見出し画像

ヒットの手がかり:安全を突き詰める

今日もご覧いただきありがとうございます。商品がヒットした要因を独自に分析、その中から一つを、”ヒットのヒント”として解説します。今日はムサシの「除草バイブレーター」を見ていきたいと思います。(トップ画像引用元:https://musashi.inc/products/we-700/

ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、これは違うのでは?など意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がればと思います。

ムサシ・除草バイブレーターについて

ムサシは兵庫県加古川市に本社を置く、防犯用のセンサーライトや園芸用品を製造するメーカーです。「除草バイブレーター」はムサシが製造する電動の草取り器で、先日のがっちりマンデーで取り上げられ、私自身「おぉ!これはすごい!!」と思ったので紹介します。「除草バイブレーター」は先端の熊手状の金属部品が細かく振動することで、草を根から抜き取れるのが特徴です。

草を取る際の、手で細かくゆすって抜く動きを電動で実現している。
(画像引用元:https://musashi.inc/products/we-700/)

この製品は、同社の技術者が自身の草取りの経験を製品に落とし込んだもので、刃が回転して草の葉だけを刈り取る草刈り機と異なり、草取り後に草が再度生えてきにくい、というメリットも持っています。
この「除草バイブレーター」ですが、テレビ通販で販売したところ、一日で1億円の売上を上げたそうです。

ヒットの手がかり:安全を突き詰める

子供の頃に庭の草むしりの手伝いをした際、親から「根っこから取らないとまた生えてくるから」と注意され、一生懸命鎌で土をほじくって草取りをしたことがあります。その記憶もあり、がっちりマンデーで「除草バイブレーター」を見た際に、他の電動器具と全く異なり、あの苦労がなくなるなら、それは売れるだろうと共感し「おお!これはすごい!!」と思ったわけです。
この時点で商品が差別化されており、ニーズに刺さる商品になっているので、ヒットの要因ではあるのですが、これだけでは面白くないので、別の視点からも見てみます。
商品の特長として、番組中でも触れられていたのが「安全性」です。振動する熊手状の部品は、草を引っかけて揺するのが目的のため、刃がなく、手で触れても安全ということでした。草取りをする際に、「除草バイブレーター」のライバルになりうる代替品は、アナログなものは鎌、電動の物では電動草刈り機になるでしょう。これらはいずれも刃がついており、使い方を間違えばケガをします。高速で金属の刃が回転する電動草刈り機は、使っているときに躓いて転びでもしたら、ケガで済まないかもしれません。
少々異なるアプローチでは除草剤を使う、という方法もありますが、薬剤自体は人体に良いものではありません。

アナログな鎌であっても、手と刃が近づくシーンは多い。
(画像引用元:https://dshopping.docomo.ne.jp/products/093331073)

この点で「除草バイブレーター」は非常に安全だと言えるでしょう。「除草バイブレーター」のターゲットは日常的に草取りをする人になるので、郊外の庭付きの住宅に住む方や、園芸や家庭菜園をやる方であり、年齢もどちらかという高い人になるでしょう。彼らにとっても安全であることは、商品を使う心理ハードルが下がり、導入しやすくなります。
振り返ってみると、商品を使う上での心理ハードルとして、安全に感じられるかは、意識していないものの、大きな影響を持っていると感じます。例えば、私は、ミキサーの大きい音に不安を感じます。壊れたりしないことは頭で理解しているものの、氷を入れて回すようなときは、怖々してしまうことがあります。この安全に感じてもらえるかの配慮は、購買の要因にはなりませんが、必須条件の一つと言えます。

秀逸な4P施策

「除草バイブレーター」については、商品が差別化され、ベネフィットが大きいことはもちろんですが、価格も1万円を切る価格で、電動草刈り機と同等の価格で購入ができます。郊外や地方の高齢者をターゲットとした際に、販路としてテレビ通販は適切ですし、テレビ通販での商品説明それ自体が販促となります。

ターゲットに合わせた販路での展開が出来ている。

商品の出来が素晴らしいのはもちろんですが、さらに4P施策の整合性がしっかり取れている点についても「おお!これはすごい!!」となる逸品でした。なお、コードレスタイプが合ったらもっと便利だろうと思い、調べてみたら、すでに存在しており、こちらもスキがありませんでした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?