ショットガン野郎
ツイッターを眺めていると、よくハッシュタグ付きのツイートが流れてくる。「#××××」とかってやつ。ある事物に関連する情報を集約するためにとか、幅広く意見を募るとかかと思えば、単なる大喜利になったりとか、なかなか面白い。
先日、「#ショットガンアクター選手権」というハッシュタグが流れてきた。アクション映画でショットガン(散弾銃)が似合う俳優を紹介しようってわけ。さっそく参加。
人気が集中してたようなのは「わらの犬」のダスティン・ホフマンや「ゲッタウェイ」のスティーヴ・マックィーンのようだったけど、私が推奨したのは、これ。
「ジャグラー/ニューヨーク25時」は1980年の映画だから、もう38年前か。たしか試写会で見せてもらった記憶がある。主人公の元警官(「カプリコン1」のジェームズ・ブローリン)の娘が誘拐され、自ら娘を救うべく奔走するサスペンス・アクション。
正直、細かい筋立てはもう覚えていないが、中で強烈だったのが、このシーン。
細かいいきさつは記憶にないが、主人公は殺人事件だかの容疑者と誤解される。だが取り調べに応じていたりすれば時間を浪費し、娘を救えなくなる。そこで警察の追求を振り切ろうとするのだが、その彼を執拗に追ってくるのがダン・ヘダヤ演じるブチ切れ刑事。
写真のシーンは、白昼のニューヨーク市街を走って逃げるブローリンを追うダン・ヘダヤ刑事が、あたり構わずショットガンをぶっ放す中盤の大見せ場。
全速力で疾走するブローリンを追うダン・ヘダヤ刑事が、自分も走りながら、ガンガン発砲する。当たろうがはずれようがおかまいなし。あたりは阿鼻叫喚、一発撃つごとに人々が逃げまどい、街角のニューススタンドやクズ箱が吹っ飛ぶド迫力。
いや、あの強烈さは、今も脳裏に保存されております。
この暴走ショットガン刑事を演じたダン・ヘダヤは、ふだんはフツーでも怒らせたら何をするかわからない、この手のブチ切れ役が上手い個性的な俳優で、その後も悪役で数多く活躍した。これといったアタリ役に恵まれていない感はあるが、コンスタントに出演を続けている。
問題は、そこそこ面白かったこの映画が、ツイートにも書いたように、その後VHSソフトにはなったものの、いまだDVD化されていない点だろう。困ったもんだと思って、例によってアメリカから輸入盤でもと思ったら、なんとあちらでも未DVD化。どうしたんだろう、何か権利上の問題でもあるんだろうか?
仕方がないので、映画公開時に刊行されたウィリアム・P・マッギヴァーンの原作小説の邦訳版でもと思ったら、こちらも古書しかない。ま、入手できるだけ良しとするか(私はもう持ってるから)
ほかにもう一つご推奨なのはこちら。【画像のリンク先はamazon.co.jp】
前に「黒いジャガー無頼控」でも書いた、シリーズ第2作の「黒いジャガー シャフト旋風」
超暴れん坊のジョン・シャフト探偵(リチャード・ラウンドツリー)がマフィア相手に振り回すのが連発式のショットガン。これでもってギャングを吹っ飛ばし、ヘリまで撃墜してしまうんだからパワー抜群だ。
ちなみに「黒いジャガー」シリーズの原作者アーネスト・タイディマン自身が手がけた小説版では映画とは違い「銃身を切り落としたショットガン」と書かれている。
これは「ソードオフ」と「豚の後脚」なんて呼ばれるもので、高角度で散弾が飛び、自分の前方にいるほとんどすべてのものを撃ち倒すという物騒なシロモノだ(そのかわりに発射の反動がスゴイらしい)
スティーヴ・マックィーンが、出世作であるTV「拳銃無宿」で愛用してたあれですかね。と思ったが、考えてみたらあれは散弾銃ではなかったね。ショットガンを愛用していたのは、ルドガー・ハウアーがリメイク版の「ウォンテッド」(1986年)で扮した孫だか曾孫だかのほうだったか。
西部劇の決闘というと、コルトやウィンチェスターが思い浮かぶが、実際にはショットガンもけっこう使われたらしい。
有名なOK牧場の決闘(1881年10月26日)でも、ワイアット・アープ側はショットガンを使用したらしい。
この決闘を題材にした映画は数多くあるが、そのうち1971年の「ドク・ホリディ」は、ワイアット・アープをヒーローではなく描いた異色版。
そのせいもあってか、決闘の場でアープ側がショットガンをぶっ放すと、相対するクライトン一家から「きたねーぞ」と抗議の声(?)があがるシーンがあった。
やはり、拳銃に命を賭けるガンマンにとって、相手に向けてぶっ放すだけでダメージを与えられるショットガンは「卑怯」だったんだろうね。
まあ、この映画のアープ保安官は、ヘンリー・フォンダやバート・ランカスターやケヴィン・コスナーでなくて、ハリス・ユーリンだからしょうがないよ(笑)
そういえばこの映画も、日本ではDVD化されていないな。困ったもんだ。
ショットガン野郎は日本では人気がないのかねえ。
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