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#47. いまの語彙力はどのくらい?


自分のいまの語彙力が果たしてどのくらいなのかということは、ある程度の期間英語をやっている人であれば必ず一度は考える。

日本の中高 6 年間で学ぶ語彙数は、中学 1,000 高校 2,000 の計 3,000 語ほどである。つまり、そこで覚える単語があらかた頭に入っているなら、日本の高校 3 年生の語彙力は約 3,000 ということになる。

そして、(これはぼくの大学時代の先生が講義中に話していたことなのだが)彼らが大学に入学すると、英語を止めてしまう学生と、そのまま研鑽を続ける学生とに分かれるので、大学生の平均語彙数は 2,300~3,700 ほどらしい。

(※ちなみに以前読んだ本によれば、英語学習者に必要とされる語彙数は、①海外旅行に行くだけならば中学レベルの単語で十分、②仕事で英語を使うには 8,000、そして③英語圏で勉強したり議論をしたりするにはおよそ 10,000 語だということだ)

では気になる英語ネイティヴの平均語彙数は一体いかほどかと言うと、これはどうやら約 20,000 語だということである。ただ、「英語ネイティヴ」とひと口に言っても、そこにはさまざまな教育レベルが存在するので、インテリであれば 30,000 語近くになるのかもしれない。

では、大学に入ってからも「呑気に」英語と付き合い続け、大学院に入って以降は英語の歴史や文学などといったことにも多少なりとも触れてきた自分は、いまどれくらいの語彙力を持っているのだろうか。

これは定期的に気になることだが、いまは 3 月でちょうど年度が終わるいいタイミングなので、下のウェブサイトの語彙力テストで、自分の語彙力を診断してみた。

診断を開始すると、ある見出し語が与えられて、それに対する synonym(同義語)あるいは antonym(対義語)を四択で選択するクイズを解くことになる。

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( love の同義語なので、答えはもちろん like )

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(同じように much の同義語だから many )

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(今度は対義語。お題は old なので当然 new )

このような調子でクイズ計 50 問に回答していく。後ろに進めば進むほど単語の難易度も上がり、ネイティヴですら知らないような単語も出てくる。

そういう場合には、見出し語の、①接頭辞( re-, in-, dis- など)、②語根、③接尾辞(-ion, -ous, -ability など)から意味を類推しつつ答えを導いていく。

実際に英語を読んだり聞いたりしていて知らない単語に出くわしたときも、このような推測の技術を(ネイティヴであろうと)使うことになるので、こういった知識や類推能力も含めて語彙力を見定めるというのも、あながち誤った話ではない。

そしてぼくが今日、50 問解いてみた結果はこちら:

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あなたはシェイクスピアです!あなたなら、英語の辞書をより拡大する新しい語彙を生み出すこともできるでしょう。

(これは明らかな誇張表現)

大学院の 2 年目に初めて挑戦したときはたしか 23,000 くらいで、そのときは「アメリカの white-collar workers(頭脳労働・事務系の仕事をしている人)のレベルです」みたいなコメントが出てきたので、そのころから比べると着実に語彙力は伸びていると言っていいだろう。

ただし、本当に 28,000 もの語彙力が自分にあるかということになると、これは正直かなり怪しい。

というのも、アメリカ人の友人 3 人(全員大卒)にこれを解いてもらったことがあるのだが、みんな綺麗に 23,000 くらいであった。しかしぼくは彼らと話をしていて、語彙力の面で「自分もまだまだだな」と思うことはあれ、彼らを「上回っているな(まして 5,000 語も)」と感じたことはただの一度だってない。

たしかに彼らと話していて、ふと「いまの単語、それどういう意味?」と聞かれることはたまにあるけれど、その逆のパターン(ぼくが彼らに「それどういう意味?」と聞くこと)の方がまだ多い。

それに、万が一ぼくの「知っている単語数」が彼らのそれを上回っていたとしても、その「知っている(=見たり聞いたりすればわかる)単語」を「どれほど自在に使いこなせるか」という点において、ぼくは彼らに全くもってかなわない。

「単語を見たり聞いたりすれば意味がわかる」ということと、「それを自然に違和感なく文章や会話の中で使える」ということの間には実はかなりの距離があり、ここがノン・ネイティヴたるぼくらが、ネイティヴに最も遅れを取るところだと感じている。

まあネイティヴは、自分で英語を話す前から大量の英語を聞き続け、また話し始めてからも日常の大半が英語で占められた生活を何十年と続けているわけで、「積み重ねてきた量が違う」、「培ってきたモノが違う」のは至極当たり前のことなのだけれど。

数値としては 28,161 という結果だったが、実際のところは、15,000〜20,000 くらいがいまの自分の語彙力かなというのが体感である。

ともあれ、こうして英語と日々生きていく中で、自分の語彙力がいまも着々と向上しているのだと知れたのは単純に嬉しかった。

ネイティヴと比べてはいつまで経っても負け戦だが(それでも負けたくはないが)、以前の自分と比べたときに、いまの自分が優れていれば、とりあえずそれでいいのだと思う。

英語に魔法の一手はない。小さな歩みを進めていくことでしか、頂きは望めないのである。英語を読む聴く書く話す、どれをするにも単語がなければ始まらない。

だからこそ今日も、のんびりゆっくり一歩一歩。


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