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ヒットの手がかり:アイデンティティを守る

今日もご覧いただきありがとうございます。
商品がヒットした要因を独自に分析、その中から一つを、”ヒットのヒント”として解説します。
今日はスバルの「レガシィ」を見ていきたいと思います。(トップ画像引用元:https://bestcarweb.jp/feature/column/149104

ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、これは違うのでは?など意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がればと思います。

レヴォーグのヒットの背景にあるもの

先日、アメリカでも生産終了が発表され、長い歴史に幕を下ろすことになったスバル「レガシィ」。それでも、ここで扱おうと思ったのは、レガシィの後継である、「レヴォーグ」のヒット要因がレガシィと切り離せないからです。

レヴォーグのヒットの理由を考えたところ、私の中で到達した結論は「国内市場で他社ライバルが消えていく中で、レガシィが作った市場を守り切り、他の選択肢がない状態を作れたため」でした。つまり、レガシィのヒットが、後継であるレヴォーグのヒット要因となっているのです。
ここ数年、ミドル~ハイエンドの国産ワゴン車は、マツダのMAZDA6くらいしかなく、そのMAZDA6も今年の4月で生産が終了。他には、ボルボやアウディといった輸入車が存在しますが、価格で十分に優位に立てており、ライバルが少ないのです。
ただし、かつてはトヨタや日産といったメーカーの競合の参入もあり、レガシィも決して安泰だったわけではありません。その中でなぜ、レガシィは勝ち抜くことができたのか、今日は見ていきたいと思います。

ヒットの手がかり:アイデンティティを守る


初代レガシィ ツーリングワゴン
(画像引用元:https://gazoo.com/feature/legacy/23/12/18/)

「レガシィ」は1989年に発売され、日本国内では6代に渡ってモデルチェンジされ、販売がされました。最終型を除いて、歴代レガシィはセダンとワゴンのラインアップがありますが、レガシィはワゴンからイメージづくりを始めています。いずれの代も「走りを重視したワゴン」というコンセプトが一貫されていて、特にヒットした要因だと言われているのが、商用バンの設定がなかったことです。当時はワゴン車には、一般向けのものと一緒に、いわゆる商用車のグレードが設定されているのが一般的でした。レガシィは商用車グレードを持たず、さらに、水平対向エンジンという低重心なエンジン、高性能なターボモデルも設定、安定した走りを実現する4WDにより、荷物を載せるが主目的のワゴン車のイメージを覆し、「ツーリングワゴン」の名前で「ファミリーで使えるワゴン車」という市場を切り開きます。
最も販売台数が伸びたのは2代目のモデルで、約50万台(セダンふくむ)を販売していますが、当然、ライバルも黙って見ていません。トヨタは「カルディナ」、日産は「ステージア」、ホンダは「アコード」といったライバル車を投入してきます。

トヨタ・カルディナ(引用元:https://toyota.jp/ucar/catalog/brand-TOYOTA/car-CALDINA/)

このような大手の参入で負けてしまうケースは多々あります。特に自動車ではリーダーの戦略を取り、徹底マークした商品を、販売網と知名度を活用して販売するトヨタに負けてしまうケースが多いです。
ここでレガシィが後発のライバルに負けなかった理由・・・正直、難しいのですが、アイデンティティを守りぬいたことだと考えます。
後発でライバルが出てきた際に、こだわりを捨てて価格を下げたり、コンセプトを変え、逃げて戦うようなケースが多々あります。しかし、レガシィの場合は「走りを重視したワゴン」のイメージを愚直に守っています。自らハイパワーに走ったり、車を大きくして高級路線に変えたりせず、先発で作り上げた商品のイメージと認知を崩さないことで、消費者における「ワゴン車=レガシィ」のイメージを守り切り、ライバルが入り込めなかったと考えられます。
また、最大の脅威であるトヨタも「カルディナ」がライバルと言われる一方で「スプリンター・カリブ」「マークⅡ・クオリス」や「ビスタ・アルデオ」などレガシィと競合になりそうなモデルがあり、それぞれコンセプトが異なります。「マークⅡ・クオリス」についてはモデルチェンジで「マークⅡ・ブリット」に名前が変更、駆動方式も変わるなど、消費者認知の浸透という点では一貫性が持てず、失敗していると言えそうです。
一貫してアイデンティティを守り、認知を高める一方で、脅威であったトヨタが認知形成うまくできなかった、というのがレガシィが市場を守り切った理由となります。

同様の例は他にも

トヨタの後発から地位を守った例としてマツダ「ロードスター」も挙げられます。こちらも現在まで「ライトウェイトスポーツカー」という立ち位置を守っています。一方のトヨタはMR2⇒MR-Sと商品のコンセプトを変えながら、この市場を奪おうとしましたが、結果失敗しています。競合の参入があると、焦って商品を強化しようと欲張ってモデルチェンジしてしまいがちですが、ユーザーの認知が高いのであれば、その認知を活かすためキープコンセプトを貫くのが強いのかもしれません。



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