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ヒットの法則:のぞき見の法則

今日もご覧いただきありがとうございます。
2023年上半期のヒット商品の情報が少しづつ出てきています。
今回は日経X TRENDの記事から、アース製薬のバブルーンシリーズを見ていきたいと思います。
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00825/00007/
(トップ画像引用元:https://www.earth.jp/products/rakuhapi-bubbloon-spray-sink/

のぞき見の法則

アース製薬のバブルーンシリーズですが、洗面台から始まり、トイレや風呂といった水回りにラインアップを広げています。
今回はわかりやすいものとして、洗面台向けの商品「らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管」を中心に見ていきたいと思います。

排水管の中を掃除するときに、ブラシでこするのは限界があります。仮に届く範囲を掃除できても、排水管から臭いがすれば、排水管の届かない部分が汚れているであろうことは容易に想像がつきます。
バブルーンシリーズでは、こういった汚れを、泡で押し流すという特徴を持っています。これにより、配水管など手が届かない部分の汚れをきれいにすることができます。

洗面台用のバブルーンにおいて、もう一つ特徴的なのが、洗面台のオーバーフローの汚れも洗えることです。排水溝に向かって押し出された泡が、オーバーフロー内の汚れを押し出して出てきます。このオーバーフロー内もブラシ等ではほとんど掃除できません。

オーバーフロー(引用元:https://curama.jp/washroom/magazine/1397/)

さて、この洗面台用のバブルーンはなぜヒットにつながったのでしょうか。
まず、排水管の汚れ落ちは見えないものの、オーバーフロー内の汚れが見え、効果が感じられるので、掃除という機能価値を体感できます。
ただ、ここまではほかの洗剤と大きく変わりません。バブルーンが異なるのは、洗面台のオーバーフロー内という、「見えないけれど、言われればきっと汚れているよね」という場所の汚れを可視化できるようにした点です。
オーバーフローから汚れ(場合によっては誤って入れてしまった異物)と泡が出てくる様子は、YouTubeの動画も多数上がっており、SNSでも話題になりました。汚れは見たくないけれども、”怖いもの見たさ”が勝ってしまう、人間の心理をうまくくすぐっていると思います。
ホラー映画や閲覧注意の画像など、本当は見たくないのについついのぞき見してしまうことは誰でもありますし、きっと好奇心を持つ人間の性だと思います。ダイソンのようなサイクロン掃除機もダストケースが透明で、ごみが見えるようになっているのも、この心理を利用した一例だと思います。同じように「ただ単に掃除したい」という欲求だけでなく、”怖いもの見たさ”という欲求を満たしているのが、この洗面台のバブルーンだと思います。
改めて考えてみると「”怖いもの見たさ”を満たす掃除用具」なんてなかなか面白いですよね。

商品の展開上の戦略

その後、バブルーンシリーズはお風呂やトイレ用など、商品の横展開を行っています。この展開もまずは洗面台から展開し、横展開することが決まっていたのではないかと思います。
それぞれ商品をおさらいすると、お風呂のバブルーンは先端部分が回転しながら噴射され、バスタブ全体に泡が付着、洗浄されます。トイレのバブルーンは便器内が泡で満たされ洗浄されます。
この時に「泡なんかで本当にきれいになるんだろうか?」と思う人が多いのではないかと思います。バスタブにしてもトイレにしても、泡と一緒に汚れを流してしまうので、汚れの可視化度合いは低くなります。
そこで、事前に洗面台のバブルーンの「オーバーフローから汚れが出てくるイメージ」を刷り込んでおけば、泡でも汚れが取れるという理解に繋がります。
メーカーがSNSでの話題性まで予測していたとすると、費用を抑えながら認知と商品理解度を高め、横展開でさらなる消費に繋げる、かなり戦略的な商品展開だったのではないでしょうか。

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