外出自粛映画野郎「アンドロメダ…」
「不要不急の外出は自粛」などと子供を諫めるような要請が出るばかりでいっこうにおさまりそうな気配もない情勢ですが、そもそも会社員生活からリタイアしている私の日常はたいして変化していません。いやいや現役時代でなくてよかった、などと不謹慎な安堵を感じていたりして。
とはいえ影響はゼロではなく、たとえば隠居生活?の楽しみであったテレビ番組がさまざまな余波で、どんどん面白くなくなってます。感染者数をカウントし、町で通行人にインタビューするようなニュースばかり。ま、しょうがないんでしょうがね。
ということで、連日のように映画を観て過ごしています。手持ちのソフトや配信で。いやはや、映画館が営業を自粛させられている(変な言い回しだ)のにどんどん映画を観られるなんて、なんと良い時代になったものか。逆にいえば、そんな時代だからこそ耐えられるのかも知れませんね。
ということで、心覚えに、ここのところ家で観ている映画などのことを書き連ねておこうと思います。もちろん、この私がそんなに為になる映画を観ているわけはないでしょ。
こういう時期だけに、まず観たくなったのが「アンドロメダ…」
墜落した衛星に付着した謎の病原体と、危機対処のために招集された科学者たちの対決を、高度に隔離された研究施設を舞台に描く傑作サスペンス。
前にも書いたと思いますが、細菌やウィルスによる恐怖を描いた作品のなかでも、目に見えない「敵」の存在をもっともうまく見せた映画です。
原作小説(「ジュラシック・パーク」のマイクル・クライトン)のディティールを巧みに利用しながら、それを「視覚」で見せることにこだわって作っています。そのために原作をまったく読まずに見ると若干わかりにくいところがあるのも確かですが。
ちなみに、原作はまた映画とは違った面白さがありますので、外出自粛のヒマつぶしにぜひどうぞ。
そんなことよりも、今回とくにこの映画(小説でも)で感じたのが「備えの大切さ」
人工衛星が墜落し、アメリカの小さな町が全滅するという、予想もできなかった非常事態の勃発に対し、その事態を想定した完璧な対策がなされているのが、この作品のキモ。
事態勃発からほんの数時間で機構が動き出し、科学者たちのもとへ使者が飛びます。
ハウスパーティの最中の科学者の自宅の玄関に、突然軍人が現われます。軍人はたった一言「火災です」 その暗号を聞いた科学者は「わかった」とだけ返し、着のみ着のまま、妻に説明することもなく軍人に同行し、現場へ駆けつけるのです。
もちろん、こうした事態に対処する高度な研究所が用意されていたりするのも感心しますが、ここで見せる科学者の覚悟こそが最大の「備え」ですね。
この作品はエンタテインメントですから、その裏にもいろいろと隠されているわけですが、でもこの「アンドロメダ危機」を回避できるのは、ひとえに「備えあれば憂いなし」
ひるがえって今回のコロナ騒動を見ると、なかなか現実ではこうはいきません。マスク2枚を配るとかいってあたふたするわが国だけでなく、どこの国も後手を踏んでばかりですね。
まあ今回のこの騒動が、せめてこうした「備え」の必要性への警鐘になることを祈りましょう。
ちなみにこの作品、たとえば「新世紀エヴァンゲリオン」の第拾参話「使徒、侵入」などに色濃い影響を与えるなど、非常に優れたエンタテインメントでもあります。
1971年作品。原題 THE ANDROMEDA STRAIN/監督 ロバート・ワイズ/脚本 ネルソン・ギディング/出演 アーサー・ヒルほか
原作は1969年発表『アンドロメダ病原体』(マイクル・クライトン/朝倉久志訳/ハヤカワ文庫)
2008年にはTVミニシリーズ「アンドロメダ・ストレイン」としてリメイクされている。
というわけで、まだまだ続きそうな自粛生活(笑)せいぜい見た映画の話でも書いていきましょうか。
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