サメ映画

先日、ジェイソン・ステイサム主演で「MEG」が製作されるというニュースが流れた。古代生物で巨大なサメであるメガロドンが襲ってくるという大型パニック映画。

おお、懐かしいね。原作は1998年に翻訳刊行されたスティーヴン・オルテンの『メグ』 刊行当時すでに「映画化決定」と謳われていたが、その後は音沙汰ナシ。それが20年かかって浮上してきたのだから、これは気になる。

とはいえ、不安がよぎるのも確かだ。なにしろホームセンターのワゴンで500円映画をあさっていると、やたらと目につくのが「サメ映画」 ヤスモノ映画では「エアポート」「エイリアン」とならぶ人気ジャンルなのだ。そのなかにはメガロドンものも、ちゃんとあったりする(2002年の作品で「メガロドン」というヤスモノ映画もある) まさか「MEG」も500円クラスの映画になってしまうのか?

まあ、製作がワーナーブラザースなので、サメが出るといっても決して500円映画ではないだろう。2018年に予定されている公開が待ち遠しい。

そういえば先日公開された「ロスト・バケーション」(2016)も、巨大サメが主役となる、ちゃんとしたサスペンス映画だった。これはいよいよ「サメ映画の時代」が来るのか?

さて、ヤスモノ映画でも人気のサメ映画は、そのすべてが1975年の「ジョーズ」を祖先としている。この40年余で急速に増殖した、そのサメ映画、はたしてどれくらいあるのだろうか?

まずは常套手段として、邦題に「ジョーズ」が含まれる映画を総ざらえだ。いくぞ、サメ映画100本ノックだ! 【太字は劇場公開映画/( )内は製作年度】

「ジョーズ」(1975) 「シャークジョーズ/人喰い鮫の逆襲」(1976) 「人食いジョーズ/恐怖の漂流24時間」(1976) 「ジョーズ2」(1978) 「ジュラシック・ジョーズ」(1979) 「ジョーズ・リターンズ」(1980) 「ジョーズ3」(1983) 「ジョーズ・アタック2(別題「死神ジョーズ」)」(1984) 「パニック!殺人ジョーズV」(1986) 「ジョーズ・アタック(公開題は「死海からの脱出」)」(1987) 「ジョーズ4/復讐篇」(1987) 「ジョーズ’96/虐殺篇」(1995) 「ジョーズ'98/激流篇」( 1998) 「ジョーズ/恐怖の12日間」(2004) 「生体兵器/アトミック ジョーズ」(2004) 「ジョーズ・イン・ツナミ」(2009) 「フライング・ジョーズ」(2011) 「ジョーズ・リターン」(2012) 「ダブルヘッド・ジョーズ」(2012) 「アイス・ジョーズ」(2013) 「トリプルヘッド・ジョーズ」(2015)

お、案外少ないぞ……と思いきや、サメ映画にはもう一群、タイトルに「シャーク」を冠した作品群があるのだ。

「虎鮫(タイガー・シャーク)」(1932) 「ザ・シャーク(別題「シャーク!シャーク!シャーク」)」(1969) 「シャーク・トレジャー」(1975) 「シャーク!」(1975) 「タイガーシャーク」 (1977) 「人食いシャーク/バミューダ魔の三角地帯の謎」(1978) 「サンゴ礁の美女救出作戦!! シャーク・ハンター」(1978) 「シャーク・ハンター」(1979) 「ディープ・ブラッド/復讐のシャーク」(1988) 「シャークアタック」(1999) 「シャーク・ハンター」(2002) 「ディープシャーク」(2003) 「キラー・シャーク/殺人鮫」(2005) 「シャーク・イン・ベニス」(2008) 「凶悪海域/シャーク・スウォーム」(2008) 「メガ・シャーク VS ジャイアント・オクトパス」(2009) 「シャークトパス」(2010) 「ディノシャーク」(2010) 「メガ・シャーク VS クロコザウルス」(2010) 「シャーク・アタック!!」(2011) 「シャーク・ナイト」(2011) 「ビーチ・シャーク」(2011) 「シャーク・ウィーク」(2012) 「ジュラシック・シャーク」(2012) 「メガ・シャーク VS メカ・シャーク」(2013) 「ゴースト・シャーク」(2013) 「シャークネード」(2013) 「ピラニアシャーク」(2014) 「シャークトパス VS プテラクーダ」(2014) 「シャークネード/カテゴリー2」(2014) 「デビルシャーク」(2015) 「シャーク・プリズン/鮫地獄女囚大脱獄」(2015) 「シャークトパス VS 狼鯨」(2015) 「シャークネード/エクストリーム・ミッション」(2015) 「ゾンビシャーク/感染鮫」(2015) 「メガ・シャーク VS グレート・タイタン」(2015) 「ロボシャーク VS ネイビーシールズ」(2015)

さすがに「ジョーズ」だと感じる「パクリ感」のうしろめたさも「シャーク」だと感じずに済むせいか、シャーク組のほうが多いようだ。

ハワード・ホークス監督の名作「虎鮫」は別として、1975年前後には「亜流ジョーズ」が映画館を襲撃し続けた。まあその大半は非常に拙速で作られたもので、いったんその流れは終息しかかる。本家「ジョーズ」の正式な続編群(「ジョーズ3」は立体映画だったな)の出来ばえとヒットのしなさが、その流れに拍車をかけたのは間違いない。

ところが、お気づきだろうか、サメ映画の本数は西暦2000年を境に、急速に増えているのだ。

なぜか? あるいは背後に地球温暖化問題とか何とかがあるのかもしれないが、たぶんそうじゃないだろう。理由はもっと簡単だ。

このころから、サメ映画を安く作れるようになったからだ。

たとえば、サメ映画では水中撮影は必須。そして海か、少なくとも湖かで、水上でのロケ撮影も必要とされる。特に水中撮影は、かつては特殊な機材と技能を持ったカメラマンが必要とされる高度なテクニックだった。つまり、金も手間もかかるってこと。それが防水のデジタルカメラが安価で普及し、そこらで売っている機材でも容易に水中撮影ができるようになって、ぐっとハードルが下がったのだ。

さらに、CGが登場し、かつては困難だったサメそのものの撮影が必要なくなった。昔は撮影済みのドキュメンタリーや学術映画などを掻き集めて、ようやくサメの恐怖を演出していた。手間も金もかかるし、そうそう都合よくサメが写ったフィルムがあるわけではない。え? 「ジョーズ」のように実物大模型での撮影をすればいいって? そんなモノを作れれば、苦労しないのだよ。だが、いまではちょろっとCGを作れば、どんなサイズの凶暴鮫も出演可能だ。CGの出来ばえさえ気にしなければ。

こうして、あんがい安く作れるようになったのが、サメ映画増殖の秘密だ。

あとはアイデア次第。おかげで最近のサメたちは、異常にデカくなったり、他の動物と闘ったり合体したり、海じゃないところに現われたり、空は飛ぶわ、頭は増えるわ、宇宙に飛び出すわと大活躍なのだ。

そいつら、面白いかって?

ご覧のとおり、2000年以降のサメ映画、日本ではそのほとんどが劇場未公開なのだ。そういうこと(笑)

まあ、2018年の「MEG」が、怪獣映画ジャンルにおける「シン・ゴジラ」のような画期的な傑作になることを期待しようじゃないか。

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