと、海外だけじゃなく国内の案件も増やしていきたいです。海外案件で実績を積むことで自分の商品価値を高めて、国内のクライアントさんに自分を起用するメリットを提示できるようになりたいです。

さかし:鈴木さんの経歴は、やりたいことがたくさんあったんだけど一旦バッて崩してもう一度ひとつずつ積み上げていくなかで、「あれ?これ前にやりたかったものじゃない?」って実現していっている感じがありますね。

鈴木:そう、Voicyもそうだった。もともと声優を目指していましたが、声優を目指したきっかけは文化放送のラジオ番組だったんです。

さかし:つながってますね!

鈴木:今やっとその根幹に戻ってきている感覚があります。だから僕「ナレーターとして活動している」という話をするときには、必ず学生時代のところから戻らないと話せないんですよね。

さかし:鈴木健太の第一章ですね(笑)。

鈴木:あとは「じゃあ僕本当にナレーターなのか?」っていうふうに問い直すと、やっぱり「役者」なんですよね。ここまできてお前何だよと思われると思うんですけど。
やっぱり根っからは舞台で芝居をする人間だなと思って。声で稼いで、舞台で使いたい。

片岡:ずっと言ってるよね、それ。

鈴木:シティボーイズの3人は、テレビで稼いで舞台で使うって言ってらっしゃったんです。それがすごくかっこいいなぁって。舞台だけでは正直食えない、金を稼げない。だから声で稼いで、舞台は舞台でやって。
小劇場の役者って社会的なことにあまりアプローチをしないイメージがあるんです。だからこそVoicyの経歴に小劇場俳優ってわざわざプロフィールに載せたんです。
舞台俳優でも俳優でも本当はいいんですけど、あえて小劇場としたのは、小劇場業界へのアピールというか、小劇場業界の認知をちょっとでも上げたいという想いからですかね。

さかし:私も小劇場を通ってきているので、諸々とても心に沁みました。鈴木さん、今日はありがとうございました!

・・・と、突然ですがここでお知らせです!

鈴木健太による
【Conversationalな(会話っぽい)ナレーションの読み方ワークショップ】 開講決定!

近年、国内海外案件で求められる機会が多くなった「Conversationalなナレーション」。

でも【Conversational = 会話っぽく】原稿を読むって、一体どうすればいいんでしょうか?

「伝える相手をイメージして話しかけるように」なんて言われたりするみたいなんですが、
これを聞いて鈴木健太が感じたのは「なんか芝居の台詞の練習っぽいなぁ」ということ。

実は俳優って『とある方法』で台詞を分析し、自分の演技をプランニングしています。

しかもその方法はとってもシンプルなんです。

今回のワークショップでは「俳優の台詞の分析術を使ってナレーション原稿を読んでみたら、はたしてConversationalになるのか?」ということを探ってみたいと思います。

演技経験がなくても全く問題ありません!

普段のナレーションのアプローチとは違うやり方で、楽しみながら原稿を読んでみましょう。

開講日程は

2022年3月23日(水)18〜20時 予定。

詳細はHITOCOEツイッターにてお知らせしますので、フォローをよろしくお願いします!

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この記事を読んで、宣材写真を撮り直しに行きたくなった方もいらっしゃるのではないでしょうか?この話は、海外案件だけでなく国内案件でも同じだと思います。この記事が写真を見直すきっかけになったら嬉しいです。
また、状況が落ち着いた頃に、役者としての鈴木さんの姿をぜひ舞台で拝見したいですね。
それでは次回もお楽しみに!

これからも「HITOCOE」ではナレーターに特化した上質な記事を連載予定です。今回の記事を気に入っていただけたら、スキやフォロー、サポート(投げ銭)を頂けると幸いです。いただいたサポートは、今後の活動費として役立たせていただきます。

【ライター】
さかし(坂下純美)
東京在住のナレーターで一児の母。都内スタジオでの収録を主に活動。1年ほど前に宅録を開始。Twitterで情報を集めながら日々勉強中。
〇HP…https://www.sakashitamasami.com/
〇Twitter…@sak1013

あこ(甘利亜矢子)
静岡在住のナレーター。司会業を中心に伊豆半島全域を走り回る日々。只今0歳児育児の為、司会業は育休中。宅録はスタートラインに立ったばかり。
〇note…https://note.com/amariayako
〇Twitter…@amariayako

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