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未発売映画劇場「暴風仮面ウラカン・ラミレス2」

この夏の暑さにはさすがにまいって、DVDを見る気力も出ません……というわけでもなくて、プロレス見るのに忙しいからです(笑) なにせ、新日本プロレスのG1クライマックスをはじめ、プロレスリングZERO1の火祭り、DDTのKODトーナメントといったビッグカードが開催され、そのほか各団体もタイトルマッチのオンパレード。プロレス団体には稼ぎ時ですからね、夏休みは。地上波中継しかなかった昔と違って、衛星放送やネット配信を駆使すれば全部見ることも不可能ではないですから、タイヘンなんですよ(見る義理も義務もないんですが)

そんななかで見た映画がこれなんですから、どんだけプロレス脳になってるんだか(笑)

前にご紹介した、ルチャ映画第1号ともいわれるこちら【 ↓ 】 の、続編です(メキシコのプロレスをルチャ・リブレ、略して「ルチャ」と呼びます)

 未発売映画劇場「暴風仮面ウラカン・ラミレス」

その後、サント映画なんかも見て、だいたいルチャ映画初期の流れをつかんだ気がしてます。

前回も触れたように、1952年の「暴風仮面ウラカン・ラミレス」はごく普通の映画で、そこにはファンタスティックやスーパーナチュラルの要素はほとんどなく、その点で、のちのサントやマスカラス映画とは、大きく違うものでした。

「暴風仮面ウラカン・ラミレス」から5年後に作られた「獣人ゴリラ男」(1957年)がルチャとファンタ要素を合体させた映画でしたので、流れから見て1961年の「サント対ゾンビ軍団」までの間に、こうしたルチャ映画の「本流」であるルチャ+ファンタが出来上がったのでしょう。

と思って、シリーズ第2作、この「El misterio de Huracán Ramírez(ウラカン・ラミレスの謎)」を見てみたんですが、ちょっと意表を衝かれました。

1962年のこの作品、当然、サント映画のごとくのファンタスティック映画に変貌しているものと期待(?)していたんですが、なんとなんと、「暴風仮面ウラカン・ラミレス」の真っ向続篇、あちらと同様のごく普通の映画だったんです。

レスラーを引退して「ウラカン・ラミレス」のリングネームとマスクも後進に譲り、いまは地味に働くフェルナンド。ところが、その新ウラカン・ラミレスが、興行を支配しようとするギャングに脅され屈してしまいます。ギャングの魔手はフェルナンドの家族にもおよび、意を決した彼はウラカン・ラミレスに戻り、ギャングに挑むのであった。

と、しごく普通の映画であります。

特筆すべきは、前作から10年が過ぎているにもかかわらず、主役のウラカン・ラミレスことフェルナンドを演じるデヴィッド・シルヴァを始め、父親役のトニーナ・ジャクソン(でぶ親父)、恋人(今回は結婚した妻)役のカルメリータ・ゴンザレス、弟役のフレディ・フェルナンデスら、ほぼ前作のキャストをそろえていること。とくにフェルナンドの家族に、やけに口の回るオネエチャンがいるなと思ったら、これが前作では10歳くらいだった妹の成長した姿で、演じているのも同じティティナ・ロメイ。いやあ、きちんと成長してますねえ(当たり前か)

前作のファミリードラマも継承していて、フェルナンドの息子が柔道(だと思うよ、空手も交じってる気がしたが)を習っていて、レスラーデビューするとかのドラマもあります。このへんでも前作のムードをちゃんと再現していて、10年の月日を感じさせません

とはいえ、緩いところはやっぱり相変わらず。

オープニングは、リング上でのバトルロイヤルから。人気レスラー(たぶん)が多数集結した試合に満員の観客も大盛り上がり。と、そのリング上へ、いきなりギャングの一団が銃撃を浴びせます。撃つだけ撃って、逃げ出すギャング団を追うのは、なぜかウラカン・ラミレスただ一人。ほかのレスラーや、観客、警備員も知らん顔なのはなぜなんだ?(まあメキシコ映画ですから) 自動車での追跡シーン(リングコスチュームのまんま)を経て、単身でビルの屋上に敵を追い詰めたラミレスだが、そこで乱闘の末、屋上の縁から宙づりの大ピンチ

そこから回想シーンに入り、ラミレス危機一髪はラストのクライマックスに持ち越されるんですが、そこで明かされる危機脱出は……脱力であります

そのへんの緩さは、もうスタイルなんでしょうね。大きな気持ちで鑑賞しましょうね。

総じて、さほどの感心もしませんが、さほどの落胆もないという、安心して見られる映画。これって娯楽映画の王道かもしれません。

そして、こちらが今回見たDVDです。

ご覧のとおりの3本立てで、本作と「ミル・マスカラス/千の顔を持つ男そしてもう一作が収録されてますね。

では「暴風仮面ウラカン・ラミレス3」で、またお会いしましょう(笑)

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