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500円映画劇場「エアポート2021」

ヤスモノ映画界には欠かせない存在の「エアポート一族」の最新の一員……と思ったら、すでに「エアポート2022」も誕生しているようですね。油断ならん。

ということですが、一族の若手(?)であることは間違いのない、この「エアポート2021」 もちろん日本では劇場公開なしでDVDスルー、ネット配信のみです(アマゾンプライムで拝見しました)

どうやら海外でも同様だったようで、劇場の大スクリーンにかかることはなかった模様です。なにしろ、あのアサイラム社製作だからね。

原題は「Airliner Sky Battle」で2020年の作品。

原題に「Airport」がなく、製作年と邦題がズレているのも、エアポート一族の掟に忠実でよろしい。

本来は大型旅客機を舞台にした航空パニックものであるエアポート一族ですが、その後にウジャウジャ現われた一族の郎党のおかげで、小型機や軍用機、貨物機のみ、なかにはエアポート(空港)なんてカケラも出てこないものも多いなか、この「エアポート2021」は感心にもきちんと大型旅客機が出てきます。それも2機も

ロシアのテロリストがアメリカ軍のコンピュータをハッキングして機能停止に追い込む。同時に地上整備中の大型旅客機を整備員を装った男女がハイジャックし、ワシントン近郊の原子力発電所へ自爆攻撃を仕掛けようとする。原発に突っ込まれたら大惨事になる。戦闘機などをまったく使えない軍は、地上からのミサイル攻撃に頼るしかないが、そのためにはハイジャック機の高度を下げさせる必要がある。間に合うように接近できるのは、たまたま近くを飛んでいた民間旅客機のみ。無理筋の軍からの依頼を受けた機長は乗客の同意を得たうえで、ハイジャック機に危険なアプローチを仕掛ける……

状況がよくわからない画だな

旅客機同士の空中戦といったって、互いに火器を装備しているわけではないので、どうやって闘うんだというのがストーリーの焦点になるんですが、まぁその点はさほど独創的ではないにせよ、工夫されています。本当にできるかどうかわからないような航法コンピューターの遠隔操作とか、上から重いもん落っことしてドカンとか、最後には体当たりに等しいカミカゼ攻撃とか、リアリティくそくらえ的な趣向が次々と展開されるのは、まぁまぁ合格点かな(ギリギリだけど)

機内の乗客たちも型通りとはいえ、リーダーとなる航空警察官(そんなのホントにいるのか)とか、ただひとりテロ阻止に反対するワガママ男とか、親子連れとかカップルとか、いちおう駒は揃えているし、その限りではエアポートものにじゅうぶん見えます。

エアポートらしさを醸し出している要素の最大は、航空機の飛行シーン。以前にも書いたように、映画の歴史上で最大の革新であるCGの恩恵を大いにこうむったのが、この飛行シーン。CG以前は、実写か、模型による特撮でしか表現できなかった航空機の飛行シーンを、安価で使いやすく使えるようにしてくれたのが、CGでした。

それこそ、この映画のように複数の旅客機を、ニアミスさせたりぶつけたりするような撮影は、実写ではまず不可能だし、特撮でも相当の技術を要します。もちろんリアルな出来栄えのCGを作るのには、それなりの手間も技術も予算もかかるでしょうが、それでもずいぶん楽になったはずです(これは同じくヤスモノ映画界に君臨するもう一方の横綱であるサメ映画にもいえることですね)

この「エアポート2021」のアイデアも、仮に過去に思いついたりしても、実現は困難だったでしょう。それこそ莫大な予算を使った超大作ででもない限り。そう思うと、映画作りもずいぶん様変わりしたもんです。

ただし、本家の「エアポート」のスケールに到底およばないのはいうまでもありません。

やはり目立つのは、員数不足

ハイジャック機のほうが2人だけなのは納得ですが、対する旅客機側の人数はかなり節約されてます。機長と副機長にCAが1人。乗務員はこの3人だけ。ほかにもいるようですが、すべて機内インタフォンのやりとりだけで、顔は見せてくれません。乗客のほうは機内前部の20人ほどだけが登場し、ほかに数百人いるはずの乗客は、無視されてます。コックピットのすぐ後ろの機内前部の席ということはファーストクラスなんだろうけど、とてもそんな上客には見えないメンツですがね。

察するに、CG部門に予算を割きすぎて、人件費が出なくなったんでしょう。そもそもが低予算だろうからね。

このシーンは、あったかもしれんな

ということで、良くも悪しくも「エアポート」らしい「エアポート」にはなってました。あえて文句を言うとすれば、やっぱりエアポートがほとんど出てこなかったこと。

いや最初のニアミス場面は滑走路のすぐ上空でだから、出てくることは出てくるんですよ。でもこの手の映画では、一方の主舞台となるべき管制塔が出てこないんです。かわりに、さまざまな指示を出す軍の司令部が旅客機と通信しながら奮戦するんですが、ちょっとエアポート・ムードに欠けるなあ。

まあいいか(笑)

ジャケットデザインは「エアポート」らしさ全開

しばらく500円映画から目を離していたうちに、エアポート一族は増殖していて、「2017」とか「2018」も出現しているようです。以前に「エアポート一族の陰謀」で調べたときには35本だったのが、どうやら現在は40本を超えているようです。

だからといって、それを見るとはいってないからね(笑)

エアポート一族の陰謀

エアポート一族の誕生

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