見出し画像

500円映画劇場「エアポート2001」

「エアポート2001」だから、つまりは21世紀最初のエアポート・シリーズ……ではないですね。そもそもこれ2000年のTVムービーですから。じゃあ、20世紀最後のエアポートかって? そもそも原題が「Nowhere to Land」なんだから、べつにエアポート・シリーズじゃないですよ。ま、そのへんは、こちらをご覧ください→「エアポート一族の陰謀」

2000年の作品ですが、画面サイズはブラウン管サイズ。地デジ化前の作品なことは丸見えです。アメリカでの地上波デジタル放送への移行は2009年6月12日だそうですからね。なんかもうずっと昔から地デジだったような気がしてますが。

そんなわけで画面サイズ同様に、いささかコンパクトなイメージのある「エアポート2001」 原題が示すように、旅客機が着陸不能になるストーリーです。平凡だなあ。

オーストラリアのシドニー、新婚旅行を楽しむマンソン夫妻。ところがその2人をつけまわす、怪しい男。じつは妻のクレアは再婚で、つけてきたのは前妻への未練のあまりストーカーと化した元夫のジョンだった。未練たらたらのあまり、ついに常軌を失したジョンは、アメリカへ帰国するクレア夫妻の乗る旅客機に、爆弾を仕掛けたのだった。

しかし、前妻に未練たっぷりなのはともかくとして、彼女の乗る飛行機に爆弾仕掛けちゃあ、何にもならないと思うんだが。それで彼女を取り返せるわけないじゃん。このへん、未練男の思考回路は不可解だよね。けっきょく、途中でキレちゃうし。

つくづく、迷惑なやつですよね。離婚されるのも無理はない。

シドニーからロスアンジェルスへの便に仕掛けられた爆弾は時限式で、10時間ほどで爆発する。ということは太平洋上を飛行中なので、途中に着陸できる陸地はない(という設定なんだから文句言わないでね

そこでやむなく、機長が爆弾解体に挑む羽目になります。ロス市警の爆弾処理の名人に無線通話でレクチャーされながら、トラップに満ちた爆弾を解体してゆくのが、映画の本筋になります。

しかし、音声による指示だけで解体作業をするってのは、少々無理がありそう。いまならインターネット経由で動画送信したりできるから、もうちょっと楽に解体指示できそうだけど、2000年じゃしょうがないか。

時限爆弾ものの定石である「ワイヤージレンマはなぜか、ナシ。わりとするすると爆弾解体は成功しますが、ここでもうひと波乱が用意されているのが、まあ新機軸といえば新機軸でしょうかね。

乗客のドラマが少なかったり、せっかく女性副機長を配したのにほとんどストーリーに絡まなかったりと、どうもエアポートものらしいスケール感に乏しい作品になったのは、惜しいというかなんというか。

まあそこは「エアポート一族」だし、なんといっても500円映画なんだから仕方ない。この映画の問題点はそこじゃないんだよね。【以下はどうしてもネタバレになるので、未見の方(ほとんどそうか)、これから探してでも入手して見ようという奇特な方はパスしてください】

最初の時限爆弾が解体されたあと、(じつに安易だけど)犯人が隠していた爆弾の配線図が見つかり、それによるともう一つの仕掛けがあることが判明します。このへんはちょっとサプライズ。なかなかうまい手であります。

それが「高度計が仕込まれていて、一定高度よりも下がるとドカン」

はい、前に見た、エアポート一族の大先輩で名作の「夜空の大空港」とまったく同じ趣向ですね。いやいや、オリジナリティがないぞ

そもそもの爆弾仕掛けるあたりだって、まるで元祖の「大空港」だし、どうも全体に既視感があふれる作品になっちまってる気がする。いや2000年の作品だからではないですよ。「大空港」も「夜空の大空港」も、この時代でもすでにクラシックだったはずですからね。

唯一新味があったのは、仕掛けられた爆弾が、爆発力によって墜落をもくろむものではなく、毒ガスを散布するガス爆弾なところくらいですか。「数年前に東京の地下鉄に」っていうセリフもあったし。

もっとも、その毒ガス(サリンではなさそう)を、犯人はどこでどうやって入手したかとか、詰めが甘いのは、やっぱり500円映画なんですねえ。

【画像のリンク先はamazon.co.jp】

そんなわけで、けっきょくは「エアポート一族」の名に恥じぬ、もうひとつな出来栄えでした。お暇な方は、ヒマつぶしにでも、どうぞ。

500円映画劇場 目次

映画つれづれ 目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?