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フック船長の末裔たち

カリビアンなあいつのことじゃないです。

おとぎ話の登場人物たちが現代のアメリカ社会で暮らしているというテレビシリーズ「ワンス・アポン・ア・タイム」に、第2シーズンから、フック船長が登場しています(演じるのはコリン・オドナヒュー)。もともとはピーター・パンと闘う、片手がカギになってる海賊ですね。(上段左端)

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この「片手がカギ(フック)」というのが彼の名前の由来らしいんですが、じゃあもともとの名前はなんだったんですかね? 誰か知ってるかな。

前に「007記念週間 怪物悪役の世界」に書いた、「007/死ぬのは奴らだ」に登場する、ドクター・カナンガの手下の怪物ティーヒー(ジュリアス・ハリス)などは、まさにこのフック船長の後継者にあたるわけですね。いや、違うかな。でも、鋼鉄の義手でジェイムズ・ボンドの拳銃をひん曲げてしまうティーヒーは、ある意味とてもカッコよかったです。

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この「片手が義手の男」というのは、なんとなくミステリアスで怪物的なイメージを醸し出すせいか、ちょくちょく映画やテレビに登場していました。近年は、いろいろサシツカエがあるのかも知れませんが。

シャレードに出てくる、ジョージ・ケネディ演じる片手の巨漢スコビーもその一人。彼の場合は戦傷で右手を失っているんですが、その巨体ともあいまって、映画に登場する怪しげな男たちの中でも一番の迫力を見せていたものです。ケイリー・グラントとの屋上での格闘シーンは、映画前半最大の見せ場でしたね。

私の大好きな映画のひとつ「殺し屋ハリー/華麗なる挑戦」に出現する「爪(クロー)」こと片手の殺し屋マーヴィン・ザッカーマンも忘れがたいです。こいつの義手は付け替え式で、さまざまなアタッチメントを専用のブリーフケースに入れて持ち歩いていたりします。剣呑な刃物や、マシンガンがあるのはともかく、女の子を口説くときに使う花束(造花)なんていうふざけたモノもあって、笑わせますね。ティーヒーの義手はワイヤーで動かすシステムでしたが、ザッカーマンのはどうやら油圧式のようです。チャック・コナーズの硬軟自在な演技で、映画に登場する古今東西の殺し屋の中でも上位にランクされる存在になりました。

そういえば、長寿番組となって60年代に全世界を興奮させた名作「逃亡者」でも、殺人の濡れ衣を着せられた主人公の医師リチャード・キンブル(デビッド・ジャンセン)が追う真犯人も、「片腕の男」でしたっけ。このころは、世界中で片腕の男の正体が話題になっていたんでしょうね(古い話なので私は知りませんが)。リメイク版の映画(1993年)でも、「片腕の男」は重要な役割を果たしています。

失った片手を武器に変えたいちばんのスグレモノは、やはり寺沢武一のコミック「コブラ」でしょう。左腕にサイコガンを仕込んだ海賊コブラは、宇宙を股にかける無法者という設定からしても、フック船長の末裔であることは間違いのないところでしょうね(本人はドレイク船長を気取っていますが)。

しかし、いろいろな意味で地上最強なのは、たぶん香港→台湾の「片腕ドラゴン(獨臂拳王)」を置いてほかにナシ。70年代から80年代くらいに、アジアから世界の映画界を席捲したこのキャラクターは、生みの親にしてこの怪物を演じた巨星・ジミー・ウォング(王羽)のただならぬリアルな迫力も相まって、他の追随を許しません。ただし、あまりに膨大なその全貌は、調査中ですので、またあらためまして(笑)

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本来ならばハンディキャップであるはずの「片腕」などをこうしてアドバンテージに変えるのは、映画ならではのファンタジーかもしれません。こうして見ると映画ってのは立派な「魔法」なんですよねえ。

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