500円映画劇場「ジュラシック・プレデター」
前回は「エアポート一族」でしたが、今回はそれに劣らぬ大勢力の「ジュラシック一族」の登場であります。
1993年の「ジュラシック・パーク」に端を発したこの一族、昨年の「ジュラシック・ワールド」まで本家本元も4作あるわけですが、その後の「勝手にジュラシック」な面々を加えると合計で30本ほどもあります。なかなかの大勢力ですな。
ということで、今回の映画は「ジュラシック・プレデター」
はい500円映画の大鉄則。
ふたつ以上の人気シリーズを内包しているように見せている映画は、たいていつまらない。
今回もこの鉄則はきちんと守られていますね。
舞台はアラスカの小さな町。地球温暖化のせいで融けた氷河から、空飛ぶ恐竜みたいなドラゴンみたいな肉食生物が出現し、住人たちをガシガシ食っていく。なんとか逃げのびて町のダイナーにこもった数人が繰り広げる必死のサバイバル。
見飽きたようなストーリーですね。変化のある部分としては舞台がアラスカだってことぐらい。いちおうロケしてるのかね(カナダの作品だから、アラスカ近くでは撮影してるだろうけど)
白夜の季節なんだとかで、これは夜間撮影をしなくてすむ(照明代いらない)ので、グッドアイデア。
あんな翼で飛べるのかというような華奢な翼をもった恐竜みたいなのが主役の怪物。恐竜か何かのように見えますが、町内サバイバーの一人である爺さんがその正体を解説してくれます。この爺さん、なんでも親がノルウェー人だってだけで異常に北欧神話に詳しいんですがね。こいつはワイバーンという北欧神話の怪物だそうであります(原題もこのWYVERN)
なんだ、ジュラシックじゃないじゃないかというのも、まあお約束。
CG部門は善戦しています。ただ、最近はCGも見慣れちまったので、怪物が出現しても、もう大して驚かないんだよね。そろそろCGに代わる大胆不敵な特撮技術が開発されないもんかね。
いや今なら逆に、着ぐるみとかハメコミ合成の方が新鮮でリアルに見えるかもしれん。そんなこともないか。
ただそうした技術以前に問題があるのも、毎度のことです。
今回も、怪獣ワイバーンは、とくにタメもなく、映画開始から5分足らずでポカっと出てきちゃう。ダメなんだよ、それじゃ。怖くないんだよ。
よろず500円映画に共通する欠点が、コレ。要するに、こういうところが、メジャーとマイナーの違いなんですね。
とはいうもののこの作品、じつは、シナリオではけっこう善戦しています。
最初のほうで、姿が見えないまま上空を飛び去ったワイバーンがシカの首を落としていくところとか、怪物がいるかもしれない納屋に警察署長が入っていくところとか、けっこう頑張ってます。演出がタコなんで活かされてないですけど。
ワイバーンがパカッと出てきちゃうような三文演出をなんとかすれば、もうちょっとなんとかなった気がする映画だったですよ。惜しい!
善戦した脚本の担当はジェイソン・ボルク。あの「ジュラシック・レイク」の人ですね。もっぱらこんな映画ばかり作ってるみたいですな(監督作品もある) 頑張ってくれ。
2009年、カナダとアメリカ合作のテレビ映画です。
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