ヒットの手がかり:ながら使い
今日もご覧いただきありがとうございます。
商品がヒットした要因を独自に分析、その中から一つを、”ヒットのヒント”として解説します。
今日は日経MJの「2023年ヒット商品番付」からアサヒ・ドライクリスタルを見ていきたいと思います。
(トップ画像引用元:https://harenohi.asahigroup-japan.co.jp/drink/2023/10/17/12-3/)
アサヒ・ドライクリスタルについて
ドライクリスタルはアサヒビール株式会社が2023年10月に発売したビールです。
アルコール度数が3.5%と低く、透明感ある味が特徴とのことです。
私も飲んでみましたが、すっきりとした味わいで飲みやすく、ビールの雑みが少ない印象でした(しっかりビールを飲みたい人からすると少し物足りないかもしれません。)
発売から1週間で100万ケースを出荷し、日経MJの「2023年ヒット商品番付」にも「西前頭2枚目」として選出されています。
ヒットの手がかり:ながら使い
ドライクリスタルは「飲めない人が飲みたくなる」「10年後のビールのど真ん中」を目指して開発されています。
(出典:https://www.businessinsider.jp/post-274350)
世界ではアルコール度数5%未満の低アルコール飲料のニーズが高まっているそうです。
日本ではまだまだビールを中心とした5%前後の商品の割合が高いものの、
低アルコールの商品も増えていることがドライクリスタルの開発のきっかけになっています。
振り返ってみると、2020年前後はストロングゼロのような高アルコール飲料が話題になっていました。しかし、現在は真逆の低アルコール飲料の需要が高まっていることになります。
背景にあるのは、お酒に求める価値の変化だと考えます。
コロナをきっかけに自宅でお酒を飲む機会が増え、その時にドラマを見ながら、YouTubeを見ながら、ゲームをしながら、とお酒の飲み方が少し変わったと思われます。
この時にお酒に求められるのは、「アルコールで酔える飲み物」ではなく、「楽しい時間を演出してくれる飲み物」となります。
また、健康志向も大きく影響していると思います。
最近ではアルコールは一滴でも健康に悪いという研究結果も出てきていますし、睡眠を意識する人も増えています。
そのため、決して高いアルコール度数で酔う必要はなく、あくまでも、楽しい時間を邪魔しない範囲で心地よい気分にしてくれれば良く、このニーズに答えたのがドライクリスタルだと考えられます。
もしも、ビールの価値を「飲む」という範囲だけで考えていたら、このようなニーズに気づけなかったかもしれません。ユーザーの使用シーンまで考えることで今回の"ながら"使いのニーズを取り込むことが出来たのでしょう。
使用シーンでの検討は必須
販促面でも、アサヒは個々人が楽しくお酒を飲む「スマートドリンキング」を提案しています。こちらも使用シーンを提案する販促として、ドライクリスタルを後押しするものです。
さて、今回強く感じたことは、プロダクトだけでなく消費財でも"ながら使用"を意識する必要が出てきた、ということです。スマホやコロナによる生活スタイルの変化が及ぶ範囲はどんどん広がっています。使用シーンを中心とした製品・販促の展開は今後も重要になるでしょう。
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