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#26. 待つ楽しみが増えただけ


クリスマスまであと 1 ヵ月。サンタクロースの本家本元フィンランドにいる友だち(「同感」が好きなあの人)から、朝早くこんな LINE が入った:

This is crazy but Finnish postal workers are on strike, which means letters and packages in and out of Finland are stuck!
おかしな話なんだけど、こっちの郵便局員たちが今ストライキ中で、フィンランドに出入りする手紙や荷物が全部そこで留まっちゃってるんだよね!

彼女とはここ 2 年間、クリスマスにプレゼントを贈り合っている。

今年もお互い熟考の末に「こんなものが欲しい」とリクエストを伝え、「よしコレで行こう」と決めた矢先。あちらの郵便局員が(なんとこの時期に)ストを起こしてしまったらしい。

彼女いわく、このストライキは 12 月 22 日まで続く見込みで、ぼくたちがプレゼントを受け取るのは、だから、来年の一月になりそうとのこと。

文面から判断しておそらく、彼女は「ごめんね」というトーンでこれを伝えてくれたと思うのだけれど、ストライキなんてほとんど日本じゃ聞かないことだし、残念よりも斬新の方がはるかに勝り、通勤途中に声を出して笑ってしまった。

そういえば去年も、ぼくのプレゼントが向こうの家に届いたのは、ようやく年を越してからだった。

そのときはたしか、あちらの郵便配達員が、ぼくのプレゼントを彼女の隣の家のポストに入れてしまい、かつそのお隣さんがクリスマス休暇でその家からずっと出払っていたため、しばらくの放置期間を経て、ぼくのお届けものは年をまたいでようやく彼女の元へ届けられた。

Yeah, it seems like it's just meant not to arrive on time :)
そうだったね、わたしたちのプレゼントはちゃんと届かない運命みたい :)

ただ、プレゼントというのは別に、与えられたそのタイミングだけに喜びがあるのではない気がしている。

贈りものを選ぶときや、それを送ったり渡したりするまでの間、あるいは送ってそれが相手の元に届くまで待つその間ですら、そこにはいつも、そこはかとない幸福感が漂っている。

国境を超えたプレゼントなら、なおさらのことだ。

だから、ストライキによってフィンランドからのプレゼントが遅れるとしても、正直なにも気にしていない。

「なにが届くんだろう......」と期待して待つあのワクワクが、もうすこし長く味わえるだけだ。

来年の楽しみを増やしてくれて、どうもありがとう。


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